別注の煤竹菓子楊枝

煤竹菓子楊枝


少し長めのサイズにした、別注の煤竹菓子楊枝を定番の横に並べてみた。少し大きさが異なるだけでも雰囲気が随分と違ってくるから面白い。お客様のご要望に応じて、数本でも製作対応できるのは、加工性の高い竹ならではと言える。煤竹も自然素材だから一本一本それぞれに、色合いの濃淡や質感に個性がある。


古民家、茅葺


そういえば、皆様は煤竹の事をご存知だろうか?30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」も長く書かせて頂いているから、常連の方々には常識かも分からないが、若い方に煤竹と言っても未知の生活様式(自分も囲炉裏で生活した事はありません)から生まれる竹だから、知らないのが当然だろう。


囲炉裏


煤竹は、昔の茅葺屋根の古民家にある囲炉裏の暮らしから自然とできた竹なのだ。いつだったか、山深い一軒家を訪れると囲炉裏があってパチパチと音を立てていた。室内は、燻された香りに包まれ何とも懐かしくて、いつまでも座っていたくなるような癒される気持ちになったものだ。


古民家天井


昔の住宅の天井には、このように竹材が多用されている。太いものもあれば、細い竹材、あるいは、割った竹材なども見た事がある。


屋根裏煤竹


囲炉裏では毎日火が焚かれるので、これらの竹は100年、200年という長い年月の間に煙に燻される。煤がついて真っ黒い煤竹が、こうして誕生するのだ。


煤竹


縄で縛られた部分には、直接に煙が当たらないから色目の濃淡が自然と出来あがる。古材なので、全ての竹が加工に向いている訳ではなく、それぞれ使える竹材を厳選して使われる。そう思えば、小さな菓子楊枝も愛おしく思えてくるのではないだろうか。



線磨きの平竹団扇

黒竹団扇


黒竹団扇には一年かかった、粘りのある黒竹を団扇の骨にするのが大変なので今まで製作する事ができなかったのだ。そんな、黒竹丸持ち手渋引き団扇が完成して喜んでいるのは、ボクとご夫婦で竹に会いに来てくれた団扇職人さんだけかも知れないが、でもそれで充分に満足している。


竹団扇


近年は、エアコンがあるから夏でも団扇など使う事はあまりないのだと思う。夏の間、一度も団扇を手にされない方も多いのではないだろうか。ましてや、黒竹の丸竹をそのまま使ったモノなんて皆無で、せいぜい平たい竹のものか、何かだろう。


竹うちわ


平竹の団扇は、団扇の素材として大量に輸入されているので手にする事も多いと思う。しかし、同じ平竹でも一昔前のこの団扇の竹のあしらいはどうだ!?竹表皮を薄く剥いでいで磨いているけれど、なんと「線磨き」だ。究極の線磨きは渡辺竹清先生から分けて頂いた、線磨き四ツ目文庫をご覧いただきたいが、日常使いの団扇にまで、こんな技を入れる日本の職人には凄いとしか言いようがない。





竹製アクセサリーの繊細な美しさが蘇る!クラウドファンディングでどうぞ

竹イヤリング


一見、何で出来ているか分からないイヤリングだが、実はこれらは全て竹で出来ている。今ではあまり想像ができないかも知れないが、わずか数十年前まで日本では竹が今よりずっと人に近く、身の回りの様々な製品が竹で作られていた。


竹ピアス


このカラフルなピアスも、身の厚い孟宗竹を削り出したものだ。竹と言わないと誰も気づく事もないと思うけれど、手にとってよくよくご覧いただくと、竹繊維の中にある維管束と呼ばれる模様がうっすらと確認できる。


竹ネックレス


竹編みされたアクセサリーも多く、ネックレスなども多くの種類があった。竹は軽さ、しなやかさという特徴があり、、加工性が高く、バリエーションがつけやすいから考えたらファッション向けの素材だ。


竹ネックレス


これらは全て竹工場の倉庫に45年以上も保管されていたデッドストックで限定品ばかりだが、当時のものなので出来栄えが素晴らしい。


竹ネックレス


竹ヒゴを用意する職人と、編む職人が別だった頃だから、それぞれの工程で熟練度が高く、レトロな竹細工ではあるものの、現在では技術的に難しいものばかりだ。


竹ペンダント


かつて一世風靡した竹製アクセサリーの繊細な美しさは、まさに職人技が光る逸品。竹の持つ自然な風合いと、丁寧な手仕事によって生み出された唯一無二の存在だ。これらの魅力を再び多くの方に知っていただきたく、今回クラウドファンディングを開催しているので、リターンとしてご提供している。


