巳年!日本唯一の虎竹蛇籠で、最後のニホンカワウソの清流へ

竹虎年賀2025


2025年の新春挨拶状は、松の内を過ぎてからお届けしたいと思っていたので少し遅れての発送となった。昨年の10月に切手代金が上がった事もあってか、届いた年賀状には今年で最後にするというお知らせが本当に多かったけれど、竹虎は1985年からずっと続けている恒例行事のようになっているので、出来れば出せるうちはお送りしつづける覚悟だ(笑)。


虎竹蛇籠2025


さて、巳年にちなんで編み込んだ虎竹蛇籠を「特大」と呼んでいる。しかし、実は蛇籠は元々大きな石を詰めて編み込んだものを護岸用等として用いていたものだから、本来はこの程度のサイズ感なのだ。


蛇籠箸置き


花籠蛇籠


あえて「特大」と呼んでいるのは、現代では蛇籠など知らない方ばかりだと思ったからだ。せいぜい、このような蛇籠をモチーフにした箸置きや、あるいは、花籠くらいしか知られていないだろうと思っていた。


竹虎四代目が蛇籠に入る


実は、箸置きや花籠なども、あまり存知上げない方がいて竹の事はいよいよ忘れられているなあと痛感したのだが、そんな籠の中にボクは入っていった。


竹虎四代目、山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI


中から見ると、こんな感じだ。本当にここから抜け出そうとしても竹の堅牢さに阻まれて容易ではない。


虎竹蛇籠を閉じる


入口をしっかり編み込んで、遂に出られない状態になった。


虎竹蛇籠運ぶ


この新荘川は、日本で最後にニホンカワウソが見られた清流で鮎釣りでも知られている。ちなみに、地域のゆるキャラしんじょう君がカワソウなのは、このためだ。


虎竹蛇籠撮影、ミナモトタダユキ


毎年、撮影は写真家のミナモトタダユキさんにお願いしている。小さな田舎の竹屋まで、東京からカメラマンさんにお越しいただくのは恐縮なのだが、出来あがるハガキが全く違うのだ。


ミナモトタダユキ


そんな一流のミナモトさんが、少し撮影した後に不敵な笑みを浮かべながらやって来る。


虎竹蛇籠を川の中へ


嫌な予感がしたが、案の定だ。深みに連れられていく、どうしようもない。


虎竹蛇籠水没


倒されたり(笑)


虎竹蛇籠、竹虎職人


立てられたり(笑)


ミナモトタダユキ撮影


また、倒されたりして、撮影は終わった。


虎竹蛇籠引き上げ


岸に運んでもらう、編み込みを解いて外に出た。


竹虎四代目


全身ビッショリで、こんな感じだ。


竹虎職人、虎竹蛇籠


気持ちのいい、最高の一日だった。できあがった新年挨拶ハガキは、昨日あたりには全国に届いたようで、沢山の反響をいただいている。それも、カメラマンの腕と、この社員と虎竹のお陰だ。





2025年、よろしくお願いいたします。

蛇籠、竹虎四代目


皆様、2025年が始まりました、今年も何卒よろしくお願いいたします。さて、そこで新年になったのに今年の新春挨拶が届かないなあ、と思われている方はいないだろうか?もしかして、近年流行りの年賀状じまいしたのだろうか?いやいや、実はそういう訳ではありません。竹虎の新春挨拶状は1985年から、写真付きでお送りさせて頂いている。


そもそも、中学高校と全国から生徒の集まる全寮制だったし、大学の友人達とも卒業すれば会う機会は少ないだろうから、一年の報告という意味で、節目の新年に年賀状として送り出したのが最初だった。増えたり、減ったりしながら今年も4000通近くを発送する。巳年にちなんで、あまり皆様には馴染がないと思われる蛇籠をモチーフにしている。蛇籠は竹編みの中に石を詰めて、河川の大雨対策に使われてきたものだ。


