99円で買える竹楊枝を、1500円で作る理由

国産竹楊枝


竹は、しなやかで、軽やかなイメージがあると思うが、それは竹を薄く、細くした竹ヒゴを使った竹細工が一般的には多く知られているからだ。竹を薄く剥ぐと、柔らかな素材となる反面、真っ直ぐで硬い性質をも併せ持つ、ユニークな材質だ。そこで、竹串や竹楊枝などにも昔から多用されてきた。


竹製<極上>爪楊枝


中でもボクのお気に入りは竹楊枝で、これは一度使ったら最後!他の柔らかい木製の楊枝など使えたものではない。硬質な竹ならではの、鋭利な先端が歯と歯の隙間にスッと入って、いくら使っても先がつぶれる事なく、最初と同じ快適な使い心地のままなのだ。簡単に折れてしまう楊枝も多いけれど、竹楊枝は折ろうとしても少し苦労するほどの強度がある。


日本製竹楊枝先端


最後まで製造していた国内メーカーで作れなくなった時には、本当に残念でB級品を自分用に取っておいて使っていた。海外から安価な製品があるにはあるけれど、せっかく日本中にある孟宗竹を使えるのだから、何とか国産にこだわり復刻できないものかと、長い間ずっと願ってきた。


どうにか復活できそうになるものの、試作の竹楊枝は昔のそれと使い心地が違う。直径の微妙な太さの差異と、先付けの鋭利さを歯茎がしっかり覚えていているからコワイものだ(笑)。せっかくの竹だ、竹の特性を活かした鋭さがないと、どうしてもOKにはならなかった。


国産竹楊枝


粘り強く何度も何度もチャレンジいただく中で、遂に今回、以前と変わらない使い心地の竹楊枝が出来あがってきた。長さも1.5センチ長くして8センチのサイズとしているので、持ちやすく機能的な製品になったと思う。お待ちかねの皆様には是非お試しいただきたい。


国産竹楊枝


竹楊枝の強さ、使い心地の良さは広く知られているし、成長が早く持続可能な天然資源として見直されても来たので海外で製造されている竹楊枝も多い。ボクの見た最安値では、確か180本入りで99円のものまである。国産で復活した竹楊枝は価格では全然太刀打ちできないけれど、日本の竹を、日本の職人が手掛けた信頼と安心の逸品だ。





忘れた頃に虎竹バック「ニューヨーカー」

虎竹バック「ニューヨーカー」


忘れた頃に、ひとつ、ふたつとお問い合わせ頂く製品に、虎竹バッグ「ニューヨーカー」がある。モダンな風貌もさることながら、ネーミングも少し珍しいと感じられる方もいるかと思う。数奇な運命によって、竹虎と懇意にされている竹作家・渡辺竹清先生の手元に届いた成り行きは、このハンドバッグのページに詳しく記載させてもらっている。


虎竹バック「ニューヨーカー」


ユニークな構造を海外の方にも紹介したいと考えて、ニューヨークのCOTERIE展(コーテリー展)やパリのPremiere Classe(プルミエール・クラス)にも出展させてもらった。見本を元にした開発には時間も費用もかかったけれど、どうしても再現したいと考えたのには理由がある。


虎竹バック「ニューヨーカー」


実は、もともとはこの竹バッグは、日本が海外への輸出用として製作した籠だったのだ。美しいデザインは、部材を大量に製造しやすく、平たく伸ばせば輸送にも効率的に運べる工夫がされている。近年は日本製はクオリティが高いのが常識なのだが、品質よりも量を重んじて大量生産されていた頃、竹細工は大切な外貨獲得の輸出品として活躍していた。今では、全く考えもつかないような当時の生き証人として、竹が忘れられる前の時代に生きた籠として畏敬の念を感じたのだ。





歳末の奇跡か?特大スズ竹ざる

スズ竹特大ざる


ちょっと奇跡のような事が起こっている、まさに本日は2024年の歳末、最後の営業日なのだが今年一年のご褒美か?クリスマスだったのでサンタさんからの贈り物かも知れない。それくらい、このスズ竹ざるは衝撃的な登場だ。サイズは2尺(約60センチ)サイズで、日本の皆様が竹細工に囲まれていた当時なら定番の大きさだ。野菜や梅干しを干したり、丈夫な特性を活かして、重量のある農作物などを運ぶのにも多用されていた万能竹ざるである。




なぜ、この竹ざるが奇跡的かと言うと、そもそも現在、国産で60センチの大型竹ざる製作を生業としている職人さんはいない。更に、竹虎のように会社組織で竹ざる作りに取組むなど皆無で、他から見たら少し狂気の沙汰に見えているのかも知れない。それくらい需要もないし、ホームセンターに行けば安価な輸入品がいくらでもあるのだ。


60センチスズ竹ざる


しかし、それだけでなくスズ竹にはYouTube動画でご紹介しているように120年に一度の開花が重なる。この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご購読の皆様には、毎度のお馴染みではあるけれど、竹は開花をすると竹林全体が枯れてしまう。スズ竹の竹林が、まるで枯れススキのようになっている姿はショッキングだが、元の竹林に戻るのに10年、竹材として同じレベルに使えるのには更に5年かかると言われている。




だから、これらの特大サイズのスズ竹ざるは、まだ竹ざる職人さんが仕事をされていた、開花以前に作られた物と言う事になる。倉庫の奥深くに、大事に保管されていたこれらの竹細工も、価値を知って光を当てる者がいないと朽ちてしまう。これだけのレアな竹細工に囲まれてワクワクしながら、皆様にお届けできるのは幸せな気持ちしかない。



別注・オーダーメイドの竹細工が高額になる理由とは?

