虎竹の伐採シーズンが終わり、山での作業を終えた竹材運搬車が工場へと戻ってきた。毎年、虎竹の伐採は1月末までと決められており、それに合わせて運搬車もフル稼働する。虎竹の自生する山は急峻で、曲がりくねった細い山道が続いているのでその厳しい環境の中で頼りになるのが、キャタピラーが付いた竹材専用のクローラ運搬車なのだ。長い原竹を積み込んで運ぶので、「舟」と呼ぶウラ(竹の先端部分)を載せるパーツがあるのが特徴的だ。
伐採された竹は、まず竹林で枝打ちされ結束できる山道に集められる。その後、運びやすいよう束にして、この運搬車に載せてゴトゴトと慎重に運び出されるのだ。急な勾配で歩くのですら困難な斜面や曲がりくねった狭い道も、このキャタピラー付きのクローラ運搬車なら力強く登っていく。この運搬車が導入される前には、キンマと言う木製の重たいソリを使っていた。担いで登るだけでも大変な重労働となっていたので、竹材専用のクローラ運搬車の存在は大きく、虎竹の伐採に欠かせない相棒なのだ。
毎年、伐採の時期になると虎竹の里の竹林を登ったり下ったり竹を運び続けるこの運搬車だが、シーズンが終わると工場へ戻り、メンテナンスの時期を迎える。山での過酷な仕事を終えた車体をしみじみと見てみる、泥や傷にまみれながらも、その役割をしっかりと果たしてくれた。今年も無事にシーズンを乗り越えたことに感謝しつつ、しっかりと整備を行い、次の年に備えるのだ。
虎竹の伐採は山の自然と向き合う仕事であり、そこには昔ながらの手作業だけでなく、現代の技術を取り入れた機械の力も欠かせない。虎竹を未来へとつないでいくために頑張ってくれた車体に「お疲れ様」と声をかけながら、また来年の活躍を期待している。
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