年明けから穏やかな日が続いているが、今年もどんな事が起こるか分からない。どんな洪水にも耐えて虎竹の里を守れる蛇籠になりたい。皆様のお手元に届くのは、松の内が明けてからになると思っています。





楽天ショップレビュー総数9500件の「ありがとう」

竹虎社員


30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご覧いただく皆様には、もしかしたら、あまり馴染がないかも知れないけれど、竹虎は楽天市場にも出店させてもらっている。実は、今年で22年になるので老舗の部類に入ると思う。けれど、あまり力を入れるという事もなく、「マラソン」や「スーパーセール」と呼ばれる販促も、存在は知っているものの「今日は、お客様が多いなあ」と、不思議に思ったり、感謝したりする事はあっても特別に何をするでもない、そんな感じだった。


それが、変わったのは今年の4月から、楽天市場が用意してくれている「アドバンス」と言う勉強会に参加させて頂いてからだ。指導いただくリーダー店舗がいるのだけれど、その方を先頭に一緒に学ぶ仲間も、取りまとめをしてくれる楽天の社員もそれぞれが凄い!ハッキリとした目標を持ち、共有しあい、やる気と活力に満ち溢れている。まだ、インターネットにこんな世界があったのか!?強い衝撃を受けた。


今年も大切な人達が逝った。人はどうせ死ぬ。ならば、自分のやりたい事、好きな事を力いっぱいやりたい。そう考えているボクは、今までおざなりにしていた楽天市場を見直す事にした。


楽天授賞


竹虎では、社員はじめ内職や近所のおばちゃん達も喜んでくれるので、事あるごとに高知新聞さんに掲載のお願いをしてきた。地元の新聞に載ると、見てくれた方から「載っちょったねえ」と、自分達の事みたいに喜んでくれる。中には、ありがたい事に竹虎掲載記事を新聞バッグにして店に届けてくださる方までいる。その延長で、同じく数多ある受賞応募なども、ずっと大切にしてきた。誰にも知られず、ともすれば下に見られてきた竹の仕事を少しでも認めてもらいたい気持ちもあった、けれど、楽天市場での受賞には、あまりにも無頓着だった。


ところが、楽天の勉強会参加を機会に、今まで気にもしていなかった授賞履歴を調べてみると、月間優良ショップを累計14回、ショップ・オブ・ザ・マンスを累計4回も授賞していた。さらに、お客様から評価いただくショップレビューが、9500件ものレビュー総数のうち5点満点中4.91もある。


6万店舗がひしめく日本最大級の楽天市場でも、1万件近いレビューがあって4.9以上を維持している店舗はあまりないようだ。これは、接客や配送まで含めてお客様に認めて頂いている証ではないだろうか。今まで、このような総合評価をハッキリ数字で意識した事はなかったけれど、竹虎社員の仕事が多くのお客様に認めていただけているという事だと思う。




時間の流れは早いものだ。十二支がひとまわりして明日から巳年になる。12年前に製作した動画を改めて観てみると、自分が何も成長していない、相変わらずの姿にため息がでる。しかし、動画最後に登場する社員たちを見てもらいたい。竹虎のような小さな田舎の会社で、本当によく頑張ってくれている。楽天での評価は、おそらく会社全体の評価に繋がっていると思うけれど、それは社員一人一人に対する労いの声だ。ああ、こうして、人に支えられてばかりの新年を、又迎えることになる。



30数年前を思い出す風合い、泥染め作務衣

竹虎四代目、作務衣


365日作務衣のボクが、好きが高じて30数年のお付き合いのある玄照堂さんでオリジナル作務衣を作ってもらっている。初めは皆様に販売する事など思っていなかったけれど、お客様のお問い合わせが多いのでお分けしているうちに、すっかり定番となってしまった。


作務衣の竹虎ロゴマーク


しかし、竹虎は作務衣店ではないし、作務衣なら玄照堂さんで他の種類などもあるので購入いただければ良いと思うのだが、案外と皆様に好評のようだから面白い。背紋の竹虎ロゴマークのせいだろうか?




