無塗装の竹カトラリーへの注意

無塗装竹スプーン、ウレタン塗装竹スプーン


竹のカトラリーは、環境に優しく、口当たりがよくて、軽く使いやすいことから人気が高い商品のひとつだ。最近では、表面に塗装を施さず、自然な風合いを生かした無塗装仕上げをご要望されるお客様も増えている。しかし、無塗装の竹製品には特有の課題がある。


孟宗竹


竹は本来、水分を含みやすく、環境によってはカビが発生しやすい素材である。そのため、竹材の選定から保管、加工に至るまで、職人は細心の注意を払いながら一本一本を大事に製造していく。


炭化の割竹材


身近ではあるが、管理が難しい素材だけに、竹を高温と圧力で蒸し焼き状態にする「炭化加工」を施した竹材を使用している。この加工によって竹の水分量を減らし、安定性を高めることができるのだ。


竹カトラリー竹素材


炭化を強めれば良いと言う訳でもなく、色合いや強度などそれぞれの竹製品に適した温度等がある。ただ、そうして製造していても無塗装の竹製品の場合には、使用環境や季節などにもよりカビの発生を完全になくす事は難しいと思う。


竹カトラリーの素材、炭化孟宗竹


特に湿気の多い場所での保管は避けるべきで、使用後はすぐに水気を拭き取り、十二分にしっかりと乾燥させることが重要だ。


竹カトラリー製造


また、長期間使用しない場合は、風通しの良い日陰で保管することが望ましい。これらの管理を怠ると、カビが発生しやすくなり、製品の劣化を早めてしまう。


無塗装竹レンゲ


竹のカトラリーは、適切に手入れをすれば長く愛用できる。しかし、その魅力を最大限に生かすためには、ユーザー側の意識も欠かせない。


カビ


湿度の高い季節などは、一晩でカビてしまう事もある竹カトラリーだ。無塗装の竹製品は、自然素材ならではの風合いを楽しめる反面、扱いに注意が必要である。その点を理解し、適切な管理を行うことが、竹のカトラリーを長く愛用するための鍵となる。


竹カトラリー仕上げ漆


こちらは、ウレタン塗装と漆塗装の竹フォーク、竹ナイフ、竹スプーンだ。耐久性や風合いを大切にすれば、若干高額になるものの、個人的には漆塗布が一番のオススメだ。





竹製鬼おろしで味わってください、冬の大根おろし

竹製鬼おろし


虎竹の里では、野菜や果物を近所からいただく事も多い。先日も丸々と大きく太った大根を頂戴した(笑)、冬の寒さが深まるこの時期、大根がますます美味しくなる。煮ても焼いても美味しいので大好きだ。しかし、何と言ってもやはり欠かせないのが「大根おろし」だと思う。シャキシャキとした食感とほどよい辛みが、焼き魚や鍋料理を一層引き立てる。しかし、一般的なおろし金ではどうしても細かくなりすぎ、水分が出てしまうことがある。そこで大活躍しているのが竹製の「鬼おろし」だ。


竹製鬼おろしの最大の特徴は、粗めにおろせる点である。竹は縦に繊維が沢山通っていて非常に硬質だが、その竹歯が鋭く立っており、大根を力強くすりおろしても適度な食感を残すことができる。一般的な金属製のおろし金とは異なり、大根の繊維をつぶしすぎず、ふんわりとした仕上がりになるのが魅力だ。さらに、竹は水切れがよく、使い終わった後の手入れもしやすい。


竹製鬼おろしの大根おろし


寒い冬には、おでんや鍋料理にたっぷりの鬼おろし大根を添えて、さっぱりと楽しむのもおすすめ。鬼おろしで作る大根おろしは、余分な水分が出にくいため、味が濃く、料理との相性も抜群なのだ。また、消化を助ける酵素も豊富に含まれており、食後の胃にも優しい。


竹製鬼おろし


他の竹製鬼おろしとの違いは、この平たい持ち手、しっかりと握れるように作られている。すりおろす際の安定感があり、力を入れやすいので、女性の方でも使いやすい。昔ながらの竹の道具は、手作業の温かみと実用性を兼ね備えている。ぜひ、竹製鬼おろしを使って、この冬の食卓をより豊かに美味しくしてください。





