
スズ竹市場籠は、今もなお昔ながらの手仕事で丁寧に編まれている、日本の暮らしに根ざした道具のひとつだ。軽くて丈夫なスズ竹を用い、しっかりと編み込まれた籠は、日々の買い物や収納に最適。使い始めはシャキッとした青みがかった色合いをしているが、使い込むほどに竹の表情が変化し、落ち着いた飴色へと育っていく。その色合いの変化は、天然素材ならではのもので、時間をかけて付き合っていく楽しさがある。

実は、ボクもこのスズ竹市場籠を長年愛用している。自慢の愛用品は、少し背が低めの特注タイプ。日常づかいにちょうどよいサイズ感で、車の足元にもすっと収まり、使い勝手がとても良い。使い始めて十数年が経つその籠は、新品と見比べるとまるで別物だ。
愛犬が子供の頃に噛んでしまって傷んだ口巻部分も、手直ししてワンポイントのようになりかえって自分だけのストーリーがあり愛着が深まっている。籐の持ち手部分も、最初の明るい色合いから、手に馴染んだ深い飴色に変わり、艶も出てきた。まさに時と共に育った証。握るたびに、手仕事の温もりとともに、これまでの暮らしの記憶までもよみがえってくるようだ。

スズ竹市場籠を新しい順番に積み上げてみた(笑)。こうした天然素材の道具は、便利さや効率だけでは語れない魅力があると思う。暮らしの中で長く寄り添いながら、少しずつ変化し、自分だけの風合いになっていく。その変化を楽しみ、丁寧に使い続けることで、愛用する道具との関係もより深まっていくように感じている。

何もスズ竹市場籠に限ったことではないものの、ただの「かご」ではない。使い手の暮らしにそっと寄り添い、日々の風景に馴染んでいく相棒のような存在。まだ、手にされた事のない皆様にも、四代目の籠のように長年連れ添える籠に出会い、ひいては日本の竹文化を知って欲しいと願っている。

春がやってくると、心が浮き立ち、どうしても外へ出かけたくなる。桜が咲き始め、新緑が芽吹くこの時期には、自然を感じながらのんびりとした時間を楽しみたいものだ。そんな季節のお出かけにピッタリなのが、スズ竹で編まれた軽くて丈夫な手提げ籠だ。スズ竹市場籠は、軽くて丈夫というだけでなく、独特のしなりと柔軟性があり腰あたりがよく持ちやすい。

さらに通気性が良く、見た目にも爽やかで格好よく見える(笑)。まさに春の行楽やピクニック、お花見、ちょっとしたお散歩にも最適ではないだろうか。着物や和装の必要はなくて、カジュアルな洋服にも、スポーティーなスタイルに持たれているのも好きだ。

竹虎では、昔ながらの職人技が光る、虎竹や白竹などの手提げ籠を取り揃えている。中でも、スズ竹でしっかりと編み込まれた市場かごは、たっぷりと荷物が入り、出し入れしやすく買い物やピクニックにも便利だ。

全国から届く修理の話題が多いスズ竹市場籠だけれど、皆様お気に召して長くご愛用いただくので手直しも多くなっている。そして、手直ししてから更に何十年とお使い頂けるので愛着も、ますます深まるのだ。
スズ竹製品が品薄になっているのは、120年に一度の開花で竹林がすべて枯れてしまったからだ。ほとんどの方は、ご覧になられた事はないと思いますので開花後の竹林の様子はこちらでご覧いただけます。

とは言え、わずかに残った竹林の材料を使って少しづつ市場籠も編まれている。先日より、久しぶりに販売の機会があり大きなサイズは売り切れとなっているが、小ぶりで使い勝手のよいモノは在庫がある。残り物には福があると言う、スズ竹市場籠は小さいサイズと言っても幅約39センチ×高さ25センチ×奧行き20センチ程度あり、日常使いには十分すぎる大きさ。このような竹籠を毎日の暮らしに活かし、豊かな気持ちで過ごしていただく事が自分たちの願いでもあるのだ。

竹は日本の伝統的な素材であり、修理しながら大切に使い続けることが、本来の竹の美しさを引き出す秘訣だ。壊れたからといって捨てるのではなく、手をかけて再び使えるようにする、これこそが、竹の持つ本当の価値なのかも知れないと思う。
竹虎では、お客様が長年愛用してきた竹籠を修理し、新たな命を吹き込むお手伝いをしている。思い出の詰まった手提げ籠を修理することで、また次の季節も一緒に過ごすことができる。

