世界竹会議台湾で見た、竹のブックカバー

竹のブックカバー


台湾での話題が続くけれど、今回の世界竹会議(World Bamboo Congress Taiwan)では、様々なのプロダクトが展示されているのが見ているだけで面白い。たとえば、この竹製ブックカバーなど、どうだろうか。竹節が入っているのが何とも格好がよくて目を引くと思う。


竹のブックカバー


青竹タイプの横には、炭化加工された渋い色合いのものも展示されている。手にしてみると少し重量感ある竹特有の優しい手触りが素晴らしい。そして背表紙、ここにも竹節が使われているから本棚に並んだところを想像してもらいたい。あなたの書棚が一体どんな風になるだろうか?


孟宗竹


そう、まさに竹林だ。室内の壁面に整然と並んだ竹林が現れるのだ。



虎竹の竹筆

虎竹筆


一年前から約束していた竹筆職人さんが来社されていた。竹で筆ができるのか?と驚く方もおられるかも知れないが、竹の繊維の細さを活かして実は昔から筆として使われてきた。色々な竹で作られてきたのだが、竹筆には細かく竹を割って製作される茶筅にも使われている淡竹が適材だ。淡竹は前に淡竹の生垣でもご紹介したように、維管束と呼ばれる竹の養分を吸い上げる細かい管の密度が高い。だから同じ淡竹の仲間である虎竹も、細い筆先を作るのに適している。


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命名筆としても多用されてきたのは、竹の神秘的な成長力にあやかり子供の健康を祈ったものだ。竹筆作家の釈迦院時雄氏から受け継いだお弟子さんの竹筆を楽しみに待っている。





竹根の印鑑

漆仕上げの竹根印


この堂々として力強い竹根は一目に気に入りました。竹根表皮のシミが又何ともいい景色となって手にしても惚れ惚れしてしまいます。


竹根素材


竹根は以前のように簡単に手に入れられるものではなくなりました。竹の稈のように中が空洞ではなく身がぎっしりと詰まっているのも竹根の特徴で意外とチビタケナガシンクイムシなどの害虫が入りやすいので品質管理も大変です。


竹根印稈素材


それでも細い竹根なら比較的容易にありますが、やはり太いものはお目にかかれません。


沢山製作された竹根印


虎竹竹根印


沢山ある竹根印鑑の中から極太のものを厳選してもらい「虎竹」の竹根印を作ってもらいました。


朱文字


彫り方には朱文字と白文字の二種類があって、朱文字は文字自体が朱色になり、白文字は朱色に白抜きで文字が入ります。白文字の方を選ばれる方も多いかと思いますけれど、実は竹根印の場合には竹表皮を薄く残して彫り上げるのが職人の腕の見せどころなので、やはり朱文字がおすすめです。


竹根印、竹虎四代目(山岸義浩)


この太さ、渋い漆仕上げ、大満足です。




虎竹万年筆

虎竹万年筆


随分と長く皆様をお待たせしてしまった虎竹万年筆が出来ました。虎竹模様を細かく編み込んだ緻密さに魅入ります、手にすると網代編みされた手触りが心地いい、同じように製作しても同じには出来ないオンリーワンの風格、ずっと指先で感触を楽しんでいたくなるほどです。


虎竹万年筆


ベースはプラチナ万年筆プレジデントでペン先は高級感ある独特の大型18Kロジウムメッキ染分け、いくらスペシャルな虎竹万年筆といっても書き心地こそ大事な部分です。


愛用の虎竹ペン


もう10年近く愛用している虎竹水性ペンと比べてみました。なぜ万年筆ではないのか?やはり最初は自分が使いたくて作りますので自分の場合は万年筆よりも水性ボールペンの出番が多かったのです。そして、ボールペンでもアセチロイドを使って手作りする職人さんと出会いがあって「あんた竹虎なら虎模様やろ」と作ってもらったペン先なのです。


渡辺竹清作煤竹アタッシュケース


しかし、こんな万年筆が例えばこんな同じ網代編みされたアタッシュケースから出てきたらどうでしょうか?


