えっ、担げるの!?虎竹の重みとバランス

虎竹の山出し


いやはや、驚きました。昨日の30年ブログでお伝えしましたように、7月に予定している大阪万博に向けて、東京から動画撮影の方々が取材に来てくれていました。日本で唯一の虎竹を使った電気自動車「竹トラッカー」も展示する予定で、その時に会場で流すPR動画の撮影でした。工場長が虎竹で花籠を編む様子や、竹の油分を抜く「油抜き」という伝統的な作業風景、そして何より美しい虎竹が茂る竹林の様子などを撮ってもらっていましたが、その時にちょっとした出来事があったのです。


虎竹を担いでもらう


撮影は順調に進んで、虎竹の竹林での撮影になった時のことです。今年は少し山出しが遅れている所があり、ちょうど伐採された虎竹が山積みになっていました。虎竹の伐採シーズンは、毎年晩秋から1月末までと決まっています 。だから、この時期(撮影は4月でした)の竹は、伐採直後の水分をたっぷり含んだ重い状態とは違って、多少は乾燥して軽くなっているのです。しかし、それでも、竹というのは、特に長いものは、ただ重いだけじゃなくてバランスを取るのが本当に難しいのです。ボクたち竹屋にとっては当たり前の作業でも、慣れていない人にはかなり大変。


竹虎四代目、虎竹


そこで、ふと、どれくらい大変か体感してもらいたくなって「ちょっと、この虎竹を担いでみませんか?」と、取材の一人に声をかけてみました。都会から来た方に、竹林での作業の苦労を少しでも知ってもらえたら...そんな軽い気持ちでした。すると、取材の方が「やってみます!」と挑戦してくれました。


虎竹伐採


実は、以前も何度か同じようなことを試し頂いた事があったのです。日ごろ重い荷物を運んでいるという180センチを超える大きな男性も、竹を束ねた重量と肩の負担に耐えかねてギブアップしたこと思い出します。そこで、ボクは内心、「いやいや、無理だろう」と、たかをくくっていたのですが、何と!ひょいっと肩に担いで、スタスタと歩き始めたではないですか!?


虎竹の山道


思わず大きな声が出てしまいました。本当にびっくりです。山出しされたばかりの長い虎竹を、こともなげに担いで歩くのです。もちろん、伐採期を過ぎて少し軽くなっていたとはいえ、あの長さとバランスの難しさを考えれば、大したものです。


竹虎四代目(山岸義浩)、虎竹


試しにもう一度担いでもらいましたが、周りにいたスタッフの方々も、ボクの驚きっぷりを見て大笑い。予想外の出来事でしたが、なんだか嬉しい驚きでもありました。この方は天性の竹屋なのかも(笑)。


虎竹を担ぐ


しかし本当に、竹を担ぐのは難しいんです。特に伐採したばかりの、水分をたっぷり含んだ竹はズシリと重い 。国内最大級の孟宗竹のような太くて肉厚な竹はもちろん、ボクたちが主に扱っている虎竹(淡竹の仲間です)だって、それなりの長さと重さがあります。難しいのは、やはりバランス、長いものは重心を見つけるのが大変で、ちょっと気を抜くとフラフラしてしまう。だから、今回の方が軽々と担いだのを見て、本当に感心したんです。


竹虎四代目(山岸義浩)


まあ、伐採シーズンの、一番重い状態の竹だったら、また違ったかもしれません、それと、竹林でも年々高齢化が進んでますので一束の太さが小さくなり軽くなっている事もあるかも。それでも、竹という素材の持つ独特の性質、その扱いにくさを知ってもらいたいという試みは大失敗だったのです。


虎竹本社前にて


この日の虎竹の竹林や工場での仕事の様子は、万博会場にてご覧いただけるかと思いますが、ボクの「竹担ぎ大失敗動画」はそれとは別に、竹虎のYouTubeチャンネルにて公開予定です(笑)。



コメントする