ずっと衣装籠として使われていた美しい柳細工が出て来た。柳細工とは、一見草にも見えるようなコリヤナギという高さが1~3メートル程度の植物で、強さと粘り、柔らかさを兼ね備えていて昔から籠編み素材として使われきた。特に柳行李は、丈夫でしなり、通気性に優れた衣装ケースとして、その昔はどこのご家庭にも数個はあったように思う。
今回の柳衣装籠も、元々は本体と蓋がセットとなった行李ではなかっただろうか。どうも、この柳細工は行李の蓋部分のようである。
縁には竹が使われ、籐でしっかりと留められていた。
本来は衣装籠ではないにせよ、こちらも逸品である古い白竹の麻の葉脱衣籠と並べてみても全く見劣りしない風格だ。
ずっと前に岐阜で最後の柳行李職人さんにお会いしたことがある。同じ柳細工でも、素材によって編み込みの細かさが異なっていたのだが、より緻密に編み込まれた弁当箱などは声を失うような丹精さを感じる。
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