幻想的な虎竹の里にて

霧の安和の海岸


虎竹の里の海岸が全く見えない程に霞んでいる、このような深い霧は初めてだったので不思議な気持ちになった。2月というのに季節外れの温かさと、雨の湿気のせいだろうか?それにしても幻想的な光景だ。


虎竹の里


虎竹の里が一望できる峠道に入って車を停めた。地元の安和小学校の校歌にも唄われる双子島も煙っている、そこからたなびく霧が焼坂の山々に伸びている。この土地特産の虎模様のは、海からの潮風が一因だとも高知大学の先生から聞いた事がある。


虎竹の里


海からの恵を山が受け、そしてまた海に還す。大きな自然の循環を見たような気がして、ホッと安らいだ気持ちと和を感じる。どこかでも書いた事があるけれど、虎竹の里が、安和(あわ)という地名なのは運命的だと思っています。



続・「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知

虎竹竹林にて四国ブートキャンプ


「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ2日目は、日本唯一の虎竹林からだ。細く急な山道を登ってもらい、竹林での仕事の片鱗を感じてもらう。大変さと同時に、美しい竹林で持続可能な竹の事を少しでも知ってもらいたい。


四国ブートキャンプ高知、虎竹


それにしても2月とは思えないような温かさ、菜の花の咲きそろう田舎道を竹林に向かって歩きながら、今まで自分が思った事もないような話を聞かせてもらう。メモしたいなあと思って探していたが無いのでスマホで自分にメールした(笑)。


四国ブートキャンプ高知、虎竹の里


虎竹の伐採は1月末までだが、まだまだこれから竹林から山出しされる竹が道沿いに積まれている。一束肩に担いでみたが、伐ったばかりの竹は水分が多くて重い!この重量感を知ってもらいたくて、力持ちの男性にも試してもらう。長い竹は重たいだけではない、バランスが大事で力だけでは持てないのだ。


虎竹竹林、四国ブートキャンプ高知


古来、日本人と竹とは密接な関係があり、衣食住全てに竹があったなどという事は遠い昔の事だ。現在ではご年配の方ですら竹に触れた事のない方もいる。


虎竹の里


日本三大有用竹に数えられる孟宗竹、真竹、淡竹の違いや、虎竹の伐採方法、管理についてお話しする。いつも以上に熱心に聞いていただく皆様に、たとえわずかでも竹に対する関心が沸いてくれればいいと思う。


エクストリーム大熊、竹虎本社油抜き


竹虎本社工場に帰ると、さきほど見た竹林の竹が油抜きの製竹加工をされている最中だ。


竹虎工場


こうして竹林から、実際に竹の加工、竹製品の製造、そして販売まで一貫してご覧いただけるのが竹虎の良さのひとつかも知れない。自分達にしたら当たり前だけれど、さきほど竹林にあったこの地域ならではの竹が、ここで既に製品になろうとしているといのは実は物凄い事だと思う。


エクストリーム大熊、竹虎工場


竹ざるの編み方を少し体験してもらいたいと思って教わっていたが、やはり見た目に簡単でも実際やるとなる大変だ。職人の技術はやはり素晴らしい。


エクストリーム大熊、竹虎本社工場


工場には修理の竹籠が届いていた、昔なら近所の竹職人さんにお願いしていたものが、近年そうもいかず竹虎にお送りいただく機会が増えている。愛着のある竹籠を直してお使いいただきたい方がおられる限り、できるだけ対応していきたいと思う。壊れた籠も加工性の高い竹なら何度でも何度でも手直しできるのだ。




環境に優しい素材の竹だが、こうして蘇えさせる事が大事で、お使いいただく方も愛着が沸くのだ。


竹トラッカー


竹トラッカー


好天に恵まれていた2日間だったが、休憩時間には竹トラッカーもご覧いただいた。


青竹踏み


青竹踏み


青竹踏みは慣れないうちは座って使うのも一つの方法だ。早速お試しいただいて慣れない竹林や竹工場見学の疲れを癒して欲しい。


四国ブートキャンプ


エクストリーム大熊、竹虎会議室


最後の参加者の皆様の感想は、竹虎全社員に聞いてもらった。自分達の良いところも、直すべきところも、外側からご覧いただく方の意見が参考になる場合が多い。谷中修吾さん、黒田敦史さんはじめ大熊インキュベーションセンターからお越しいただいたスタッフの皆様にも感謝したい。


