竹は伐採する時期があり、だいたい秋口から冬にかけての時期が伐採時期とされています。これは竹が一番休んでいる状態で水を上げていなくて、養分も少ない時期とされています。こういう時期に伐採すると竹自体が固く、変色や腐敗しにくく、虫も入りにくい時期とされています。
もちろん竹によって時期も違い、2~3月ごろからタケノコを出し始める孟宗竹などは早い時期から水分を上げだし、タケノコを出す準備を始めるので、11月頃までが伐採時期とされています。その次にタケノコを出すのが虎竹で、一番遅いのが真竹です。
その伐採時期にも「つち」と呼ばれる時期があり、その時期も外しながら伐採をしています。古い暦に「大つち」、「小つち」と呼ばれる時期が記されています。つちの期間には、土公神(どくじん)が本宮あるいは土中にいるため、土を犯してはならない。つまり、穴掘り、井戸掘り、種まき、土木工事、伐採など土いじりは一切慎むべきとされている。特に、地鎮祭等の建築儀礼には凶日とされているといわれています。
また竹も生物ですから、当然バイオリズムはあるのですが、大つち、小つち期間中は、竹にとって低調な時期にあたり、この時期に伐採すると竹に虫が入りやすく、早く腐りやすいとか言われています。また地球のバイオリズムがその時期は低調なために、その弱っている地球に根差している竹をはじめとする樹木を伐採しても、よくないと考えている方もいるようです。
私が竹屋に入ったときからずっと言われてきたことですが、どんどん出荷しないといけない時期には、そうも言っておられずに伐採していた時期もありました。しかし、つちを外して切った年には明らかに虫の入る割合が減ったことで、その年からつちは外してもらうようにお願いし、毎年つちの時期を調べて切り子さんに周知しています。
11月16日にはつちがあけます。次は12月30日につち入りします。その間にどんどん伐採し、つちの間の伐採できない時期に枝打ちをし、山から出してきます。今年も虎竹の伐採時期となり、少しずつ切り子と呼ばれる竹の伐採職人さん達が虎竹の山に入ったり、入る準備の草の下刈りなどを始めました。
そしてこうして少しずつ竹が山から出てきます。その竹を1本1本選別しながら選り分けていきます。虎竹の里のおなじみの秋冬の風物詩です。