日本唯一の虎竹の里の地元、安和小学校の生徒さんが体験授業として、竹虎工場にやって来てくれました。いろんな体験を通じて、地元の人とのふれあいの中で何かを学び取るというような趣旨での体験授業でした。
花かごやお箸、竹トンボなど、何かを作る中での体験を想定されていたようですが、今回は初めての取り組みとして、虎竹を真っ直ぐに矯正することを体験してもらおうと考えました。
矯正作業というのは、虎竹を油抜きする際の竹をガスバーナーであぶった熱で竹が柔らかくなっている時に同時に行われます。熱で柔らかくなった竹を矯め木と呼ばれる穴の開いた大きな木に差し込んで、曲がった個所を一節ずつ押して曲げながら、竹を真っ直ぐにしていく作業です。
1本1本違う素材ですので、竹の大きさや厚みや曲がりなども当然違います。それを焦げないように熱を加え、折れない程度に出来るだけ曲げながら、竹の繊維を伸ばしながら真っ直ぐにしていく作業です。
もちろん小学生にすぐできる作業ではありませんが、油抜き前の固い竹が、油抜きして綺麗になっていく様子や、熱を加えることによって、固かった竹が柔らかくなって曲がりだす感覚、曲がっていた竹が手助けをしてもらいながらも真っ直ぐになっていく楽しさを知ってほしかったのです。
熱を加える前の虎竹は、曲がりを矯正しようと矯め木にはめて曲がり部分を曲げようとしても、全体がしなるだけで曲がりません。しかし熱を加えてみると、柔らかくなっているために、さっきは固かった虎竹が柔らかくなって曲がり部分を曲げることができ、次第に真っ直ぐになっていくのです。
固かった竹が、急に柔らかくなって曲がりだす驚き。曲がっていた部分が少しずつ真っ直ぐになっていく楽しさというのが、子どもたちの驚きの声や笑顔でこちらに伝わってきて、こちらも嬉しくなりました。何かを作るわけでもなく、どれほど理解してくれたかはわかりませんが、見るだけではわからない竹虎のことや、虎竹のことを少しでもわかってくれれば嬉しいと思うのです。