スズ竹アタッシュケース


このスズ竹アタッシュなら、どうなりますか?


渡辺竹清作煤竹バッグ


いやいや小さい虎竹万年筆は渡辺竹清作煤竹バッグにも入ります。女性の方でもこんなバッグから普通に取り出して書きだしたら言葉がでなくなるのでは...!?ああ、妄想は尽きません。


土佐和紙職人に新しく漉いてもらう虎竹和紙名刺

虎竹和紙名刺


久しぶりに虎竹和紙名刺を漉いていただくことになりました。普段から次々に販売されていくと言う物ではありませんが、手漉きの風合いのファンの方がおられて一度に大量にお求めいただく事があって急に無くなってしまいます。


虎竹和紙の素材


ところが、虎竹和紙は材料作りが大変です。硬い竹を水に長期間浸して柔らかくしてから繊維にしていくという昔ながらの方法で製造しますので時間はどうしてもかかってしまいます。


土佐和紙職人森澤真紀、竹虎四代目


製作して頂くのは代々この地で土佐和紙作りに携わってこられた森澤真紀さん。近くを通る事は度々なのですが、工房にお伺いするのは数年ぶりの事です。しかし、あの時とまったく同じ空気感、同じ手順で進んでいく和紙漉きの様子を拝見しながら、さすが丁寧な仕事をされ続けておられるのだなと感じたのです。




虎竹パスポートケースのメデタシ、メデタシ

虎竹パスポートケース


国によって様々な事情もあるかと思いますが、願わくば実現出来ないだろうかと思う事に入国カードの統一化があります。カード不要の国もあってホッと安心しますが、必要な場合には自分のような田舎者は、その国の様式を調べて一応記入に不自由ないつもりで行くのです。ところが、やはりひとつ、ふたつ項目が分からず
機内搭乗員の方のお世話になっています。


一度など、あれこれ聞いているうちに客室には誰ひとりいなくなって最後には「私が書きます」とキャビンアテンダントの方が全て記入してくれた事もあるくらいです。


記入欄も決して大きくありません。しかし、これからの先進国は高齢化社会に突入して小さい文字に不自由する方も増えてくるでしょう。ITも進化し続けている事ですから、事前登録できるとか、スマホ対応できるとか、もっと快適に記入しやすい工夫などが出てきたら嬉しいと思っているのです。


さて、そんな自分ですので先の世界竹会議のフライトではやはり初めて記入するメキシコ入国カードに戸惑っていました。しかし、いつになく気持ちにゆとりがあるのは今回初めてお供してくれている虎竹パスポートケースのお陰です。こうして持ち物で心から豊かになったり、余裕が出来たりするものなのです。


おっと、それでも、やはりキャビンアテンダントの方を呼び止めてしまいます。あれほど予習してきたのに、最新のカードに変わったのでしょうか?記入欄が微妙に違っているのです。そして、来られた方は必ず見慣れない虎竹に気がつきます。


「それはパスポート入れですか?素敵ですね」


そこで、待ってましたとばかりに日本唯一の虎竹の事をお話しさせてもらうのです。これは初対面方に名刺交換の際に虎竹名刺入れをご覧いただく時と同じパターンです。


青竹踏み


最後には、国内線機内での足のムクミを、たまたま置いてあった青竹踏みで解消したキャビンアテンダントさんのお話しになります。気圧の関係で相当足に負担がある事もあるようですが、休憩時間にフミフミしただけで今まで履いていたパンプスが、他人の靴のようにブカブカになるくらいムクミが取れたそうなんです。日本古来の先人の知恵、竹の力というのは本当に凄いと改めて感じます。


そうこうしている間に、さすがに入国カードも仕上がって、メデタシ、メデタシです。


大失敗!世界竹会議メキシコ記念の虎竹パスポートケースなど作らなければ良かった!

虎竹パスポートケース


大失敗!こんな虎竹パスポートケースなど作らなければ良かった!世界竹会議のためにメキシコ行きが決まった1年前から企画して試行錯誤をしながら、ようやく完成したのは良いが、これでは全くダメだっ!あまりにも好きすぎて、出張と言えば荷物になることが分かっているのに、つい無意識に持って来てしまう。


(海外旅行でもないのにっ!)


