竹を割る方法で一般的に考えられるのが菊割りといって、丸い鉄の輪に6枚とか、7枚とかの刃がついていて、それを竹の切口の中心に合わせて、等間隔に割ることを想像される方も多いと思います。しかしそれではなかなか大きさのまちまちの竹を割った幅を綺麗に揃えるということが難しいのです。割る竹の幅が広かったり、大量生産で作る場合は菊割りで割ってから幅を揃えたりすることもよくあるようです。
取りたいヒゴの幅が狭かったり、貴重な材料を無駄にしたくなかったりする場合には、このけがきコンパスで竹に割りこみ用のすみつけをすることもあります。布巻尺や手製の寸法竹などで印をつける方もおられるようですが、それはその方の手法や地域性なども大きく関わってくるのではないでしょうか。
私が修行に行った別府ではこのけがきコンパスで習いましたが、布巻尺や木の物差しで印をつけているかたもいて、どれがいいということはないのかもしれません。このけがきコンパスの刃先を竹に押しつけて、半回転ずつ回しながら等間隔に印を付けていきます。その印にそって竹割り包丁で割り込みを入れ、竹を等間隔に割っていくのです。
5mmのヒゴを取るなら、5.5mmか6mmほどに印を付けて荒割りをするか、11mmに割っておいて、それを半分に割るという方法もあります。それを幅取りナイフで5mmに揃えていくのです。いずれにせよ、職人さんたちは長年の経験の中で、自分のこだわりを持ちながら、作る籠の種類や技法に合わせて、いろいろな方法で物作りをしているのです。