この春は、竹虎の手提げ籠を手に取って、自然の中でのひとときを楽しんでみてはいかがだろうか。春の陽気に包まれながら、竹の温もりを感じる時間は、きっと心を豊かにしてくれるはずだ。ぜひお気に入りの一品を見つけ、長く大切に使いながら、春のお出かけをより特別なものにしてほしいです。

山ぶどう手提げ籠バッグは、使い込むほどに風合いが増し、独特の艶が出る魅力的な品である。近年は、輸入の籠も多数目にするようになったけれど、目の肥えた方はやはり国産を選ばれている。お客様が35年間大切に使っている山葡萄と、同じく山の素材を活かしたクルミの手提げ籠もまた、一目で分かる日本の熟練職人の手による丁寧な編み込み、それが使い続けられて来たことで味わい深い表情へと変化している。

今回、そんな長年愛用されてきた山ぶどうとクルミの手提げ籠が修理のため竹虎に届いた。どちらも持ち主に大切にされ、見事な風合いを纏っている。山ぶどうの籠は丈夫で、しなやかさがあり、使い込むことで一層の深みが出る。一方、クルミの籠は山ぶどうに比べてやや耐久性に劣るものの、独特の木肌の編み目が美しく人気がある。

このクルミの手提げバッグだが、特に傷みやすい持ち手と本体のジョイント部分に注目いただきたい。何気に作られているようではあるが、実はより耐久性のある山ぶどうが用いられている。

本当に細かい所なので見逃されがちではあるけれど、この仕様には、山の素材の特性を熟知した職人の工夫が活かされており、クルミ籠の強度を高めてお客様にご満足いただきたいと願う職人魂が秘められている。このような細部へのこだわりがあるからこそ、国産のクルミバッグは長年にわたって使い続けられるのである。

そして、さらに修理を施すことで、これらの籠はもっと長く長く、ご愛用できるようになる。使うほどに手に馴染み、持ち主とともに時を重ねる山ぶどうとクルミの手提げ籠バッグ。日本の自然素材の素晴らしさと、それを生かす伝統の職人の知恵と技を改めて実感する機会となっている。再び、お客様のお手元に届ける日が、春を待つように待ち遠しい。

スズ竹市場籠は、度々取り上げている竹細工であり、長年にわたり多くのお客様に愛用され来たので、ご存じの方も多いと思う。市場が移転する前の築地には、上京する機会があると良く出かけていたが、そこでは買い出しに来られた方が手にする手提げ籠と言えば、このスズ竹市場籠だった。
自然素材の風合いや、職人の手による確かな作りが魅力であるのはもちろんだが、スズ竹の持つ、しなやかさと強さは格別で、どんな重たい荷物でも気にせず出し入れできる実用性が素晴らしい。さらに、使い込むほどに味わいが増すものだからファンになるのも仕方ない。けれど、好きな手提げ籠だけに、長年の使用によって強靭な竹材が摩耗し、破損ができることはどうしても避けられない。

そこで、他の竹細工同様に、竹虎にはスズ竹市場籠の修理依頼が舞い込んでくる。竹製品は適切に手直しを施せば、さらに長く使い続けることができる。今回の市場籠の場合だと、口部分の籐巻きの巻き直し、一番傷みやすい持ち手の交換、底の四隅の補強など職人が一つひとつ丁寧に修理することで、かごは再び本来の姿を取り戻す。そして、親子二代にわたり受け継がれるほどの輝きを再び放ち始めるのだ。

どんな物でも、粗末にせず大切に使い続けることは、日本の古き良き伝統文化の一つではないだろうか。一時期の大量生産・大量消費が当たり前となっていた風潮が見直され、物を手入れしながら長く使う事が見直されてきたように感じている。持続可能な社会の実現が求められる昨今、修理しながら使い続けることの価値はますます高まっていると思うのだ。
竹は驚異的な成長力が知られ、再生可能な資源であり、環境負荷が極めて少ない。このような竹材こそ、今後もっと活用されるべき素材であり、修理を施すことでその寿命をさらに延ばすことができるならば、資源の有効活用という観点からも意義深い。

竹虎では、これからもスズ竹市場籠のみならず、竹細工の修理を通じて、お客様が一つの竹を長くご愛用できるようお手伝いしていきたいと考えている。復活した竹籠は、新品とは異なる独特の風合いを帯び、持ち主の方にとってさらに愛着の湧く、お出かけ時のパートナーのような存在になるから嬉しい(笑)。物を大切にする日本の心を次の世代へとつなげるためにも、これからも竹職人の手仕事を大切にしながら、出来る限り修理をお引き受けしていきたいと思う。

