楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024総合グランプリ「越前かに職人甲羅組(DENSHOKU)」

田辺


創業文化三年の老舗「志保重」の清水雅彦さんから連絡をいただき、敦賀に講演にお伺いした時のことを思い出した。ボクはインターネット通販こそ対面販売であり、自分のお客様をしっかり見定めないとダメだと考えいる。そこで、人前でお話する際には、熱血野球漫画「侍ジャイアンツ」で主人公のライバルとして登場するウルフ・チーフのことを、いつも例に出して話している。崖の上に槍を一本持ったウルフが、無数に走ってくるバッファローの群れにやみくもに槍を投げて失敗を続ける姿が、3年間もネット販売に取り組みながら、300円しか売ることができなかったダメな自分の姿に重なっていたからだ。


虎竹伐採


そもそも、虎竹は日本唯一の素材で、ボクたちは誰にも負けないつもりだ。どこにも無いような、良い竹製品作りをしているから、きっと売れるに違いないと勘違いしていた。画面の向こうに何千万人いようとも、自分の持つ一本の槍を、一人のお客様に向けて投げる事を知らなかったのだ。


竹虎工場


そんな何でもないような話を清水さんが覚えてくださっていて嬉しかったのだが、その講演会場の最後列の席で、もう一人、話を聴いてくださっていた方がいた。


講演会場


その方は、ボクが話を終えるやいなや立ち上がり、まるで人目を避けるように足早に会場を去って行った。数年前から交流があったので、アルバイトをしながら創業を果たしたばかりだと知っていた。だから、忙しく時間もない中、それでも勉強を欠かさない熱心さは、さすがだなあと感心していた。


越前かに職人甲羅組(DENSHOKU)伝食


あれから10年......。


彼の会社は急成長し、年商は130億円を超え、社員数も240名となった。先日の楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024で初の総合グランプリを獲得した「越前かに職人甲羅組(DENSHOKU)」の田辺晃司さんが、その人。テレビや映画でしか見られないようなことが、実際に目の前で起こっている。田舎にあっても、自分たちの価値を日本全国に直接お届けできる。やはり、インターネットの世界は素晴らしいと思う。



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