焼坂の草刈り

焼坂の草刈り


焼坂というのは虎竹の里と隣町の中土佐町の境にある大きな山の総称で、その峠は焼坂峠などとも呼ばれており、今でも遍路道として須崎市から四万十方面に向かうお遍路さんが越えていく道がある山です。昭和初期に中土佐町に繋がる海岸線の道が出来るまでは、この山道が須崎と四万十方面を繋ぐ主要道路であったようです。


この山には昔から日本で唯一の虎斑竹が自生しており、人によっては、桧や杉を植えるのをやめて虎斑竹を植えたなどとも言われています。それは竹の成長速度が速く、3年もすれば伐採が出来て、またどんどん生えてくるため、伐採まで何十年もかかる木材よりも竹に切り替えたほうが良いと判断されたからと言われています。


また昔から米作りを主とした農業を営む人が多く、竹が農閑期の冬に伐採できるということで、農閑期における貴重な収入源になっていたということも、虎斑竹を守り、生産できてきた大きな要因でもあったように思います。


焼坂と一口に言っても、細かく所有者が分かれており、この山の地主さんは10人ほどいます。もう40年以上も前からこの山の地主さんたちは自分たちでこの山の道を整備することで、この山を守り、大切にしてきたようです。


少なくとも年に一回は山主が集まり、また遠くにいたり、参加できない人はお金を出し合い、時には人を雇ったり、重機を入れたりしながら、荒れていきがちな山の道を整備してきたのです。


竹虎もこの山主の一人ですが、本当に恥ずかしいことながら自分が参加し始めたのは、ほんの十数年前のことです。焼坂地主会と称して会計や世話をさせていただきはじめたのが平成14年でした。それから12年経った今年の草刈りで、焼坂地主会として山主さん自身が集まって整備する大切な行事を終わりにしました。


当初は何人も来ていた山主さんも歳を取り、息子さんなどもよそにいる方も多く、焼坂地主会として活動していくのには無理が出てきたからです。今までもそうでしたが、今まで以上に竹虎が責任をもってこの道を管理、整備していくことで了承していただきました。山主さんたちに認めてもらえたと、そう感じた嬉しい草刈りとなりました。

新竹が出始めました

新竹


竹には伐採に適した時期があります。一般的には秋から冬にかけてが伐採時期なのですが、竹の種類によって多少の違いがあります。竹は生える時は筍の状態で生えてきますが、その筍の生える時期が地方によって違ってはくるのですが、このあたりでは孟宗竹で3~4月、ハチクが4~5月、真竹では5~6月くらいとなっています。


それに合わせて、その数か月前から竹が水を上げ始め、筍を出すために養分を貯めはじめると言われています。そのためその時期に伐採すると竹が水を多く含んでいるため、竹が柔らかく、腐りやすく、また虫が入りやすいとされています。


しかし、最近の温暖化の影響でこの時期になっても暖かく、竹が水を上げており、あまりいい状態とは言えないのが現状です。また虎竹は原因はわかりませんが、霜が降りるくらいの寒さが来ると色がついてくるようで、寒くならなければ良い色が出ないなどとも、言われていますが、暖かいためにまだまだ色がついている竹が少ないようです。


誤解されている方も多いのですが、虎竹の山はすべてが虎模様の斑のついた竹ではなく、色付きのよい竹は全体の2~3割ほどしかありません。その少ない色つきの竹を年数を見て、また親竹を残しながら伐採するのには竹を見る目と経験が必要になってきます。


またその色つき具合などもその山の場所や地形や向き、日当たりなどによっても違ってきます。その山によって色が後でついてくるものや、早く切ってやらないと竹が日焼けやしらくもといった病気のようなものになりやすい場所など様々で、その山によっても切り方が違ってくる場合もあるのです。


この場所のように山の頂上で日当たりがよく、またすぐ下に道があるようないい場所はごく稀です。人が一人通れるような山道を30分もかけて上がっていかないといけないような場所もあります。いろんな山から、場所から、竹を伐採する切り子さん達の手によって、今年も虎竹が出てくるのです。