忘れた頃に、ひとつ、ふたつとお問い合わせ頂く製品に、虎竹バッグ「ニューヨーカー」がある。モダンな風貌もさることながら、ネーミングも少し珍しいと感じられる方もいるかと思う。数奇な運命によって、竹虎と懇意にされている竹作家・渡辺竹清先生の手元に届いた成り行きは、このハンドバッグのページに詳しく記載させてもらっている。

ユニークな構造を海外の方にも紹介したいと考えて、ニューヨークのCOTERIE展(コーテリー展)やパリのPremiere Classe(プルミエール・クラス)にも出展させてもらった。見本を元にした開発には時間も費用もかかったけれど、どうしても再現したいと考えたのには理由がある。

実は、もともとはこの竹バッグは、日本が海外への輸出用として製作した籠だったのだ。美しいデザインは、部材を大量に製造しやすく、平たく伸ばせば輸送にも効率的に運べる工夫がされている。近年は日本製はクオリティが高いのが常識なのだが、品質よりも量を重んじて大量生産されていた頃、竹細工は大切な外貨獲得の輸出品として活躍していた。今では、全く考えもつかないような当時の生き証人として、竹が忘れられる前の時代に生きた籠として畏敬の念を感じたのだ。

品の良いトートーバッグを提げている知人がいる、さっそうと歩く姿も格好良いので、たまに街に出る事があるとスーツ姿やカジュアルな服装の男性が持つ鞄を注視していた。今はバックパックに人気があるようだけれど、男の持つトートバックは渋いなあ...元々革製品も大好きなのだ。
そこで、ある時期、片っ端からバッグ店に入りトートバッグを見て回った事がある。やはり国産だと思って、知り合いの社長さんがされている日本の職人にこだわった鞄屋からだ。実はこの店では今まで数種類の鞄を購入しており、この20数年でダレスバッグはひとつ使いつぶした事もある。年々進化されている鞄屋さんでもあるので、さすがに目移りするような素晴らしいトートが並んでいた。

しかし、何かしっくりこない。白い手袋をして丁寧な接客をしていただく店員さんには悪いと思いながらも外に出た。それからだ、実はあまり好きではないけれど、海外ブランドの店も目につくたびに全て覗いてみた。ボクは田舎者なので驚いたが、なんと店に入るために並んで待つような人気店舗もある。入り口に立っているモデルのような男性に、「首のタオルを取ってください」と言われやしないかとヒヤヒヤして入店したけれど目当てのトートバッグはない。

どれくらいかなあ...数か月か、いやもっとか忘れてしまったが、探しているうちに分からなくなってトートバッグではなくて、ボストンバッグを買ってしまった(笑)。

何をやっているのか?これだけ見て回ってもないものだなあ、そう思ってふと我にかえりデスクの周りをみると、50個近い竹手提げ籠たちがいるではないか!近くにあり過ぎて見えなくなっていたようだ。なるほど、これなら世界中さがしてもボクのトートバックは見つからないはずだ。
青い鳥は、最初からここにいた。

新しく作った一閑張り手提げ籠の良さは一言「本物」という事だ。おっとその前に、そもそも一閑張り(いっかんばり)の技法の説明をせねばならないかも知れない。一閑張りは、竹編みの素地に和紙を貼り、その上に柿渋をかけて仕上げる技法の細工だ。一貫張りとも呼ばれる事があるが、和紙と柿渋の耐久性で一貫目(3.75キロ)の荷物も入れられるほど強くなるという機能性からと言われている。

竹籠や竹ざるが一般のご家庭で多用されていた時代は、自分の使う道具は自分たちで編むのが当たり前でもあった。加工性の高い竹だが、毎日の使用でどうして傷んでしまう。そんな時に和紙を貼り、柿渋や漆などを塗布して硬く補強したのが一閑張りの起源だ。

土佐和紙、阿波和紙、大洲和紙など四国には良質の和紙が多かったからだろうか?一閑張りの技法が栄えた地域だと思うけれど、近年では竹職人が少なくなり、和紙の下地に使われる竹編みが作れなくなっていた。一閑張りは竹に和紙を貼り付けて完成させるので、隠れてしまう竹編みなど編む職人がいないのだ。