YouTube動画の中でも話しているが、週末だけに着用される一般の方であれば、一着あれば一生色落ちを楽しみながら着られるのではないかと思う。ただ、身体を動かす仕事などに着るとなると別で、ボクのようにまるでパッチワークのように当て当て布をする事になるかも知れない。それでも、一着あれば大丈夫だろう。
(ちなみに動画の中で鳴いているウグイスは本物です)


洗濯籠


さて、ところで、30着ある作務衣の中で最近一番気に入ってるものがある。それが、奄美大島の伝統技術である泥染めを施した作務衣だ。鉄分を豊富に含む泥と植物染料を用いることで、奥行きのある独特の色味が生まれている。実は、十数年前から泥染めも着ていて既に4着目なのだが、最初の泥染めは製法が違っていて色落ちが早く、本当にこれが泥染めだったのか?と言われるくらい白っぽい色になってしまった。




白っぽくなった作務衣も、また味があるのでOKだけれど、洗濯しすぎで生地が弱くなっている(笑)。その後、今では廃版になっている縞模様や、ピンチェックも着てきたが、最新の藍染作務衣を泥染めしたものが最高にイイ感じだ。ボクが30数年前に初めて買った、まさに江戸時代の藍を再現すべく作られた作務衣があるのだけど、少しそれに似ている。いや、まだ着こなしが足りないので、今後どう育つかは分からない。けれど、泥染めして蒸し加工を施した生地の色合い、色落ち、なかなか渋い。


まだ動画にできるほどでもないので、もう少し時間が経ってから撮るつもりなので、お好きな方だけにご覧いただきたいと思っています。



竹トラッカー、キテレツ文化祭へ行く

坂本龍馬、中岡慎太郎、武知半平太


坂本龍馬、中岡慎太郎、武知半平太という土佐の偉人の像がたつのは高知駅前の、こうち旅広場。週末には楽しいイベントが開催されて旅行客の方にも好評の高知観光の玄関口だ。さて、ここで初めて開催されたテレビ高知の番組「キテレツが咲く」と高知青年会議所がコラボレーションしたキテレツ文化祭に竹虎も参加させてもらっていた。


竹トラッカー、虎竹兜


土曜日の早朝、寒空の下、誰もいない虎竹の里の工場からスタート。先の世界竹会議台湾での走行のために、バッテリーを積み替えたばかりとは言え、この気温の低さ(温度が低いとバッテリーの減りが早い)と久しぶりの長距離単独走に緊張していた。




この日の走行動画がないので、何かないかとYouTube動画を探していたら、あった!チャレンジラン横浜で、1000キロの道のりを11日間かけて走った末にたどり着いた世田谷ベースでの所ジョージさんの激励動画。東京まで走った事を思えば、高知駅までなんて、どうという事はない(笑)。


竹トラッカー目盛り


ところが、やはり予想どおり満タンにしていた電気が高知市内に入ると心もとなくなってきた。そう言えば、いつだったか同じルートで走ってきて途中のジーパン屋さんで充電させてもらった事を思い出した。こうなれば、どこか途中で停まれば民家でも何でもお願いして少し電気をお借りしよう...。






電源など全く見当たらない箱根峠や高知から松山の間の三坂峠ではないのだ。自分に言い聞かせながら、ギリギリ最後の一目盛りになって、会場のこうち旅広場に到着!


キテレツ文化祭、こうち旅広場


初めての開催なので、どんな催しなのかと思っていたキテレツ文化祭は、FUJIWARAのお二人や、僕が見たかった青空の西森杏弥さんはじめ、デハラユキノリ、安藤桃子さん、柴田恵介さんら番組のレギュラーの方も参加されて大盛況。


