忘れた頃に、ひとつ、ふたつとお問い合わせ頂く製品に、虎竹バッグ「ニューヨーカー」がある。モダンな風貌もさることながら、ネーミングも少し珍しいと感じられる方もいるかと思う。数奇な運命によって、竹虎と懇意にされている竹作家・渡辺竹清先生の手元に届いた成り行きは、このハンドバッグのページに詳しく記載させてもらっている。
ユニークな構造を海外の方にも紹介したいと考えて、ニューヨークのCOTERIE展(コーテリー展)やパリのPremiere Classe(プルミエール・クラス)にも出展させてもらった。見本を元にした開発には時間も費用もかかったけれど、どうしても再現したいと考えたのには理由がある。
実は、もともとはこの竹バッグは、日本が海外への輸出用として製作した籠だったのだ。美しいデザインは、部材を大量に製造しやすく、平たく伸ばせば輸送にも効率的に運べる工夫がされている。近年は日本製はクオリティが高いのが常識なのだが、品質よりも量を重んじて大量生産されていた頃、竹細工は大切な外貨獲得の輸出品として活躍していた。今では、全く考えもつかないような当時の生き証人として、竹が忘れられる前の時代に生きた籠として畏敬の念を感じたのだ。
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