ところが、隠れてしまうと言っても楮100%の和紙の下からは、クッキリと四ツ目編が模様のように浮かび上がる。

竹の編み目といい、持ち手の中央に浮かぶ竹節の模様といい、この自然の意匠がカッコイイのだ。

竹、和紙、そして柿渋など日本伝統の素材を使った籠、どうしても和紙貼りが目立つのかも知れないけれど、一閑張りの魅力は、何といっても竹編みだ。実は縁の下の力持ちの竹こそが主役なのだ。

前回、動画を皆様にご紹介して以来、沢山のお問い合わせを頂いている真竹コンテナ手提げ籠バッグが編み上がった。とは言え、真竹を伐り始めたばかりで頃合いの太さの竹が少なく、出来たと言っても20数個だけだ。明日には持ち手を取り付けてお届けできる形になると思うので、来週早々に販売できるように準備したいと思う。

そもそもコンテナ籠は、堅牢さで日本中どこででも多用されていた御用籠が元になっている。物流でも鍛え上げられた竹編み角籠の最強DNAを受け継ぐ籠だけに、本当にタフで頼りがいのある逸品だ。お手元に置いてガンガンご愛用いただきたい。

竹細工の修理で良くお問い合わせを頂くのは、やはり持ち歩く機会の多い籠バッグだ。ただ、一口に手提げ籠と言っても真竹、淡竹などの一般的な竹材から、スズ竹や根曲竹、篠竹さらには高級素材の煤竹まで様々な種類があり、それらの竹を染めて編み込んでいる手提げ籠などもある。

竹材が異なり、さらに形や技法も様々な籠を修理するのは容易ではないが、それぞれに工夫する楽しみがあり、完成した籠は例外なく格好イイ。

高知県では、スズ竹のように寒い地方の竹は入手が難しいものの、同じ自然素材だから違う種類の竹材を組み合わせても実は全く問題ない。

そもそも使い込んだ竹細工に、真新しい竹ヒゴを合わせるので修理した部分は目立ってしまう。違う竹材なら尚更だけど、それがむしろ風合いとして、段々と馴染んでくる感じなどはたまらない。

ところが先日、お客様から気になる事を聞いた。どういう理由か製作いただいた会社に修理をお願いするとお断りされたとの事なのだ。「むむ...?」他所で製作した竹製品まで手直しする自分たちは異例としても(笑)、自社で製作したものは当然修理するのが当たり前だ。少なくとも自分の知る職人で、自分の作った籠の修理をしないという方はいない。

加工性が高く、修理して使えるのが竹細工の良い所だ。お客様がお断りされたという手提げバッグも、一体どこを手直ししたのか分からないくらい綺麗に修理できた。

何か特別な理由があったのかも知れないけれど、竹の良さを多くの方に伝える使命が竹を志す全ての人にあると思っている。修理すれば親から子の世代までも長く使える籠を含めた竹文化が見直される時代になった。

竹の旬がよくなり、良質の竹材で編まれている真竹コンテナ手提げ籠バッグが来月中には発売できる予定だ。真竹で編まれた御用籠の伝統的な竹細工の魅力を現代に引き継ぎつつ、女性でも持ちやすいサイズ感に改良した。プラスチック製品に取って代わる自然素材の温もりを感じていただきたいデザインが特徴なのだ。

特大サイズの御用籠は厚みのある竹ヒゴを使用しており、手にした時のしっかりとした重量感が安心感を与えてくれる。一方、今回製作中の小さいコンテナ籠の方は日常の買い物やさまざまなシーンでの使い勝手が良くなるように軽量化も考慮した。外出時だけでなく、室内でも野菜籠やマガジンラックとして活躍し、インテリアのアクセントにもなると思っている。

経年変色によってバッグの色合いは美しい飴色に変わり、使い込むほどに愛着が増していく様子が楽しめるのも魅力。竹林で伐採した真竹をそのまま使用しているため、個々の形や色に微妙な違いがあるけれど、その一点物感もたまらない。手作りの温もりを感じるこのバッグは、他にはない特別な存在感だ。

真竹コンテナ手提げ籠バッグは、普段のお買い物はもちろん、アウトドアのキャンプなどに威力を発揮しそうだ。持ち手はビニールパイプで作られており、荷物をたくさん入れても持ちやすく、手が痛くなる心配がない。また、底部分は幅広の力竹で頑丈に作られて、重たいものを運ぶ際の衝撃を和らげるしなやかさも持ち合わせている。家庭内での収納にも、もちろん役立ち、様々な用途に対応できる柔軟性を持っている万能選手。是非皆様に再販売をお楽しみにいただきたい!皆様の日常に、この用の美の竹製バッグが加わることを心より願っている。