キテレツ文化祭、テレビ高知


キテレツ文化祭


竹トラッカーも、お子様に気に入ってもらえたり、海外からの観光の方に写真に収めていただいたりと、ハラハラしながら乗って来たかいがある人気ぶりで安心した。


ブリッジ


さて、ところで今回の走行の途中で、ひとりの女性にお声をかけてもらった。


レストランブリッジ


仁淀川大橋のたもとにある老舗レストラン「ブリッジ」の方だった。実は、このレストランには、思い出がある。全寮制だった明徳中学生の時、事情があり母と二人で自宅まで帰った事があった。明徳には車がなければ、バスと小さな渡船を乗り継がねばならない、寒い日に母は一人で迎えに来てくれた。そして、同じように小舟とバスを乗り継いで帰るのだけれど、船着き場からのバスでは直接自宅には帰れない。いちど、土佐市で乗り換えるのだが、そのバス停前にブリッジはあった。


仁淀川にて竹トラッカー


待ち時間にエビフライ定食を食べた、打ちひしがれていたボクは、味も全く覚えていない。あれから一度も入った事のないブリッジは、残念ながら今年閉店されてしたまったそうだが、ご主人と二人三脚で接客されていた奥様と言葉を交す事ができて、あの夜の遅い夕食を昨日の事のように思い出した。50年近く前の事だから、人生の道中も面白い。


この日の様子は、テレビ高知「キテレツが咲く」本日12月18日(水)よる7時から放送予定です。





キテレツ文化祭

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さて、本日は高知の皆さんにお知らせしたい、とっておきのイベント情報だ。来る12月7日(土)、テレビ高知さんの人気番組「キテレツが咲く」のメンバーも参加する「キテレツ文化が、高知駅前のこうち旅広場で開催されるのだ。安藤桃子さん、デハラユキノリさん、柴田恵介さんなど、番組でおなじみのメンバーが勢揃いし、笑いあり、驚きありの楽しいパフォーマンスを繰り広げてもらえるそうだ。


デハラさんの、来場者みんなで創るペイントアートや、とらっくよさこいと、旭食品のよさこい演舞、もち投げは12時と15時50分の二回予定されている。そして、お笑いコンビ「FUJIWARA」のお二人、大注目のアイドルグループ「僕が見たかった青空」のメンバー、西森杏弥さんも特別ゲストとして参加されるとの事なので、会場はさらに盛り上がること間違いない。


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また当日は、メンバーによるスペシャルステージやトークショーを楽しめるだけでなく、高知の特産品や美味しい地元グルメが並ぶ物産ブースなども用意されているので、番組ファンにも初めての方にも楽しめる内容が盛りだくさんだ。


「キテレツが咲く」スピンオフ番組なのだろうか?「キテレツが咲く」の公開収録も行われる予定。小さなお子様からお年寄りまで、ご家族やお友達と一緒に楽しむのにぴったりなイベントになっている。開催時間は朝10時から午後4時までで、アクセスも便利な高知駅前のこうち旅広場。年末に向けての楽しいひと時を「キテレツ祭」で過ごしてみませんか!?


竹製EV竹トラッカー


そうそう、竹虎からは今年も世界竹会議台湾の会場で大いに走らせてもらった、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を展示させてもらう。





第4回日本和文化グランプリ授賞式・トークセッション

第4回日本和文化グランプリ授賞式


第4回日本和文化グランプリ授賞式・トークセッションは、東京港区にある国際文化会館・岩崎小彌太記念ホールで開催された。和文化とは何か?を突き詰め、審査員の方が「過酷な審査」と話されるように3段階の鑑査と審査を受けてようやく辿り着いた会場だった。それなら、竹虎の空気清浄機「竹風」がギリギリではなかったかと思うが、良くこれだけの審査をいただき通過する事ができたものだと改めて思った。


第4回日本和文化グランプリ授賞式


衰退が否めない和文化の持続可能な仕組みを構築・確立したいとの思いから日本和文化振興プロジェクトは発足したそうだ。日本の伝統文化を守りたいという、皆様からの熱く本気な姿勢は、お越しいただいていた紀州徳川家の第19代当主徳川宜子氏の挨拶にもにじんでいた。


秋元梢、竹虎四代目(山岸義浩)