虎竹パスポートケース


意味もなくチェックインカウンターに立ち寄って
パスポートを出したくなってしまう。


(スキップサービスだろっ!)


虎竹パスポートケース、ANA


保安検査場でも、ついパスポートを見せたくなって


「このまま進んでも良いのですか?」


などと言って後ろの人に迷惑をかけてしまう。


(おい、国内線だぞっ!)


虎竹パスポートケース、ANA


搭乗口でも、


「えっ?チェックするのはチケットだけですか?」


と係りの人に話しかけて、ついついパスポートを見せたがってしまう。


(おい、国内線だぞっ!)


虎竹パスポートケース


座席に座っても虎竹パスポートケースの触り心地、質感を楽しみ過ぎて、
いつもなら離陸前に熟睡しているはずが一睡もできない!


虎竹パスポートケース


入国カードでも記入するつもりか?
とうとう機内でパスポートまで取り出してみる。


(しつこいっ!国内線っ!)


虎竹パスポートケース、ANA


最終的には


「到着地は今、何時ですか?」


などと尋ねるが、CAの方は聞こえないふりをして行ってしまう。


(羽田発、高知着っ!)


ああ、こんな虎竹パスポートケースなど作らなければ良かった...合掌。


続・虎竹名刺入れリニューアル

虎竹名刺入れ


ずっと愛用していて、どこに行くにも常に一緒の虎竹名刺入れかあります。「日本唯一の虎竹ぜよ!」と言ってもどのようなものか誰も知らないのですが、こうして名刺入れとして持っていれば虎竹とはどのようなものなのか知って頂く事ができるので本当に重宝しちゅうのです。虎竹名刺入れをポケットから取り出して説明させていただきますと多くの方が「少し、触らせ下さい。」と言うてくれるので少し嬉しくなってきます。


自然素材は使っている内に経年変色があったりして、風合いが増してくるものですが竹の場合も同じく新品よりも何倍も価値があるように思えて来るのです。ちょうど若い頃、履いていたリーバイスのジーンズを思い出しました。501が好きでずっと履き込んでいましたが、デットストックで手にいれたモノなどは毎日履き込んんでいきます。洗濯も出来るだけせずに色落ちを楽しむのですが、数年経つと自分だけの一本となり何とも愛着がわいてきたのを覚えています。


虎竹名刺入れ


名前を刻印した深い愛着のある虎竹名刺入れですが、実は只今リニューアルを考えて試行錯誤している最中なのです。改善したい箇所は大きく二つあって、ひとつは名刺の収納枚数です。積極的に動いて沢山の方にお会いする仕事の方ににも使っていただきたいと思うと今の収納力は少し足りないと感じています。自分も何かの集まりに参加させてもらった時など、もう少し名刺を持っていたいと思う事もあるのです。試作した立体的なデザインは申し分ありません、これが完成したらと思うと、本当に楽しみです。


そして、もう一点が革の素材と色です。革も自然素材ですので実は同じ型番でも微妙に違っていたり、無くなってしまったりと色々ありますので現在の革は自分がその都度、東京の革業者さんに出向き一枚づつ目で確認して頂いてくるのです。せっかく世界に誇れる虎竹の名刺入れであれば、革の部分についてもその道のプロの方に革の確保、選別から製造までお願いして更にレベルを磨きたいと考えています。


虎竹名刺入れのユーザーは現在、ほとんどが男性の方ばかりです。これをオシャレな女性の方にも手に取っていただけ事を目標にしています。まだまだ時間はかかりそうですが、いずれ納得のいく虎竹名刺入れの進化形をお見せいたします。


