荒神山(こうじんやま)

荒神山


虎竹の里の山といえば、日本唯一の虎竹が自生している焼坂山ですが、竹虎本社工場のすぐ隣にあるこの荒神山(こうじんやま)も、私にとっては非常に身近に感じている山です。竹虎本社工場から海を望むと右側に位置し、またその山に沿って本社の竹置き場や倉庫があります。この荒神山をいつも眺め、またこの山の近くで仕事をすることが多く、竹虎にいる自分の中にはこの山はいつも近くにあり、竹虎の景色の一部となっているからです。


「こうじんやま」を荒神山と書くことを知ったのは大人になってからではありますが、子どものころには友だちとの遊び場の一つとして、かくれんぼをしたり、ソリの一種のキンマで山道をすべったりと、たくさんの思い出のある山でもあります。ここ虎竹の里の人たちにとってもこの荒神山は桜の花見をしたり、また火事などの災害時や時報として鳴るサイレンのある山でもあり、身近に感じている方も多いのではないでしょうか。


今は消防署から電波を飛ばして鳴らしているために、サイレンの鳴る時間がズレることはほとんどありませんが、以前はよくズレて鳴ることがありました。山頂のサイレン塔の下に秒針のない針の時計があり、その時計で時報のサイレンを鳴らしていたのですが、その時計がよく遅れるのです。


その当時、地元消防団には「サイレン当番」というものがあり、当番の者はサイレンが20秒以上ズレたら、山に上がって時計の針を修正するという役がありました。消防団員である自分もその当番をやっていましたが、少しズレると先輩から「サイレンがズレちゅうぞ」と連絡があり、時計の針を直しに山に上がって行ったことが、今となっては大変懐かしい思い出として残っています。


かっての往還であった焼坂山の峠に虎竹の里を見下ろすように鎮座していたお地蔵さんも、今はこの荒神山の中腹に移され、安和の人々を見守ってくれています。私にとっても、この虎竹の里の人々にとっても、いろんな意味で近い、親しみのある山としてこの荒神山はあるのです。