竹でできるもの、できないもの、いろいろあると思うのですが、インターネットで少しずつ当社を知っていただいたおかげでいろいろなものを作らせていただいています。
経筒(きょうづつ)は、経典を土中に埋納する経塚造営の際に、経典を納めるために用いる筒形の容器とされています。先祖供養のための五輪塔と呼ばれる供養塔の下に写経を納めることが古来よりのならわしとなっているようです。銅製のものが圧倒的に多いようなのですが、長い年月の間に写経に大地の生気が通って経紙が土に還っていくのが最善だということで、その点で竹を選択していただいたようです。
お客様のご指定の大きさに竹を削って、表皮を剥ぎ、できるだけガタガタしないように大きさを調整して作った蓋をかぶせたものです。ご存知のように竹は真ん丸ではありませんので、蓋とのかみ合わせには苦労しました。これにお客様ご自身で自然塗料を塗って仕上げられるということで、あえて無塗装としています。
ご自身で書かれた写経のほかにいろいろなものを入れて、素焼きの容器に納めて塔の下の空間に置かれるそうです。こちらの商品はお客様はもちろんのこと、ご先祖様にも喜んでいただけるようにと思うと、責任重大ではありましたが、ご満足いただけたと嬉しいご連絡をいただけて、ホッと胸をなでおろしたことでした。
昔からいろんなところで使われている竹ですが、まだまだ知らないことも多く、こうしてお客様に教えていただけることもたびたびです。もっともっと勉強して、竹の文化や竹の良さを多くの人に知ってもらえるようにしていくのが、竹虎の役目でもあると思っています。
朝晩もめっきり涼しくなって、秋の気配も濃くなってきました。地元の中学校では一足早く体育祭が終わったようですが、小学校や保育園などはこれからのところも多いのではないでしょうか。
この時期、近所の保育園さんからご注文いただけるのはこの虎竹竹馬。それも希望の高さに別注で作ることが本当に多いんです。この竹馬は高さが85cmもあって、大人でもちょっと乗るのに躊躇するくらいの高さです。
自分が小さいころにはまだまだ遊ぶ道具が少なく、小学校でもよくこの竹製の竹馬に乗ったことを覚えています。もちろん竹は虎斑竹でしたし、竹馬はこの竹で作るものだと思い込んでいたくらいですが、それが珍しかったのか地元のテレビ局が取材に来てくれて、みんなでテレビに映ったのもいい思い出です。
そのころから竹馬を乗る技術や竹馬に乗って走る早さなどを友だち同士で競い合ったものですが、やっぱり何といってもどれだけ高い竹馬に乗れるかということを競い合っていたものでした。下からは乗れませんので、何か台の上に乗って、その上から高い竹馬に乗って歩くのが、竹馬に乗るのがうまい人とみんなに認められる条件のようなものでした。
たくさんの遊びや価値観が多くなっている現代の子供たちにも、そういう遊びの中での競い合いがあるんだと思います。この高い虎竹の竹馬に乗れる保育園児はそんなに多くはないようですが、その子がどんな顔をしてこの竹馬に乗ってくれるのか、その嬉しそうな、楽しそうな、ちょっぴり自慢顔で乗る姿を想像するだけでも嬉しくなってしまいます。
そんな笑顔のお役に立てることが喜びですが、そのそばには日本唯一の虎斑竹があることが嬉しいことだと思っています。そんな中で少しでも子ども達に、この虎竹を知ってもらえたら、興味を持ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。
竹籠の縁を仕上げるのには、そのまま編みヒゴを折り返して作る方法もありますが、竹で縁を作って編みヒゴを挟み込み、それで仕舞いをすることが多いと思います。またその縁を縁巻きといって竹を薄く剥いだものを巻きつけたり、針金やくぎを使ってみたり、このように籐を使って巻いていく方法もあります。
その巻いた籐を飾って装飾していくのが籐かがりと呼ばれる技法です。この籐かがりは掛け虫巻きと呼ばれる方法で、籐かがりの中では一番好きな巻き方で、一番多く使う技法でもあります。
あらかじめ縦に巻いて、縁をしっかり止めておいてから、その縁に装飾していくのですが、3本進んで3本戻るといった方法で編んでいくために、非常に時間がかかる編み方でもあるのです。
籐自体も自分で幅や厚みを揃え、面を取り、希望の色に染色してから、やっと編み始められるのです。見た目はわかりませんが、縦に巻いてある籐と飾りをいれる籐の幅も微妙に変えていたりします。
籠を作るにあたって一番最後の仕上げでもあり、この籐の巻き方や仕上げによって、この籠の出来が決まる非常に大事な作業です。この最後のなかなか進まない、地味な作業ですが、出来上がりを想像したり、一つひとつ進めていくことによって、すごく気持ちの入る、一番大事な、好きな時間でもあるのです。
竹虎ならではの、竹そのものを使って、足の気持ちよさはもちろんのこと、玄関先の雰囲気を変えてくれたり、段差を軽減することでたくさんのお客様に喜んでいただけている黒竹すのこ。これはその黒竹すのこの足の部分に使う四万十ひのきです。
玄関は多少の勾配が付いていることもありますし、そのままの木材に竹を打ちつけただけでは、どうしても置いた時にガタガタする恐れがあります。それを防ぐためにはどうしてもアジャスターが必要だったので、こうしてアジャスターを埋め込む穴を開けているのです。
四万十ひのきをカンナがけで綺麗に整え、ベルトサンダ―で表面を再度綺麗に削った後、アジャスター自体が入る穴と、アジャスターのねじ部分が入る小さい穴を開けたあとに、こうして手作業で3回に分けて塗装をかけていきます。
最近はお客様の玄関に合わせたり、好みの大きさでお作りすることも多くなりました。その場合は四万十ひのきの手配から、カット、研磨、塗装と、一からの作業となるので、どうしてもお時間をいただくことになります。でも自分だけの、自分の家のサイズにぴったり合ったオリジナルの黒竹玄関すのこは、必ずお客様に喜んでいただけると自信を持っているのです。
竹虎工場にお越しになったお客様から、虎竹玉袖垣の曲がり部分を「この大きな竹を焼いて曲げているのですか?」と、よく聞かれます。その際には作りかけの孟宗竹で組んだ玉袖垣の枠をお見せして、「こうして竹に切り込みをいれてカクカクと曲げています。」と説明をしています。
これは口で説明してもなかなか分かりづらいので、こうして見ていただくのが一番です。それと同時にこの袖垣が骨組みとなる孟宗竹の枠に割った竹を貼りつけていることに驚かれる方も多いのです。1本の大きな竹を焼いて、熱を加えて曲げ、それを組んでいるだけだと思われている方も多いということです。
この曲がっている部分の骨組みは背中部分の3~4cmほどしか繋がってはおらず、竹が少し乾燥したり、弱っていたりすると、その部分が折れて使えなくなることもあるので慎重に曲げることが大切です。
既製品についてはこの切り込みの幅が決まっており、その通りに切り込むと、だいたい似たような曲がりになりますが、別注の商品になりますと職人の感覚や、やりながら微調整をすることになります。別誂えの商品については、こういうバランスなどの調整や、やってみないと分かりづらいことも多く、どうしても手間暇がかかってしまうのです。