エクストリーム大熊、竹虎


最後の記念撮影では、かつての日本では一家に一台はあったのではないかと自分が思うほど、当たり前にあったもの今回の若い皆様では誰一人としてご存知なかった青竹踏みを手にしてくれていた。これは嬉しい。


エクストリーム大熊、竹虎


わずか2日間だけれど、とてもそんな短い時間とは思えないような濃厚そのものの「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプだった。一番勉強させて頂いのは、間違いなく自分でした、ありがとうございました。



「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知

竹虎にて、四国ブートキャンプ、エクストリーム大熊


遂にやって来ました!「エクストリーム大熊」起業支援プログラムの皆様。何と全国約100名の中から厳しい審査で選りすぐられ絞り込まれた11名様が竹虎に来社とあって、あまりスッキリしなかった天気までも晴れ渡った虎竹の里。初めてで、まったく予測不能な展開にドキドキだが、いつもの通りの自分達をご覧いただくしかない。


竹虎にて、四国ブートキャンプ、エクストリーム大熊


わざわざ、こんな竹しかない遠い田舎に10代、20代の若者がお越しいただけるだけで有難い。


谷中修吾、黒田敦史、竹虎四代目


数年前にお会いさせて以来、渋谷ヒカリエや台湾でのイベントにもお誘い頂いた谷中修吾さん、そして福島県大熊町に移り住んで活動されている、大熊インキュベーションセンター黒田敦史さん達が仕掛ける「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプが九州ブートキャンプに続いて開始される。




谷中さんにお呼びいただいた地方創生イノベーションカンファレンスINSPIRE(インスパイア)の動画もあります。


本社工場


今回のプログラムは2日間、羽田から到着した皆様を早速、少しだけ本社工場にご案内した。この方々、只者ではない!すぐに思った、質問の内容が鋭いのだ。


「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知


まだまだ若い皆様とは言え、これから起業される方もおられるとの事で自分のテーマは決まっていた。ごく一部の方にはお馴染みの「侍ジャイアンツ」ウルフチーフの話だ。ご存知ない多くの方のために簡単にご説明すると、地面を覆い尽くすくらいのバッファローの群れにウルフチーフが槍を投げ込んでも一頭も倒せないという逸話だ。


竹虎四代目(山岸義浩)


いくら何千頭走っていようが、一本しか持っていない槍では一頭しか倒せないので自分の獲物をしっかり狙え、そんな話です。


「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知


「そんな簡単な話、ボクたち分かってますよ」と笑っているワケではありません。


「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知


しかし、驚いた。本当に10代、20代の若者達だろうか?それぞれの参加者の方の事業プラン発表が始まると、考えている事が凄すぎて理解が追いつかないことまである。そこにコメントを求められるので頭がパンクしそうだ。


「エクストリーム大熊」四国ブートキャンプ高知


こんな真剣な勉強会は今まで知らない、竹虎四代目は大丈夫だろうか?四国ブートキャンプはスタートしたばかりだ。



愛媛県立西条農業高等学校さんの竹林見学

虎竹竹林見学


愛媛県立西条農業高等学校の皆さんに虎竹の里にお越しいただいた。今回は男子生徒の方ばかりで朝から元気が良くて本当に気持ちがいい。日頃から耕作放棄地の解消を目指して米の有機農法栽培をされたり、環境保全活動として、放置竹林整備と竹の有効活用の研究、石垣の保存活動、棚田ライトアップや竹灯籠制作体験教室など様々な課題に取り組まれている素晴らしい皆様だ。


竹林研修


沢山の方にお越しいただく場合、バスが入れない事も多く竹林への山道まで10分程度歩いいただく。


竹虎竹林見学


孟宗竹を伐って竹林整備をされている生徒さんたちだと聞いて、孟宗竹と淡竹の仲間である虎竹の違いをお話しさせてもらった。孟宗竹は江戸時代に大陸から渡ってきた竹だが、大きい事から重宝されて日本全国に広がっている。




