凄い竹箒である。職人たちの口コミで広がる山里の逸品。握った感触がイイと思ったら、柄は乾燥するほどに硬く丈夫になるゴサンチクだ。何と言っても孟宗の枝が秀逸、優しいのにヘタらない掃き心地は、恐らく一枝づつ厳選しているからに違いない。
孟宗竹は、来月あたりから旬が良くなるので枝は確保できそうだけれど、ゴサンチクの方は少し遅れて伐採できるのは、やはり秋口になろうか。兎に角、新しい箒が出来あがるのが待ち遠しい!
この竹枝のしつらえが素晴らしい。いずれ詳しく皆様にご覧いただきたいと思っている。
これほど箒に感動したのは、孟宗竹の新竹の小枝だけを使って京都の庭師さんが手作りされていた手箒以来だ。あれは、驚くほどのこだわりだったが、この山里の竹箒も田舎といえど負けてはいない。
ちなみに、ゴサンチクは布袋竹とも言われて、竹節の詰んだ部分が釣り竿の持ち手や、お遍路さんの杖にも多用されている竹。雨の多い高知では河川の護岸用としても植えられてきたので川岸で良く見かける。大きく立派な竹でもないから、何気に通り過ぎてしまう事が多いかも知れないけれど、人の命と財産を守ってきた竹でもある。
また、もうすぐ徳島ではじまる阿波踊りの竹人形に素材として使われている。竹の節を巧みに活かしてイキイキと作られる人形を見ていると、にぎやかな音まで聞こえてきそう、まさに竹が楽しそうに踊っている、笑っている。いつも思うが、創作された方は天才だ。