本物の国産竹楊枝に応援ありがとうございます。

国産竹楊枝と竹製楊枝入れ


復活した国産竹楊枝が、お陰様で沢山の方にご支持・応援いただき本当に感謝している。本物の国産だ、日本の竹林だといくら言ってみても、お客様の皆様にご購入いただけないと、竹林も職人も何ひとつ守ることはできない。だから、皆様の期待は裏切らない、励ましのお声には応え続けていく。そんな復活を遂げた国産竹楊枝だが、改めてのその魅力とは何だろうか?




まず、竹楊枝の最大の特長は「しなやかさ」と「強度」だ。木製の楊枝は乾燥すると折れやすく、ボクが気になっているのは一番大切な先端部分の弱さで、使っていてすぐに鋭さがなくなってしまう。しかし、竹楊枝は繊維が密で弾力があるため簡単には折れない、強さもあるから先端部分の鋭さはいくら使っても変わらないのだ。更に、今回の新しい竹楊枝はサイズを8センチと少し長めにして持ちやすくしている。


国産竹楊枝入れ


天然の抗菌作用がある竹をもっと快適にご愛用いただこうと、こちらも国産で製作した竹楊枝入れもご用意する事にした。これで、一本一本丁寧に仕上げられ、表面が滑らかな竹楊枝を食卓に置いていつでもお使いいただけると思う。




現在、市場に出回る竹楊枝は海外製ばかりだから、価格も決して安くはない日本製の竹楊枝を復活させても、一体どこまで受け入れて頂けるのか分からなかった。けれど、ふたを開けてみれば、やはりボク達のような日本の竹にこだわり、伝統のモノ作りに心を向けてくださるお客様が多い事に、安心感と心強さを頂いている。竹虎のお客様のような方がいる限り、竹を守り、人を守り、この伝統を守りながら、より多くの人に日本の当たり前の良さを伝えていきたい。



虎竹クロッシュが新登場

虎竹フードカバー(クロッシュ)


クロッシュ(cloche)をご存知だろうか?多くの方は、呼び名は知らずとも一度くらいは見た事があるのではないかと思う。西洋料理で、温かさや鮮度保持のためにかぶせている銀色のカバーがそれだ。クローシュとも呼ばれているようだが、フランス語で釣鐘の意味で、まさに帽子のようにも見える独特の形でテーブルで異彩を放っている。


虎竹ドームカバー(クロッシュ)


主に銀製である事が多いけれど、ガラスや大理石、ご家庭ではガラス製が一般的だと思う。ところが、やはり、ここは虎竹の里、普通なら銀製のドーム型の蓋さえも、やはり日本唯一の虎竹製なのだ。


虎竹丸皿カバー(クロッシュ)


職人が遊び心で製作した虎竹クロッシュ、金属やガラスなど冷たい素材と違って温かみがあるのが一番の特徴だ。


虎竹フードカバー(クロッシュ)


更に通気性の良さが機能面で大きく異なる、果物やパンなどの保管には向いていそうだ。


虎竹フードカバー(クロッシュ)


面白がって製作してみたクロッシュだが、案外虫除けなどに活躍しそうで期待している。





別注の虎竹柄杓(ひしゃく)の使い方

虎竹柄杓


ヒシャクと言っても、こちらの虎竹柄杓は一般的な思われている形とはかなり違っている。細い竹柄の先端の合の部分が縦長で直径も随分と小さいのだ。


虎竹ひしゃく


合だけ見ていると一体何なのか、さっぱり分からない(笑)。


柄杓


高知四万十にある無手無冠という造り酒屋さんの火振り酒は、18リットルも入る大きな美濃焼き瓶に詰められて、四万十川近くの山の貯蔵庫に四万十時間=40,010時間(約4年7ヶ月)も寝かせておくそうだ。


