竹の油抜きに使ったウエス

ウエス


を製品として綺麗にする方法として油抜きがあります。油抜き処理の方法としては火であぶる乾式油抜きと、湯晒しと呼ばれ、苛性ソーダをごく少量入れた熱湯で煮沸する湿式油抜きとがあります。真竹などは後者の湿式油抜きで加工しますが、日本唯一の虎竹は、ガスバーナーの釜を使って火であぶる乾式油抜きとという方法で油抜きをしています。


これは竹を火であぶって、竹の油や水分を滲みださせ、同時に油と一緒に表面の汚れを拭き取って綺麗にする方法です。こうやって油や油に溶けだした水溶性の物質を除去することで竹の変色や腐食を防ぐことができます。また竹の養分を少なくしておくことで、虫の入りにくい環境を作ることにもなります。


その油は不要になったウエスで拭きあげられます。ウエスは油と一緒に拭きとられた竹表面の汚れで、このように真っ黒に、また油でカチカチになります。このウエスも上手に使わず、汚れた部分で拭いていると、汚れが竹についてしまって綺麗に拭き上げることができません。この作業を最初に教えてもらう時は、まずこのウエスの上手な使い方を教えてもらいました。油抜きの上手下手はウエスを見ればわかるなどど古い職人さんがよく言っていたものでした。


またウエスと言っても、いろいろな素材や形があり、素材によっては油を拭き取りにくかったり、油自体を吸い込みにくい素材のものもあるので、使いやすい大きさにカットしたり、油抜きする竹材によっても選んだりしています。同じ竹の油でも黒竹の油は粘りがあり、大変拭き取りがしづらいために、特にウエスには気を使っています。


このウエスも竹が多くて毎日どんどん油抜きをしていた時代は足らなくなることも多く、使ったウエスを大釜で煮て、油を溶かしたウエスを川で洗い、綺麗にして再度使うということもしていました。今では以前ほどではなく、油で汚れたウエスは廃棄処分となっています。しかし、このウエスは油を吸った布のために、火をおこす際の着火剤として使っている方もいるようで、欲しいという方もいらっしゃいます。人によっては物にはいろいろ使い道があるものだと考えさせられます。