竹を割ったり、剥いだりするのには竹割包丁でヒゴの幅を揃えるのに使うのは幅取り包丁、などといったその作業に合わせた、それぞれの刃物がありますが、これは竹を切りに行く時に持っていく刃物です。一番奥の大きい物が柄鎌と呼んでいますが、竹を切り倒す時に多く使う鉈です。手前の二つは主に竹の枝を払うために使用しています。
竹の枝を払うと言っても、どういうことか分からないかもしれません。竹には当然枝が付いていますが、運搬するのに邪魔ですし、基本的に不要のものですので、山でその枝を切って落としてくる必要があります。いろんな方法があるのですが、竹の幹の表面に傷をつけないように、元の方から枝だけを切り落とす方法を取っています。その作業が竹の枝だけを払っていくので、枝を払うと、この辺りでは呼んでいます。
この刃物はどれも土佐の匠に選ばれた迫田さんの作の物です。昔から先代と付き合いがある関係で懇意にしていただいており、一番手前のオーダーメイドの刃物などは、細かく厚みや刃渡りなどを指定して作っていただきました。こんな立派な刃物を持つと、その刃物に負けない仕事をしようという気になるものです。
弘法は筆を選ばずということわざがありますが、やはり自分の使いやすい、気に入った道具を持ち、それを大事に使い続けていくことが、竹を切ったり、物を作ったりして行く上で大切なことだと思います。