虎竹の里の虎竹の山に通じる山道を上っていると、所々に鉄の棒が立ってるのをよく目にします。これは何かと言うと、一般道でいえばガードレールのようなものでしょうか。虎竹を下してくるときに、竹を積んだソリが山道から落ちてしまわないように切り子さんたちが立てているのです。
山で伐採された虎竹は山である程度の大きさの束にされます。一昔前はキンマと呼ばれるソリのようなものを担いで山に上がり、それに竹を積んでおろしていたそうですが、今ではキャタピラーのついた運搬機に竹の元をのほうを積み、長い竹の先のほうの下側にそりを敷いて、竹が傷つかないようにしながら下してくるのです。
山道は当然ですが真っ直ぐではなく、山に沿って曲がりくねっています。運搬機の竹を乗せる部分は動くようになっていて、その部分では曲がってくれるのですが、竹の部分は真っ直ぐですので、どうしてもカーブの内側に竹がはみ出てしまいます。そのためにこうして鉄の棒を立てて、竹がカーブ内側の谷に落ちないようにしているのです。
その他にも急な斜面の場所は少し雨が降れば下の土が滑って、いくらキャタピラーの運搬機でさえも上がることができないために、ゴムを敷いたり、滑車付のロープで引っ張り上げたり、急なカーブでは曲がりきれないために、山側を削ったり、道を作り替えたりしています。山に入ってやってみなければ気づけなかった沢山のことが、山にはありましたし、まだまだあるように思います。
道から30~40分も山道を上がった山から出てきたり、急な山道だったり、道を毎年整備しながら入る山もあります。いろんな状況の中で苦労して切り子さんたちが出してくる虎竹です。毎年当たり前に出てきていた虎竹が、当たり前ではないことに感謝し、それを理解し、支え続けていくことが自分の役目でもあるように思うのです。