一閑張りとは竹や木で組んだ骨組みに、和紙を何度も張り重ね、その上に柿渋や漆を塗って、色をつけたり防水加工や補強にする伝統技法です。四ツ目に編んだ四角い蓋付きの骨組みに、一閑張り加工を施して、一閑張り行李に仕上げていきます。
一閑張り加工をすることによって、強度はぐっとあがるのですが、幅広で少し厚みのある竹をさして、補強をしています。この竹のことを力竹といい、買い物かごなどの重いものを入れる籠の底部分に入れて、重みから籠を守る役目をしています。
また力竹は強度を上げるほかに、籠の底部分に入れることによって、籠の中央部分をへこませるという役割もあります。底の中央部分が膨らんだ籠はグラグラして安定がよくないので、底をへこませて籠の四隅で支えるようにすると、安定した籠になるのです。
この行李の骨組みにいれる力竹は、どうしても竹編み部分から力竹が浮いてしまいます。それだと和紙を貼った時に余計にその部分が浮いてきたり、破れたりする恐れがあるので、こうしてボンドを付け、針金で固定して、力竹と竹編み部分を接着しています。
ぴったりと竹編みに沿った力竹が、たくさんのものを入れる行李の補強になり、また見た目にも力強さを感じさせるアクセントになっているのです。