竹の見分け方について、高校生の皆さんにお話しさせて頂いた事と同じような内容をYouTube動画にもしているので、お時間ある方はご覧ください。


竹虎工場見学


竹林から帰ってきたら、さきほど山で見た虎竹がどのように加工されていくかの説明だ。竹を伐る機会がある生徒さんたちだが、竹の油抜きなどは初めての様子で熱心に聴いていただいた。


竹虎工場見学


そして、さらに竹材が皆様に身近な竹ざるのような竹細工や竹製品にどうやって作られいるのか、使われているのかをお話しする。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


クラウドファンディングを使って製作し、横浜まで11日かけて走ったり、山口宇部空港や遠くはメキシコまで行った日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」は、若い皆様にどうしてもご覧いただきたかったひとつだ。


竹虎店舗見学


125周年で製作した虎竹の車で、スペインでの坂道レースや東京のレッドブルのレースに参戦した事も、誰かのリミッターを外せるキッカケになればいい。


竹虎店舗見学


竹林で見れば一本の竹にすぎないものが、竹虎本店では様々な姿に形を変えている。高校生に限らず、もしかしたら馴染の少ないものばかりかも知れないけれど、竹の面白さや可能性をほんの少しでも感じてもらえたら嬉しい。





竹林で失くしたメガネの10年後

竹林で失くしたメガネ


あれはもう、10年近く前になるのではないだろうか?竹林の中でお気に入りのメガネを落とした事がある。自分は、元々視力は良い方で、手元だけが少し見づらいだけだったのでメガネを頭に引っ掛けて仕事していた。汗を拭いたタイミングだったか何かでメガネを何処かに落としたのだった。


虎竹クマデ、竹虎四代目(山岸義浩)


そんなに遠くで失くしたワケではない、自分がいる近辺には間違いなので少し探せばきっと見つかると簡単に思っていたけれど、スペアの眼鏡を持ってきて日暮れまで探しても見つからなかった。その時の事は詳しく「竹林から戻ってきたメガネ」に書いてあるので関心のある方はご覧ください。ついには、社員三人と共にクマデまで持ち込んでの大捜索となった(笑)。


231225705.jpg


最後の最後に、ずっと上の竹林から帰ってきた山の職人が、「竹以外の物があれば、ワシたちには即座に分かる」と言ってすぐに見つけてくれて一件落着となった。


231225703.jpg


虎竹伐採の季節となると、いつも思い出す虎竹の里の伝説だ。今年の虎竹は少し色づきもよいようで安心している、ただ、竹林管理のためにどうして良い竹ばかりを伐採してもいけない。数年先の事まで考えて、虎模様のない竹の方が多く搬出されているのが現状だ。


231225706.jpg


あの時、竹林で即座にメガネを発見してくれた職人に感動して、レンズがキズだらけだったけれど、ずっと愛用してきた。現場では特に良く使っていて、竹トラッカーの「チャレンジラン横浜」や、同じく竹トラッカーで世界竹会議でメキシコを走った時なども、必ずこのメガネだった。


240119708.jpg


しかし今回、遂にあまりにもレンズのキズや曇りが酷くなって、レンズを交換することにした。フレームも随分と古くなっているし、もしかしたら交換時に割れてしまうかも知れないとも言われている。けれど、もし、無事にレンズ交換できて又使えるようなら、これからも出来るだけ長く愛用したいと思っている。





2024辰年、新春虎竹の里ウォーキング

虎竹と竹虎四代目(山岸義浩)


恒例となっている新春虎竹の里ウォーキングで焼坂の山道を歩く。今年は快晴とまではいかないけれど、気持ちの良い朝だ、気温もそこまで低くなくて絶好のウォーキング日和だ。日が差しこんでくる背中が温かい、高知は本当に自然に気候に恵まれている。


虎竹の手すり(遍路道)


焼坂峠に行くまでには数本の道があって、虎竹の里ウォーキングはその年のよって若干通る道筋が違う。昔からあるこの遍路道は、確か昨年も歩いて登ったが途中に虎竹で作った手すりや、急勾配の道にはロープや鎖などが用意されていて安心して通る事ができる。