応援コチラ→「よさこい祭りの地方車を土佐の虎竹で!創業130周年記念の地元盛り上げプロジェクト



旅の相棒、虎竹パスポートケース

虎竹パスポートケース


とにかく田舎者なので海外に行くと目が回る(笑)。日頃なら考えられない事をしてしまう場合もある、ジャカルタのスカルノハッタ国際空港がそうだった。あまりの空港の広さに驚いた、乗り換える飛行機にどうやって行けば良いのか皆目分からない。一番最初に作ったプロトタイプの虎竹パスポートケースを手に迷ってしまい、締め忘れたジッパーからパスポートはじめチケットやら何やら全てをロビーに落としていた!


虎竹パスポートケース


自分でも、そんな事するのか?と今でも思うけれど、実際に落としていたのだから仕方ない。親切な現地の方に声を掛けてもらって紛失は免れたが、知らない土地では平常心を失ってしまう事があるのだなあと、しみじみと感じた。ちなみに、その後も親切な現地の方に出会ってシャトルバスに乗る事ができ、さらに親切な方に降りるターミナルで「ここだよ」と教えてもらい乗り継ぎの飛行機に間に合った。


虎竹パスポートケース


帰国してからパスポートケースは、ジッパーが開いていても中身が落ちないように革仕切りを工夫した。海外では大事な相棒、少し重くて硬い本体だが作務衣の内ポケットにスッポリ収まる虎竹を一生使うだろうと思っている。



虎竹名刺入れ、持たないでどうする

虎竹名刺入れ


先日、自分にはあまり似合わないお洒落なカフェに入って財布を取り出したら、「ああっ!あの竹ですね!」と店員さんが口を大きく開けて驚いてくれた。そこまでビックリしないだろうと思いながらも、嬉しい。一日ハッピーな気持ちで過ごす事ができた。そんな虎竹シリーズで一番人気は、やはり虎竹名刺入れだ。


虎竹名刺入れ原版


そして、これが虎竹名刺入れの原版と呼んでいる加工前の部材である。精密に切断された虎竹を丁寧に生地に貼り付けてあり、これから革細工の工程に進んでいく。それにしても数十単位で作られたものを並べてみたのだけれど、すでにこの段階で美しい。


虎竹名刺入れ原版


横から見ていただくと、竹ヒゴがカマボコ状になっていて、手触りが良い事がお分かりいただける。模様のように見えているボツボツは維管束と言う竹の繊維で、表皮に近いほど密になっていて強度が高い。つまり、虎竹名刺入れは使い手に優しく、竹本来の堅牢さを持っているという事だ。


虎竹名刺入れ


竹は松竹梅の中にあって縁起がよく、何より神秘的な成長力から古来大事にされてきた素材。そして、虎は千里行って千里帰ると言うほどの勢いがあるたとえなので、バイタリティあふれる方にはピッタリだと思う。「世に生を得るは事を成すにあり」土佐高知の英雄、坂本龍馬のような事を話すあなたが持たないで、どうする。



竹アクセサリーの思い出

竹ブローチお客様の声


お客様から竹ブローチ(結び)への嬉しいおハガキをいただいた。小学校の頃にお母様からプレゼントされて60年愛用されているなんて、涙が出る。


竹ペンダント


今回、お届けさせていただいた結びの竹アクセサリーは、あの頃とデザインも作りも全く変わらないそのままだ。


竹イヤリング


お客様もまだ小さくて、もしかしたら覚えておられないかも知れないが、実はあの頃には竹で編まれたアクセサリーはブローチだけでなくイヤリングやネックレスなど、色とりどりで本当に何でもあるかのように思えるほどだった。


竹アクセサリー


虎竹髪かざり


竹編みや色合いまで上手に描がいて頂いた絵を拝見するだけで、小さな竹細工への思いの深さが伝わってくる。本当に竹の仕事は素晴らしい、楽しいと思える瞬間でもある。





50年愛用する竹の物差し

50年愛用する竹虎四代目(山岸義浩)の竹物差し


この物差しを50年以上手元に置いて使っている。は真っ直ぐで、安定性抜群、軽くて手触りが最高、さらに竹肌の色合いが飴色に深まり何とも言えない、惚れ惚れしてしまう。


50年愛用する竹虎四代目(山岸義浩)の竹物差し


持ち物には名前を書きなさいと教わっていた、素直なので言われた通りに名前を書いている。一生懸命に出来るだけ丁寧に書いたのが文字から伝わってくる、あの純朴な少年は一体どこに行ったのだろうか?


