鍋島焼と虎竹の六ツ目編み

鍋島焼


以前も一度ご紹介した佐賀の鍋島焼だが、江戸時代に鍋島藩の御用窯として栄えた高級磁器で、細やかな絵付けや端正な造形が特徴だ。窯の歴史や製法について興味深い話を伺って美しい絵柄に魅了されけれど、ふと、ボクが目を引かれたのは、六ツ目編みを模した焼き物の皿だった。


その皿は、竹細工「一閑張り(いっかんばり)」の盛り皿が元のデザインになっている。一閑張りとは、竹や木の素地に和紙を張り、その上から漆や柿渋を塗って仕上げる伝統工芸の技法だ。しかし、今回見た皿は竹ではなく、まぎれもなく焼き物。まるで竹編みの質感をそのまま陶器に写し取ったかのような綺麗な仕上がりだった。


寿司バラ


実は、六ツ目編みなどの籠目には魔除けの意味合いがあるのをご存じだろうか?編み目の連なりが無数の目に見えることから、邪気を祓う力があると考えられてきたのだ。昔の人々が、単なる実用性だけでなく、安らかな暮らしを祈るお守りのような意味を込めて、六ツ目編みを取り入れていた事がうかがえる。


六ツ目編みの籠


六ツ目編みは、竹編みの中でも基本的な技術のひとつ。なので、農家さんの古い納屋をのぞけば、ひとつやふたつは六ツ目編みの籠が見つかるものだ。通気性がよく、丈夫で農作物の収穫や保管に最適だったため、長い間多くの家庭で重宝されてきた。竹虎でも、六ツ目編みの技術を生かした製品は多い。例えば虎竹六ツ目ランドリーバスケットは、軽さと耐久性を兼ね備えた実用的なアイテムだ。かつて魔除けとしての意味を持っていた竹編みが、現代では自然で温かみのあるインテリアとして活かされているとは面白い。


虎竹六ツ目ランドリーバスケット


鍋島焼の窯元で出会った六ツ目編みの皿をきっかけに、改めて竹編みの伝統とその奥深い意味を見直すことができた。竹細工と陶器、一見異なる分野に見えるものの、伝統の技と暮らしを守る知恵という共通点を持っているのかもしれない。時代を超えて受け継がれる技術や形状は、今の暮らしの中にも確かに根付いているのだと実感している。



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