朝日の差し込む虎竹林


日の光が当たった虎竹は神々しくもあり美しい。


虎竹伐採


今月末までの虎竹伐採シーズンは山道には、伐り出された竹がこのように沢山立てかけられている。


色づきの良い虎竹


虎竹は淡竹(はちく)の仲間で、竹表皮には白っぽい蝋質の粉がふいたようになっているが、その下には虎竹特有の虎柄模様がハッキリと確認できる。この模様の色づきが竹林により、年によって違っていて全ての竹林が同じように色づくわけでは無いのが自然の難しいところだ。


焼坂峠


峠からは竹虎本社が見える、今年もこのように長閑で変わる事のない虎竹の里であって欲しいと願っている。


石垣


峠を越えて歩いていくと、車が一切通らない山道は歩くのも困難なくらいになってくる。そして虎竹はおろか普通の竹もほとんど見当たらなくなるから不思議だ。


残された石垣


そんな山肌には、古人が築いたであろう段々畑が山道の上にも、下の方にも延々と作られているのが分かる。山を削り石を運んで作った石垣の畑では、芋の栽培がされていたいたそうだが、その苦労を思いながら山を下る。


イノシシぬた場


お遍路さんが歩くくらいで、ほとんど人も通らない山道にはイノシシ専用の、ぬた場と呼ばれる水浴び場がある。


焼坂峠


虎竹の里、安和駅


予定より順調に進んだ辰年の虎竹の里ウォーキング、静かな山里を今年の虎竹を会話しながら歩く大事な時間だ。





フランスJardin Zen(禅の庭)からStéphanieさん来虎

Stephanie Reynaud、竹虎四代目(山岸義浩)、エリック・ボルジャ


フランスにはErik Bordja(エリック・ボルジャ)氏が、50年近い時間をかけて造園されたJardin Zen(禅の庭)と言う東洋と西洋を融合させたような不思議な庭がある。たまたま今年は、同じフランスで活動されている日本人庭師さんが虎竹の里にお越し頂いていたが、そう言えばその時に少しお教えいただいたような気もする。


Jardin Zen、エリック・ボルジャ


1時間程度かけて回る広い庭園はフランスでも有名で、多くの方が訪れるというJardin Zenから、Stephanie Reynaudさんが、わざわざお見えになられていた。頂戴した本を拝見すると、創始者のエリック・ボルジャさんは単純に日本の庭を再現している訳ではなく、エリックさん自身の世界観に日本庭園の技や精神を取り入れられているように思える。


Stephanie Reynaud、Jardin Zen エリック・ボルジャ


ちょうどタイミングよく日本唯一の虎竹伐採の時期でもあり、又、たまたま山の職人が竹を運びだす山出しの時に来られて本当に良かった。数日前なら雨で山道が使えなかったので、このような光景はご覧いただけなかったはずだ。


虎竹山出し、エリック・ボルジャ


竹と庭園とは切っても切れない関係がある、植栽はもちろんだが竹で製作する袖垣、縁台、枝折戸、つくばい、シシオドシなど竹虎でも庭園用の竹製品をずっと製造してきた。しかし、2台あった10トントラックを、それらの竹だけで満載にして問屋さんに運んでいたなんて、今では想像もできないほど国内の需要がなくなっている。


Stephanie Reynaud、Jardin Zen エリック・ボルジャ


ただ、日本でもゼロになっている訳ではないし、Stephanieさんから頂いた本にあるJardin Zenでも竹垣は使われていた。変化しつつも未来に繋がっていくのではないかと希望も見えてくる。


Stephanie Reynaud、Jardin Zen、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


竹虎は、お陰様で来年130周年を迎えさせてもらう。エリック・ボルジャさんの庭を拝見しながら、少しワクワクする事を思いついた。竹の根は、たった1年でも予想以上に伸びていく、そんな風に繋がると面白い。



店マップ安和

店マップ安和


安和小学校の3年生、4年生が、地元にあるお店の地図を作ってくれた。表紙の絵がなかなか楽しいが、竹虎の他には社員も良くお世話になっているレストハウス琵琶湖、カレーの美味しい安和八州苑、昔から国道沿いにあるドライバー喫茶ぽえむ、ラーメン遊ゆう安和、小さい頃は良く通ったまるなか釣り具などが取り上げられ、それぞれの店舗に見学に行って書かれたレポートも知らない事もあって面白い。