虎竹ひしゃく


虎竹ヒシャク0616-2.jpg


口の小さな瓶から待ちに待った火振り酒を酌み出すのに使われるのが、この虎竹柄杓。先端が自由に動く事によってスムーズに酌み出せるのだが、百の話を聞くよりも、一度実際にご覧頂いた方がずっと分かりやすいと思う。





竹調理ヘラについて

竹ヘラと孟宗竹素材


竹ターナーや竹ヘラ、竹しゃもじ等をキッチン道具としてお使い方は多いと思う。もしかしたら、竹なのか木なのか分からないと言われる方もおられるかも知れないが、竹の場合は節の部分に独特の模様が入るので比較的容易に見分ける事ができる。このような竹製品には、まず日本最大級の孟宗竹の中でも太くて肉厚な素材を厳選しなければならない。その竹材を熱と圧力で炭化加工させて防虫、防カビ効果を高めた平材をつくり、それぞれの製品に加工していくのだ。


竹炒飯ヘラ


そんな中でも竹の炒飯ヘラは少しユニークで、丸い竹の曲線を活かした作りが調理しやすいと評判だ。右用と左用があるので、どちら様でも使いやすいヘラだと思う。


竹炒飯ヘラ


柄の部分もゆるやかなカーブが付けられている。


竹しゃもじ


竹は軽くて丈夫と言うだけでなく、何と言っても手触りが良いから調理ヘラやしゃもじにも最適だと思っている。使った後は、こうして風通しの良い場所で乾燥させられたら一番いい。


竹しゃもじ


大きな竹しゃもじから小さな竹スプーンまであって、それぞれ作り方が少し異なる場合もあるけれど基本的には一枚の板状にした竹材を切り出し削っていく。動画でご覧いただくと手作りの様子が良くお分かりいただけると思う。





希少な国産の竹串

国産竹串


大きな器に炊きたてのご飯と共に入れられた数種類の焼鳥は、まさにこれから竹串を抜いて焼鳥丼にしてお客様に出されようとしている所だ。美味しそうな焼き目、こだわりの店主の気迫あふれる仕事ぶり、炭の香り、幸せな煙のたちこめる店内だが、竹串に注目される方は少ないかも知れない。




日本人が竹を忘れていると話す事があるけれど、このような串や割箸など含めて食に関わる道具には竹に代替えできない物も多い。だから竹串も、かつてはこのような竹工場で何人もの職人さんが関わって大量に作られていた時代があった。それぞれの仕事に熟練の方がおられて、見事な手さばきには惚れ惚れしたものだ。


孟宗竹の竹林


時は移り、日本の竹林では竹が伐採される事さえも随分と少なくなってきている。指先に摘まめる程の細い竹串も、実はこのように広い竹林から運ばれてくる、直径が10センチを超える大きな孟宗竹で製造されているのだ。


国産竹串


しかし、海外からいくらでも輸入されている竹串を、そこまで国産にこだわる必要もあるのだろうか?そこに店主から電話がかかってきた、自分の使う炭を知りたくて高知の山奥にある窯を訪ねるような方だ。この炭窯の主も面白いが、少年のように声を弾ませる店主も面白い。このような方がいるのなら、竹串職人も少しは報われるのだろうと思っている。



竹の鬼おろし、雑誌「モム」に掲載

雑誌「モム」


日本の手仕事に注目した雑誌「モム」さんに竹製の鬼おろしを掲載いただいた。まさに、これから冬の寒さもピークを迎えようとする時でもあり鍋料理を囲む機会も多いのではないだろうか。一年通して重宝する鬼おろしだけれど、やはり大根はの旬は冬、美味しさを満喫できる季節だ。


竹製鬼おろし


シャキシャキ新食感の大根おろしと言っているけれど、本当に初めてお使いの方は今で味わった事のないサラダのような大根おろしに驚かれるかも知れない。竹は、他の木材などに比べても硬質で、鬼歯にするのに適している、使ってみると分かるけれど、大根が面白いようにザクザク摺り下ろせるから、さすが竹だと感心する。


