十字しばり

十字しばり


はもともと丸いものですので、割ったり、剥いだりして、一本の平たいヒゴにして編んでいきます。しかしながらねじたり結んだりということはなかなか難しい素材でもあります。竹細工の籠の縁の内縁と外縁の2枚の竹をとめたり、手をつけたり、補強や装飾を施したりするのには籐を使うことが多いです。


籐は東南アジアに多く生育する植物で、大変柔らかい性質を持っています。ラタンとも呼ばれ、家具などに多く使用されている素材です。こちらももともと丸いものですので、それぞれ籐を細かく割って、幅を揃え、厚みを揃え、面を取り、場合によっては染色をして色を付けて、やっと使えるようになるのです。


また籐は竹にくらべて大変柔らかいために、割ったり剥いだりするのには大変気を使う素材でもあります。幅取りナイフで割った籐を同じ幅に揃える場合でも、ナイフが切れすぎたり、ナイフの角度がきつかったりすれば、すぐに籐がナイフに食い込んで、綺麗に幅を揃えられなくなります。厚みを揃える時も同様で、一気に裏の厚みを取るのではなく、少しずつ取っていかなければならないのです。


そうやって取った籐で、籠の手や足をつけたり、底の力竹などの十字になった部分を固定するのに一番簡単に使われるのがこの十字しばりです。これにも何パターンかのやり方があり、十字編みをして網目を見せる巻き方や、このように籐を立ててくるくる巻く方法などがあるのです。


こんなちょっとした巻き方の違いなのですが、その見え方によって、その籠の雰囲気はだいぶ違ったものになってきます。伝統的な、基本的な巻き方であっても、どの巻き方で籐かがりをするのかで作った人の気持ちや思いは伝わってきたりします。そういう意味でも気の抜けない、悩む作業でもあるのです。