店マップ安和


虎竹の里で生まれ育った若い方が入社された事がある。彼女は、安和小学校時代に虎竹を使った竹細工教室にも参加した事があったのだが、竹虎に来てから白竹を見て驚いたと言っていた。竹といえば虎模様が付いているのが当り前だと思っていたとの事だった。


竹トラッカー


このように自分達の地域で普通にある竹で作ったが、やはり竹の自動車には子供達も興味を惹かれるようだ。


店マップ安和


そう言えば、こんな話を聞いた。とある機会に高校生数名から、これからの竹活用のアイデアをいただく事があったそうだ。そしたら一生懸命に考えてくれた皆様から、「竹でザルや籠を作ってみたらどうでしょうか?」という提案があったそうだ。つまり、元々ザルや籠が竹だった事すら若い世代には知られていないという事だ。来社いただいた安和小学校の生徒さんからは「わたしは、ここで、はたらいてみたいなと思いました。」と感想を書いていただいた、是非お待ちしてます(笑)。





第21回高知県木の文化賞を受賞しました

第21回高知県木の文化賞


木の文化賞とは、84%を森林が占める日本一の森林県である高知で、県産木材の供給や利用、文化の向上に寄与した団体や個人に贈られるものだ。今回、竹虎はもくもくエコランド森林環境学習フェアの会場ステージにて、「木の文化を実践している人たちの部」で表彰をいただいた。伝統的な技術を守り、育て、活かしながら活躍している人たちとの事で、木の文化をの文化に置き換えると、まさにその通りなのかと思い、有難く受賞させて頂いた。


第21回高知県木の文化賞


高知には木の文化県構想があるからだろうか、魅力的な木造建築が案外と多い。地元であるにも関わらず、案外そのような建物を知らずにいて、たまに教えていただいたら、そのモダンさに驚く事も多い。建物だけに限らず、木造のアーケードなど全国的にも見られないような木材利用をしている例もある。今回同時に受賞された、香美市立図書館かみーるさん、大豊町立大豊学園さん、仁淀川町林業振興センターさんの木造建築物、木造建造物も一体誰が設計したのか知りたくなるほど洗練されていて格好がいい。


虎竹の里


受賞審査の際、複数の方に虎竹の里にお越しいただいた事がある。竹林や竹の生産の事をお話しさせてもらう中で、皆様の反応やご質問から竹文化はあまり知られていないのだと改めて感じた。


この峠道から下に見えるJR安和駅には、その昔には貨物待避線があった。ここから虎竹製品が貨車いっぱいに積み込まれて京阪神に向かって運ばれていったのだが、現在ではそんな面影はない。かつて人とモノで賑わっていた線路のように、消えて無くなり忘れられてしまわないよう竹を繋いでいかねばならない。



母と虎竹の里

虎竹の里


昨日の9月18日は世界竹機構の定めた「世界竹の日(World Bamboo Day)」だった。まだまだ暑い日が続いていて、8月の18日なの?9月なの?と言うほどの日差しだが、さすがに日暮れが近づくと風が変わる。コンクリートに覆われた都会と違うのは、きっとこの辺りで、川が流れ田畑の広がる田舎では、虫の鳴が聞こえる時間帯になると急に過ごしやすくなる。


母と一緒に散歩に出ると、皆さん同じ気持ちなのだろうか、誘われるように遠くの畦道に歩いている方が見える。交差点で出会った近所の方と話しをしながら、虎竹の古里である焼坂の山を望むとも心なしか涼しさに安堵しているようだ。


稲と竹


もう稲刈りを済ませた田んぼがある。その横で、稲穂がたわわに実っているのを見て、先日通りかかった真竹の竹林を思い出した。稲は頭を垂れて後は刈り取りを待つばかりだけれど、その向こうに元気なく倒れそうな竹がある、この竹林にはテングス病が広がっているようだ。何を隠そう竹はイネ科であり、今は収穫の秋の只中だ、同じ仲間に負けるな!ガンバレ!と声をかけた。