下地編み竹職人の執念に導かれた一閑張り文庫

一閑張り文庫


新しい一閑張り文庫を完成させた。異例のスピード感(笑)、どれだけの思い入れかお分かりいただけるのではないだろうか?この文庫は、四ツ目編みの下地に薄い土佐和紙と、色付きの土佐和紙を重ね、さらに柿渋で仕上げたもの。一見、伝統的な手法を用いただけのように思えるかもしれないが、その完成には名前も知らない超絶な技を持った、下地編み職人との奇跡的な出会いがあった。


一閑張り文庫


思えば、最初のきっかけは、古民家の薄暗い倉庫に眠っていた古い四ツ目編みの角籠だった。その編み目の美しさに心を打たれ、何とかこれを皆様のお手元に届けられる一閑張りの作品に仕上げたいと強く思った。たまたま、懇意にしてくださっている腕の良い一閑張りの職人がいる、そこに、これだけの端正な竹編み下地なら、箱物としては現在考えうる最高の強度と美しさを兼ね備えた逸品に出来る。


一閑張りと言っても、下地の竹編みの技が稚拙で和紙張から見える表情が芳しくなかったり、また下地自体を竹ではなく紙で製作されたりしている。この竹編みとの出会いは、古の熟練職人が自分の技の結晶とも言える下地編みを、ボクに完成させて世に出してくれと、本物の一閑張りを世に問うてくれと、引き合わせてくれたような不思議な縁を感じた。


一閑張り文庫


出来上がった一閑張り文庫は、竹編み、土佐和紙、柿渋という日本の伝統的な素材が、時を越えて融合し現代に蘇った。蓋を開けると現れる朱赤や、手に触れるたびに感じる和紙の温もり。その全てに職人たちの技術と情熱が宿っている。下地編みを作った匠は、空の上から満足されているだろうか?ボクに引き合わせた事を喜んでくれているだろうか?


一閑張り文庫


この一閑張り文庫は、単なる収納箱ではない。日本の風土が生み出した竹をはじめとする自然素材、そして職人たちの手仕事が織り成すアートであり、歴史の継承そのものと言える。この文庫を手に取った方に、日本の伝統文化の奥深さや素晴らしさを感じてもらえたら幸いだ。





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