山ぶどう手提げ籠バッグは、使い込むほどに風合いが増し、独特の艶が出る魅力的な品である。近年は、輸入の籠も多数目にするようになったけれど、目の肥えた方はやはり国産を選ばれている。お客様が35年間大切に使っている山葡萄と、同じく山の素材を活かしたクルミの手提げ籠もまた、一目で分かる日本の熟練職人の手による丁寧な編み込み、それが使い続けられて来たことで味わい深い表情へと変化している。
今回、そんな長年愛用されてきた山ぶどうとクルミの手提げ籠が修理のため竹虎に届いた。どちらも持ち主に大切にされ、見事な風合いを纏っている。山ぶどうの籠は丈夫で、しなやかさがあり、使い込むことで一層の深みが出る。一方、クルミの籠は山ぶどうに比べてやや耐久性に劣るものの、独特の木肌の編み目が美しく人気がある。
このクルミの手提げバッグだが、特に傷みやすい持ち手と本体のジョイント部分に注目いただきたい。何気に作られているようではあるが、実はより耐久性のある山ぶどうが用いられている。
本当に細かい所なので見逃されがちではあるけれど、この仕様には、山の素材の特性を熟知した職人の工夫が活かされており、クルミ籠の強度を高めてお客様にご満足いただきたいと願う職人魂が秘められている。このような細部へのこだわりがあるからこそ、国産のクルミバッグは長年にわたって使い続けられるのである。
そして、さらに修理を施すことで、これらの籠はもっと長く長く、ご愛用できるようになる。使うほどに手に馴染み、持ち主とともに時を重ねる山ぶどうとクルミの手提げ籠バッグ。日本の自然素材の素晴らしさと、それを生かす伝統の職人の知恵と技を改めて実感する機会となっている。再び、お客様のお手元に届ける日が、春を待つように待ち遠しい。
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