枝折戸とは丸竹で作った枠に、両面から割竹を編みこんだ簡単な開き戸のことで、露地と呼ばれる茶庭の中門の代わりに置かれることもある簡単な開き戸です。開き戸の他に壁につるしたり、2枚をL字に組んでパーテーション代わりに使ったり、マンションのベランダ置いて植物を這わせたりと、いろんな使い道があるのです。
丸竹で枠を組んで、四隅に割竹の入る溝を切っておきます。長さ3mほどの虎竹を幅15mmほどに割り、それを薄く剥いで、編みこみ用の割竹を作っておきます。そして最初にその四隅の溝に十字に竹を組むことから枝折戸を編むことは始まります。
その最初に十字に組んで、合わさった部分が編みこみの中心となります。その十字に組んだ竹に沿って、丸竹で組んだ枠をひと回りさせて編んでいくのですが、枝折戸の大きさによってその本数を多くしたり、少なくしたりして、組んだ菱目の枠の大きさがあまり変わらないように調整します。
編み方自体は大変シンプルで簡単です。誰に習う事もなく編み始めましたが、ちょっとした割竹の幅や厚みの違いなどで、編みにくくもなり、また枠の幅の大きさでも編みやすさが違ってきます。しかし一番気をつけなければならないのは枠がゆがんでしまわないようにです。
丸竹を組んだだけですので、そのままですと多少ガタガタ動きます。それに割竹を編みこんで動かなくするのですが、編みこみの際にゆがんだまま編んでしまわないようにするために、時々直角の枠にはめて、ゆがみを確認する必要があるのです。
編み方は簡単でも、材料の違いや大きさの違い、編みの本数などで微妙に違ってくるのが竹の編み作業です。それで同じものを早く、綺麗に作るのには材料の特性を知り、経験や熟練が必要不可欠となるのです。
竹のお箸の材料にするには、厚みがあって、節間もそこそこ長い物が必要なため、大きくて厚みのある孟宗竹が使われることが多いです。箸に限らず、スプーンやレンゲなどのカトラリー類の多くも、できるだけ厚みがあり、平たい部分の多い大きな竹の材料が必要なために、孟宗竹が使われることが多いようです。
しかし、虎竹や真竹で作られた物には、虎竹の独特の模様の美しさであったり、真竹の綺麗な清々しさがあったりと、それぞれの竹のよさが出る一品となっています。
虎竹は大きい竹が少なく、また大きい物は虎の模様がつきにくく、直径が大きいものでせいぜい7~8cmしかありません。厚みも他の竹に比べて薄いためにお箸を作れるような材料は、ほんの一部です。
山から伐り出して、工場で用途に合わせて切断する際に、大きな厚みのある竹は選り出しておいて、虎竹削り箸などのお箸類や名人作虎竹耳かきなどの厚みの必要な材料とするのです。それぞれの竹の特性や素材を見て、最適な材料でのものつくりを心がけているのです。
くじりとは穴をあけるキリに似た道具で穴を開けたり、結び目をほどくのに用いる先のとがった道具のことです。竹皮下駄の鼻緒をすげる際に、編みこんだ竹皮に鼻緒を通すために編み目を広げたりするのに使ったり、一閑張買い物かごの持ち手を通す穴を開けたりに使っている道具です。
縁通しとも呼ばれ、このように平たいものや溝のあるものも平くじり、溝くじりと呼ばれ、竹細工には欠かせない道具の一つです。これは主に縁巻きの際に、籐や巻き縁用の竹を通す時に、隙間を開けるのに使います。
溝くじりは、隙間に差し込んでおいて、その溝に籐や竹を差し込んで、編んだ竹の隙間に通していくのです。平くじりは隙間をあける以外にも、編んだ竹を寄せたり、ずらしたり、ちょうど手の爪のような役割で使うことが多く、無くてはならない道具です。
なんてことない小さな道具たちですが、こんな道具たちが集まって、竹細工は出来ていっているのです。