奨励賞の賞状を授与いただくのがモデルの秋元梢さん。日本和文化グランプリには、驚く程沢山の高名な方がお集り頂いていた。


第4回日本和文化グランプリ授賞式


第4回日本和文化グランプリ授賞式


東京オリンピック・パラリンピックや、来年開催される大阪万博で日本文化を世界に向けて紹介する機会は多いようだが、実は日本伝統の工芸は暮らしから遠く、モノ作りの空洞化は皆様が思っている以上に深刻だ。そんな現状を憂いている方々が多い証ではないかと少し嬉しかった。


第4回日本和文化グランプリ授賞式、懇親会


授賞式・トークセッションの後、ユナイテッドアローズ名誉会長の重松理氏の乾杯の挨拶で懇親会がスタートした。


第4回日本和文化グランプリ授賞式懇親会


グランプリの木工作家・平井健太氏はじめ、授賞された皆様の作品も日頃ふれる事のない素晴らしいものだった。改めて日本の自然素材や暮らす人々の感性の豊かさも感じる。当日は来場の方が多くて、作品をゆっくり拝見できなかったので後日工房を訪れてみたいと思った。


第4回日本和文化グランプリ授賞式、三田村有純氏


審査委員長の江戸蒔絵10代継承・三田村有純氏には、シュリンクする日本の竹文化への強い応援の気持ちを感じて勇気づけられた。


第4回日本和文化グランプリ授賞式懇親会


日本人と竹は、数千年に渡って親密な関係だったのに、プラスチックが普及したわずか数十年で急速に変化した。竹に触れたことのない世代が大人になり、竹の事は一からお伝えしないと誰も知らないのが今の日本だ。


第4回日本和文化グランプリ授賞式懇親会


世界竹機構(World Bamboo Organization)から、日本で二人しかいない世界竹大使に任命されているけれど、竹のエバンジェリストとした時に救いがひとつある。


第4回日本和文化グランプリ授賞式懇親会


それは、日本の皆様が竹を知らないのではなく、本当に忘れているだけだと言う事だ。


第4回日本和文化グランプリ授賞式懇親会


皆様一人一人のDNAには、しっかりと美しい竹の光景が刻み込まれていて、きっかけさえれば竹に開眼される方も多い。


空気清浄機竹風


ちょっとだけスポットライトを浴びて、はにかんでいる竹風。


第4回日本和文化グランプリ授賞式、竹虎四代目


結局、竹虎四代目が一日後退すれば、虎竹の里が一日後退する。一日進めば、一日進む。それだけだ。



日本和文化グランプリ奨励賞!本日授賞式です

虎竹空気清浄機「竹風」


日本和文化グランプリとは、一般社団法人日本和文化振興プロジェクトが開催するアワードイベントで、伝統的な和文化を継承しつつ、次世代に向けたメッセージ性を有している、優れた技術、技法、思想を有している、現代のライフスタイルにあった使い方を提案している、未来の伝統に繋がる現代の高い技術やアートワーク、といった点を評価して和文化に携わる国内の企業・団体・個人の日本が誇る優れたプロダクトを顕彰されるものだ。


今回、竹虎の空気清浄機「竹風」が、日本和文化グランプリ奨励賞を見事に受賞させて頂いた。本日は東京は国際文化会館の岩崎小彌太記念ホールで受賞式だが、高知がルーツの岩崎家であり、叔父の名前が虎弥太なので、前から親近感をもっていた方の名前を冠した場所だから楽しみに思っている。


空気清浄機「竹風」


実は、さらに「竹風」への審査委員講評を頂戴している大倉源次郎(能楽小鼓方大倉流十六世宗家)氏は、全く違う遠い世界の方のはずだが、この受賞が決まる少し前にたまたま対談を拝見させてもらっていた。650年以上の歴史があり、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている伝統芸能「能楽」だけに、この方の興味深く面白い歴史観とお話に引き込まれた。しかし、まさか、このような形で関わって頂けるとは歴史も不思議だが、今日のこの時も未知にあふれて楽しいものだ。



