竹虎にある、竹籠や竹ざる等の竹細工をご覧になられたお客様から「この籠をもう少し大きく作ってほしい」あるいは反対に「小さめサイズが欲しい」といったオーダーをいただく事がある。しかし、別注の竹細工は、定番商品と比べて価格が大幅に高くなる場合があり、お客様の中には戸惑われる方もおられるようだ。
小さな籠にするから、むしろ、安価にできるのではないか?そんな風に勘違いされる方もおられるのでご説明しておかねばならないと思う。まず、新しいサイズや形状の竹細工を作るには、元の竹籠を参考にしながら、改めてそのサイズにあった竹素材取りからはじめる。ご指定サイズに合わせる過程で、試作品を作りながら細部を調整するため、ここに案外と大きな手間がかかってしまう。
竹籠、竹笊のサイズを違えれば、竹ヒゴの幅や厚みも変えないと、お客様のイメージされる出来栄えにならないのだ。また、竹材は一本一本が形が異なり、性質も違う特性を持つ自然素材だ。定番製品を作るために確保していた竹材では使えない事も多く、ひとつの竹籠のために竹材選びから始めなければならない場合もある。
さらに、別注品は特別な技術や工夫を必要とされる事が多く、熟練職人でないと製作できない事も多い。簡単に見える竹細工であっても、常に編んでいる籠は製作は効率的な仕事が進められるようにしている一方で、別注品では製作工程やスケジュールに調整が必要となり、通常の竹編みの数倍の時間がかかってしまう。
オーダーメイドの竹細工は、こうした理由から思わぬ高価な金額になるものの、お客様のご希望に合わせた一点物であり、世界に一つだけの作品となる。自然と共生してきた日本人と竹は、密接で特別な関係だったけれど、その魅力を最大限に引き出した竹細工の価値は、あなたに特別な感動を与えてくれると思っている。
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