虎竹和紙の葉書に気持ちを込めて

竹和紙葉書


竹は衣食住様々な活用がされてきましたが、竹の姿形が残ったものならいざ知らず、繊維質の利用というのは形が全く異質なものになってしまうので案外知られずきたものの一つのように思います。たとえば竹繊維の和紙への利用と言うのをご存じでしょうか?木質から紙というのは多くの方がイメージしている所かと思いますが実は竹を原材料とした竹和紙も昔から作られていて、現在では中越パルプ工業さんの川内工場で大規模な製紙が続けられています。


竹は里山近くに多く成育していますものの、大量生産となった場合にはその竹材集めが大きな課題となります。しかし、こちらの工場のある鹿児島は日本一の竹林面積を誇っていてタケノコの収穫も盛んな地域です。間引かれた竹などが次々と工場に運び入れられており、近代的で広々とした敷地内には竹チップが小山のように積み上げられていて、圧巻だった光景を思いだします。


竹虎でも虎竹を使った和紙作りをしていますが、近代的なプラントとは比べようもないくらいの手作りの極めて原始的な製法です。虎竹を細かく切断して水に長期間浸して柔らかくしてから石臼で叩いたり、職人総出で木槌で叩いたりして繊維を取り出していくのです。


須崎市のお隣、土佐市には「仁淀ブルー」で有名になっている美しい豊富な仁淀川の水を使い、昔から土佐和紙を漉いてきた歴史があり和紙職人さんがいます。そんな和紙職人さんに手漉きいただいた虎竹和紙葉書なら、ついつい一枚に心を込めて手書きしたくなるものかも知れません。


虎竹和紙と手漉き職人

虎竹和紙作り


竹繊維の紙というと意外に感じられる方もおられるかも知れませんが、実は昔から作られていたのです。竹を細かく砕いて繊維質にして和紙にする工程は、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)等の自然素材と基本的には違いがないと思うがです。身近な植物ですので、それを加工して和紙にするのは、ごく当たり前の事やったかも知れません。


現在では、かなり大規模に竹紙を作られてる会社様があって、前にこのブログでも紹介しましたが、一度見学にお伺いする機会があって拝見させて頂きましたが広大な工場内には大きなトラックが砕いた原料の竹チップを運び込んで来て、そのチップのがまるで小山のように積み上げられちょって、こじゃんと(とても)驚いた事があるがぜよ。こちらの会社様で使うのは日本の竹の中でも最大級の大きさのある孟宗竹でしたが、自分達が作る竹和紙なら、やはり日本唯一の虎竹を使うて作りたいと思いよりました。


幸いな事に高知県の場合には土佐和紙の技術と伝統があり、手漉きの職人さんがまだまだ健在でもあり、和紙作りには願ってもない環境と言えるかも知れませんちや。そこで、虎竹和紙作りを始めて、レターセット、ハガキ、名刺などの商品を販売させていただくようになっちょります。全てが手作りの虎竹和紙作りで、これは面白いと思うた事が色々とありますけんど、本日ご紹介させていただきたいのが和紙を乾燥させる工程ですぞね。


虎竹和紙作り


もしかしたら前にも、ちっくとお話させていただいた事があったかも知れませんが、虎竹和紙を製作いただいた和紙工房には、三角柱の形をした見慣れない金属の大きな塊がありました。一体、何のための道具なのか皆目分らなかったのですが、実はこの金属の塊は手を近づけるとほのかに温かいがです。どうやら全体を温められる仕組みになっているようぜよ、そして和紙にどう使うかと言うたら、これが凄い、漉き上げたハガキや名刺を、この金属の上に整然と貼り付けて並べていくのです。


この金属の三角柱はゴロリ、ゴロリのと回転するように作られちょって、一面に和紙を貼り付けて終わったらゴロリ...回転させて次の面に又並べられるようになっています。つまり、この温かい金属版に和紙を貼り付ける事により熱で乾燥させていたのです。


ゴロリ、ゴロリと三回転した頃には最初に貼り付けた和紙は完全に乾燥されていて、そのまま商品となっていく、まっこと良く考えられちゅう機械ですちや。竹でも、一本、一本、大事に扱っていきますけんど一枚、一枚、手をかけ、愛情をかけて仕上げていく土佐和紙の伝統を垣間見る思いながです。