竹細工の長い竹ヒゴ

竹籠工場


近年は、竹籠や竹ざるを分業化して大量に製作するような事がほとんどない。なので、あまり見られる事がなくなったけれど、その当時は広い共同作業場があって、何人もの職人さんが一緒に仕事をされる事も多かった。


竹籠用の長い竹ヒゴ


実は、広く大きな作業場には理由がある。竹籠や竹ざるは、継ぎ目の少ない籠を作ることで、美しい仕上がりと強度を保つものがある、そこで短い竹ヒゴではなくて、できるだけ長尺物の竹ヒゴを使うのだ。長い竹を割らないと、長い竹ヒゴが取れないから、広い作業場のない職人の中には庭先など屋外で仕事をされる方もいた。


茶碗籠


竹籠は日本の伝統工芸のひとつで、美しく可愛いデザインや機能性から、ご家族からお一人暮らしの方まで、日々の生活に取り入れられる方が少しづつ増えている。しかし、そんな竹籠作りに隠れている、案外しられていない職人技が実は「長い竹ヒゴ」なのだ。


手付き籠


一般的には粘りのある真竹が使いやすいと言われるが、昔から淡竹を使って来た職人は、節が低いからと淡竹ばかり伐採して使っているし、竹細工には不向きと思われる孟宗竹で編む職人もいる。


竹職人


けれど、長い竹ヒゴを作らねば籠が編めない事は同じ。幅、厚みが均等な美しい竹ヒゴからしか、美しい竹細工は生まれない。地味であまり注目される事も少ない、この工程には隠された職人の技と思いが込められている。竹籠にしても、竹ざるにしても、その魅力は、単なる道具としての機能だけではなく、こうした伝統的な技術が生み出す機能美にある。この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」を通じて、今まで以上に竹の奥深さを少しでも伝えられればと思う。





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