「マゴ」、「コスベ」、「イチイチ」

虎竹ピクニックバスケット


秋の運動会や行楽で大活躍間違いなしの虎竹ピクニックバスケットですが、この籠は他の一般的な籠とは作る上でちょっとした違いがあるのですが、おわかりになる方がいらっしゃるでしょうか。それはヒゴの種類の多さです。籠を編むのには一種類の同じ長さや幅のヒゴで底から編み始め、立ち上げていくのが一般的ですが、こちらは数種類のヒゴを編むというより、組み合わせながら作っていくのです。


そのヒゴというか部材の呼び名が「マゴ」、「コスベ」、「イチイチ」なのです。「マゴ」は四隅の角に縦にいれてある竹のことで、「コスベ」とは縦横に7本ずつ入れてある骨のことです。「イチイチ」は横にいれていく竹ヒゴのことをそう呼んでいます。ほかにも「小割」、「まわし」、「皮竹」などいろんな呼び名のある部材を組み合わせてこの籠は出来上がっているのです。


虎竹ピクニックバスケット


なぜこんな名前がついているんだろうかと、私がこの籠を習った職人さんに尋ねたことがありましたが、「わしが始めたころからずっとこう呼びよったし、わからんな~」で終わってしまいました。角物と呼ばれるこういう技法での第一人者のこの職人さんがわからないであれば、誰に聞いてもわからないな~と思ったことでした。


名前はさておき、この籠を編み始めるのにはいろんな種類のヒゴがいるので、ヒゴを取るための材料も数種類必要になってきます。その材料を揃え、その長さにカットして、割って、剥いで、やっと制作にかかっていくのです。