竹物差し


裏にマグネットが付いていて、黒板に貼り付けられるようになった大型の物差しを教室で見た事があると思う。これも竹で作られている。


竹工場の竹差し


竹の物差しは、一般のご家庭はもちろん、職人の現場で使われている事も多い。当たり前だけれど、竹職人の仕事場には様々な竹の物差しがある、そしてそれぞれが独特の存在感を放っている。物差しがないと始まらいからだ。細い丸竹で20本もの差しを使っている職人がいたが、長短ある一本一本が格好良かった事を思い出す。





漆で仕上げた虎竹茶杓

虎竹茶杓


この30年で茶華道をされる方はかなり減ったのではないかと思う。何を隠そうお茶は続けられなかったが、華道は好きだったので数年間知り合いの先生の所に通っていた。その当時は、どちらも生徒さんも多く、結構厳しかったし熱心に取り組まれている方ばかりだったと記憶している。


虎竹茶杓(漆)


そもそも茶華道と竹とは深い関係があって、竹は多用される。竹虎の本店でも茶道、華道で使用する道具は手頃な物から作家の創作した高価な物まで沢山取り扱わせてもらっていた。


虎竹茶杓(漆)


茶杓は虎竹はもちろん、今くらいの時期に湯抜きして天日に晒した白竹でも作っていた。虎竹をガスバーナーで油抜きする事を乾式と呼んでいる、この仕事の時の香りも素晴らしいけれど、湿式と言う白竹の湯抜きで竹が放つ香りも好きだった。


虎竹茶杓


虎竹茶杓は全て漆で仕上げる事にした。自然の虎模様に深みが増すのが気に入っている。



懐かしくて新しい結びの竹ブローチ

 
竹ブローチ


竹ブローチと聞いて懐かしく思う方は多くないのかも知れません。ところが、今よりもっと竹が身近で手頃な時代には生活の中の実用品、必需品としてだけではなく、アクセサリーとしても竹細工を自然に楽しんでいたのです。


竹ブローチ


竹ブローチ


竹編みの技は昔から多々伝えられ種類も多いので、ブローチ一つにしても竹の軽さや柔軟性を遺憾なく発揮した個性的なものが沢山作られました。


竹かんざし


竹ネックレス


竹のかんざしや、少し凝ったネックレスのような装飾品まで竹で出来ないものはないと思えるほど種類があって、竹職人の創造性の高さや竹の無限の可能性を子供心に感じていたことを覚えています。


竹ハンドバッグ


そうそう、竹ビーズのハンドバックなどもありました。孟宗竹の身の厚い部分を球形や楕円など小さなビーズに削り出した物を繋いで作られていたのです。このレトロな竹細工は、自分がたまたまお伺いした古い竹工場の倉庫から45年ぶりに奇跡的に発見して皆様にご紹介させて頂いた事があります。バッグ類はすべて無くなりましたけれど竹ビーズネックレスは少し残っています。当時の古き良き日本の竹を感じていただける手掛かりにはなろうかと思っています。


竹レトロブローチ


少しづつ編まれる現代の竹ブローチは、そんな竹アクセサリーの昔と今をも結んでいます。




虎竹六ツ目編がま口財布ができました

 
虎竹六ツ目編がま口財布


がま口財布に虎竹六ツ目編みが似合っています、どちらも和のデザインだから親和性が良いようです。下半分だけに竹編みで飾るのも、まるで竹割で壁を飾る腰張りに通じるものがあって気に入りました。


虎竹六ツ目編がま口財布


試作で出来あがった虎竹六ツ目編がま口財布は6色、それぞれ限定販売して最終的には人気色を一つか二つに絞っていきたいと考えています。


虎竹六ツ目編がま口財布


虎竹六ツ目編がま口財布


しっかりした力竹が入ったり、内側の生地色も洒落ていたり、作りも丁寧ですし、若い感性で仕上げられた、ちょっと面白い竹細工ではないでしょうか。


虎竹六ツ目編がま口財布


可愛さが目を引くのか、女性の方にかなり人気です。好みの色目でワイワイできるから最強です(笑)。