竹虎工場内のどの仕事も大切で、どの部署もなくてはならないのですが、竹虎工場での仕事であえて重要度をつけるとしたら、1位は竹の仕入れで2位がこのあいばんだと思っています。あいばんというのは土場で広がった長い竹をトラックに積み込んで工場に入れて来て、竹の大きさや長さによって決められた規格に切断していくところです。
あいばんという呼び名はついていますが、漢字でどう書くかは分かりません。現在はこの場所や仕事のことを切断と呼ぶことが多くなりました。祖父がこのあいばんで座って竹を切断していたころは、前後にその切った竹を捌く人がいたため、その一緒に切断の仕事をしてくれる、相方の人のことをあいばんと呼んでいたようですので、相手をする番の人として相番と書くのが正しいのかもしれません。
このあいばんでの選別とカットによって、1本1本の竹の使い道がすべて振り分けられます。1本1本の竹の大きさや色、素直さや伸び具合などを見て、最適な使い道にカットしていくのですが、まだ油抜きをして綺麗になっている竹ではないので、その良し悪しが分かりにくい竹もたくさんあります。それをちゃんと目利きして、カットしていくのがあいばんの職人の大事な仕事なのです。
固定したノコギリの先の台には、所々にこうして木材ででっぱりを作っています。これはノコギリからの距離の目印で、これに突き当てて規格の長さにカットしていくのです。一番短いものは虎竹手ほうき用の目印の1.7尺(約51.5cm)で一番長いのは15尺(約454cm)の目印です。その中でたくさんの使い道に合わせて、いろんな長さにカットしていく現場なのです。