鬼おろし鍋セット1


鍋のセットにも当然入っている竹製鬼おろしだが、単体で使うよりは、やはり竹皿とセットが断然使いやすい。竹皿をあまり深くすると、今度は収納に不便になるので現在の形になっているものの、実際に使うとあれよあれよと言う間に大根が摺れて一杯になる。沢山摺り下ろした大根をタップリ使って、美味しい料理で温まっていただきたい。





手間いらず簡単、ぽかぽか温まるヘルシー蒸籠料理

国産檜蒸篭


台所で湯気が立っているのを見ると何となく安らいだ気持ちになるのは自分だけだろうか。寒い季節になると人気の蒸籠だが、どうして多くの方にご支持いただけているかと言うと、やはりその手軽さ簡単さからだと思う。


国産檜蒸籠


肉でも魚、野菜などお好みの食材をそのまま、あるいはカットして入れて蓋をして蒸し上げるだけだ。食べごろは、蒸し時間は食材によって異なるけれど、竹串を刺したり(自分は竹箸でそのまま突いたりするが)すれば分かるから初めての方でも失敗はない。


国産檜蒸篭


ただ、いくら短時間で簡単にできるからと言っても美味しくなければ意味がない。ところが、この蒸籠料理は食べ物の味をそのまま堪能できて本当に美味しい。おすすめは馬路村農協さんのポン酢しょうゆだけれど、最近はもっぱら「組合長」と言う赤ラベルの物を気に入って使っている。これを付けて頂くと、野菜などでもいくらでも食べられそうだ。


セイロ料理


健康に気をつけておられる方がいたら、更にこの蒸籠の素晴らしい点をお伝えすると、油を使わず蒸気で調理するので非常にヘルシーだ。ダイエットされている方にもオススメしたい料理と言える。


杉蒸篭


このように、お手軽・美味しい・ヘルシーと三拍子揃った蒸籠料理には、本格的な国産檜蒸籠から、初心者の方にも好評の杉蒸籠まで色々とある。


キッチンペーパー


インターネットで見ていると色々あって迷ってしまいそうだが、お二人で使うくらいなら、蒸籠18cmサイズが2段になったタイプか定番だ。IH対応鍋つきセットがあるので、これさえあれば今夜からぽかぽか温かい蒸籠料理をお楽しみいただけます。





超特大わらいずみ

わらいずみ(飯つぐら)、竹虎四代目(山岸義浩)


先日の30年ブログでは超特大の国産熊手を製作したお話しをさせてもらったけれど、本日は超特大のわらいずみだ。わらいずみ、と申し上げてもご存知ない方も多いかと思う、現在ではお鮨屋さんで見かける事があるくらいのレアな生活道具となっているからだ。ところが、保温ジャーなどが出来る前は、炊いたご飯を冷まさないように藁で編み込んだこのような蓋付き容器に入れていたのだ。


わらいずみ(飯つぐら)


飯櫃入れとか、飯つぐらとも呼ばれていて、ご飯を少しでも温かく美味しく食べようとした先人の知恵を思ってしまう。しかし、このサイズはどうだろうか?かなり大きなお櫃が入れられそうだけれど、ここまで大きなわらいずみは、さすがに初めてだ(笑)。




どんな風に編まれていくのか関心のあられる方は、職人の手仕事を動画にしているのでご覧ください。


猫ちぐら


最近寒くなってきたので、ご自宅のペットが猫ちゃんハウスを良く使っているという方もおられるかも知れない。色々な素材の物がるようだが、元々猫ちぐらと言って藁で編まれたものが古くから日本にはあった。これなど、わらいずみと同じ技法で作られている。


わらいずみ(飯櫃入れ)


直径が大きな特別サイズだけに持ち手の藁縄も長めにして取り付けてもらった。


わらいずみ編み込み


しっかりした編み込みは、超特大サイズでも変わる事がない、良く見ると藁の色合いが、まだ青く残っているものがある。


わらいずみ(飯櫃入れ)


竹はイネ科なので、実はわらいずみは親戚のようなものだ(笑)。竹の青さが落ち着いた色合いに経年変色するように、わらいずみの微かな青さも時間と共に薄らいでいく。