矯めない矯正法

矯めない矯正法


竹というものは真っ直ぐに伸びているイメージがあるようですが、実は倒してみると結構曲がっているものです。それをガスバーナーで油抜きをした際に、その熱を利用して矯め木という道具を使って真っ直ぐに矯正することを矯めると呼んでいます。


竹は熱すると金属や木材と同じように、柔らかくなる性質を持っています。熱くなっているうちに竹の曲がっている方向の繊維を伸ばして、矯正し、そのまま冷まして真っ直ぐにしていくのです。籠を作る材料としての竹以外は、ほとんどこの加工をして真っ直ぐに矯正して出荷しています。


虎竹玉袖垣などの袖垣の骨組みに使うのは孟宗竹という一回り大きな竹です。よっぽど大きな袖垣を組む以外は、そんなに長さを必要としないので、1本の竹の中で、極力真っ直ぐになっている所を使うようにしています。それでも自然のものですので、多少の曲がりがあり、作っていく段階で矯正が必要な場合も出てきます。


そんな少しの竹の曲がりを調整するのが、竹に切込みを入れて、その中に竹で作ったくさびを打ち込むという方法です。たとえば右側にほんの少し曲がっている竹があるとします。その右側に曲がっている部分に切り込みを入れ、くさびを打ち込むことによって、その部分が少しですが伸びて、竹がほんの少しですが、左側に戻るのです。


当然切り込みをいれるので、竹の強度は落ちてしまいますが、その上に割った竹を貼り付けて銅線で巻き、固定してしまいますので、問題はありません。見えないところでのこんな細工は、職人だけが知っている、職人にとってはなんてことのない技なのです。