大阪万博EXPO70

日本万博


来年は、EXPO2025大阪・関西万博が開催される。思えば前回の大阪で日本万国博覧会が開かれたのが1970年だから54年も前の事だ。万博記念公園には今でも岡本太郎の太陽の塔がそびえているけれど、あの場所で家族と撮った写真がアルバムに貼られている。今回の万博は、大阪市此花区の夢洲で「いのち輝く未来社会のデザイン」、あの少年時代に感じたワクワクするような躍動する時代感がきっとあるはずだ。


竹トラッカー、メキシコ


竹トラッカー世界竹会議台湾


そんな、せっかくの機会に展示のチャンスをいただけるようなので、世界竹会議でメキシコや台湾まで運んで走らせてもらった、虎竹電気自動車「竹トラッカー」が出動する(笑)。


大阪万博


それはそうと、大阪万博の古い写真を見ていて、いつも思うのはボクの被っている帽子だ。EXPO70と書かれた、色々な国の民族衣装を着た人たちが並んだ国際色豊かなものを買ってもらい、いつも愛用していた。万博の会場はもちろん、高知に帰ってからも毎日毎日被っていて、白い帽子が真っ黒くボロボロになっても使っていた。


ある時(確か小学校4年生)、校長室に呼び出された。一体何だろうと思っていたら、「その帽子を、いい加減に捨てなさい」と校長先生に諭されたのを今でも覚えている。モノを大切にする事は、誉められそうなものだが、それ以上に見すぼらしくなっていたのだろう。ボクは幸せものだ、良い思い出を沢山いただいている、初代宇三郎も祖父や父が笑っている。



2019年からお会いしたかった本田聖流さん

本田聖流さんエルメス


エルメス表参道店に入って二階へ続く階段を見上げると、本田聖流さんの作品が飾られている。もしかすると、オブジェがあるけれど一体何で創作されているのか?お分かり頂けていない方もいるのかも知れない。それくらいモダンで、竹とは遠いように感じられるが、ご本人が「竹が自分で形になった」と話されるくらい、竹のしなやかさ、伸びやかさ、軽やかさを活かした作品だと思う。


ケ・ブランリー美術館(Musée du quai Branly)「空(くう)を割く 日本の竹工芸」


本田さんの作品を、初めて実際に拝見したのは、2019年にパリのケ・ブランリー美術館で開催されていた「 空を割く 日本の竹工芸」だった。


ケ・ブランリー美術館(Musée du quai Branly)「空(くう)を割く 日本の竹工芸」


出発の数日前に、偶然にも一枚の新聞の切り抜き記事を頂いて本田さんにお会いしたくなった。


本田聖流さん、竹虎四代目(山岸義浩)


鹿児島という所は、明治維新から重要な役割を果たしてきた地域だ。戦国時代まで遡っても飛び抜けた人物を生んできた興味のつきない県でもある。孟宗竹が大陸から伝わった土地であり、孟宗の竹林面積が日本一という事で、竹の本場とも言える場所だが、本田さんはそんな鹿児島のご出身だった。若い頃からの苦労などが記事に書かれていたので、ボクが竹と関わる中で疑問に思っている事の答えをご存知なのではないか?そんな期待をずっと持っていた。


竹藪


高知の古老の職人が、竹ざるの事を「サツマ」と呼ぶお話しは何度もさせてもらっている。土佐と薩摩の竹文化の交流を、伺い知る事ができるけれど、まだまだ不思議に思う事が多い。お忙しい本田さんに時間を取っていただいて、ようやくお会いする事ができ、祖父や父と親交の深かった渡辺竹清先生や塩月寿籃さんと三人でゴルフに興じる仲良しと知り親近感を持った。


けれど、本田さんが若かった頃の鹿児島の竹については、あまりご存知なかった。独特の竹文化や、九州、四国との技術交流など、竹籠を触れば様々な推察が頭をよぎるけれど、本当のところは藪の中だ。