新しく作った一閑張り手提げ籠の良さは一言「本物」という事だ。おっとその前に、そもそも一閑張り(いっかんばり)の技法の説明をせねばならないかも知れない。一閑張りは、竹編みの素地に和紙を貼り、その上に柿渋をかけて仕上げる技法の細工だ。一貫張りとも呼ばれる事があるが、和紙と柿渋の耐久性で一貫目(3.75キロ)の荷物も入れられるほど強くなるという機能性からと言われている。
竹籠や竹ざるが一般のご家庭で多用されていた時代は、自分の使う道具は自分たちで編むのが当たり前でもあった。加工性の高い竹だが、毎日の使用でどうして傷んでしまう。そんな時に和紙を貼り、柿渋や漆などを塗布して硬く補強したのが一閑張りの起源だ。
土佐和紙、阿波和紙、大洲和紙など四国には良質の和紙が多かったからだろうか?一閑張りの技法が栄えた地域だと思うけれど、近年では竹職人が少なくなり、和紙の下地に使われる竹編みが作れなくなっていた。一閑張りは竹に和紙を貼り付けて完成させるので、隠れてしまう竹編みなど編む職人がいないのだ。
ところが、隠れてしまうと言っても楮100%の和紙の下からは、クッキリと四ツ目編が模様のように浮かび上がる。
竹の編み目といい、持ち手の中央に浮かぶ竹節の模様といい、この自然の意匠がカッコイイのだ。
竹、和紙、そして柿渋など日本伝統の素材を使った籠、どうしても和紙貼りが目立つのかも知れないけれど、一閑張りの魅力は、何といっても竹編みだ。実は縁の下の力持ちの竹こそが主役なのだ。
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