真竹腰籠


竹虎にある、竹籠や竹ざる等の竹細工をご覧になられたお客様から「この籠をもう少し大きく作ってほしい」あるいは反対に「小さめサイズが欲しい」といったオーダーをいただく事がある。しかし、別注の竹細工は、定番商品と比べて価格が大幅に高くなる場合があり、お客様の中には戸惑われる方もおられるようだ。


御用籠


小さな籠にするから、むしろ、安価にできるのではないか?そんな風に勘違いされる方もおられるのでご説明しておかねばならないと思う。まず、新しいサイズや形状の竹細工を作るには、元の竹籠を参考にしながら、改めてそのサイズにあった竹素材取りからはじめる。ご指定サイズに合わせる過程で、試作品を作りながら細部を調整するため、ここに案外と大きな手間がかかってしまう。


竹籠、竹笊のサイズを違えれば、竹ヒゴの幅や厚みも変えないと、お客様のイメージされる出来栄えにならないのだ。また、竹材は一本一本が形が異なり、性質も違う特性を持つ自然素材だ。定番製品を作るために確保していた竹材では使えない事も多く、ひとつの竹籠のために竹材選びから始めなければならない場合もある。


粗四ツ目角籠


さらに、別注品は特別な技術や工夫を必要とされる事が多く、熟練職人でないと製作できない事も多い。簡単に見える竹細工であっても、常に編んでいる籠は製作は効率的な仕事が進められるようにしている一方で、別注品では製作工程やスケジュールに調整が必要となり、通常の竹編みの数倍の時間がかかってしまう。


四ツ目竹ざる


オーダーメイドの竹細工は、こうした理由から思わぬ高価な金額になるものの、お客様のご希望に合わせた一点物であり、世界に一つだけの作品となる。自然と共生してきた日本人と竹は、密接で特別な関係だったけれど、その魅力を最大限に引き出した竹細工の価値は、あなたに特別な感動を与えてくれると思っている。





「この竹串、この竹楊枝、日本一だね。」

国産竹串


竹串と一口の言っても、実は色々と種類がある。丸串、角串、平串、鉄砲串、松葉串、魚串、半月串、団子串、おでん串、銀杏串...料理にあわせて、食材にあわせて、その品数と同じだけあるから多種多様だ。しかし、これだけ沢山あっても、それでは日本の竹を使った国産は?と言えば、ほとんどない。


国産竹串


老舗の焼鳥屋さんから、こんな形の鉄砲串が作れないかとお問い合わせを頂いた。持ちやすく平らな形の串だから、つくね等に使われているのではないだろうか。今まで作っていた職人さんも、家族構成を聞くだけでピンとくる、それだけ竹の世界は狭い。ご高齢なので竹伐採は難しくなったに違いない。




「この竹串、この竹楊枝、日本一だね。」そう言って、まるでボクに託すように渡された一本の串、まるで昨日の事のように思い出されて、この動画を観る度に胸が締め付けらる。もう何年も前に、現場を引退された熟練の職人さん達、作ることのできなくなった竹串たち。


日本製竹串


竹を叩いて割る音、向こうから聞こえる幼い頃から耳に焼き付いている竹鋸の音。この竹工場は戻ってこないけれど、国産で出来ることが、まだまだあるはずだ。皆さんが思う以上に空洞化している、日本のモノ作りを何とか奮い立たせ、少しでも日本の竹を使いたい。


日本製竹串


主に業務用として使われる竹製品は、焼鳥を焼いている本人が使いたいと思いながらも、数字が重たくのしかかる。どうしても、安価な海外のものに流れてしまいがちなのだ。だから、せめて大量に消費される隙間にある、小さいけれど、こだわりのある竹串を提供できればと思う。




そう言えば、竹の爪楊枝をご存知だろうか?強さが全く違うのでボクは手放せないので、ずっと復刻を目論んできた。ファンの皆様、お待たせしました、国産竹楊枝もうすぐご紹介予定です。



30数年前を思い出す風合い、泥染め作務衣

竹虎四代目、作務衣


365日作務衣のボクが、好きが高じて30数年のお付き合いのある玄照堂さんでオリジナル作務衣を作ってもらっている。初めは皆様に販売する事など思っていなかったけれど、お客様のお問い合わせが多いのでお分けしているうちに、すっかり定番となってしまった。


作務衣の竹虎ロゴマーク


しかし、竹虎は作務衣店ではないし、作務衣なら玄照堂さんで他の種類などもあるので購入いただければ良いと思うのだが、案外と皆様に好評のようだから面白い。背紋の竹虎ロゴマークのせいだろうか?




YouTube動画の中でも話しているが、週末だけに着用される一般の方であれば、一着あれば一生色落ちを楽しみながら着られるのではないかと思う。ただ、身体を動かす仕事などに着るとなると別で、ボクのようにまるでパッチワークのように当て当て布をする事になるかも知れない。それでも、一着あれば大丈夫だろう。
(ちなみに動画の中で鳴いているウグイスは本物です)


洗濯籠


さて、ところで、30着ある作務衣の中で最近一番気に入ってるものがある。それが、奄美大島の伝統技術である泥染めを施した作務衣だ。鉄分を豊富に含む泥と植物染料を用いることで、奥行きのある独特の色味が生まれている。実は、十数年前から泥染めも着ていて既に4着目なのだが、最初の泥染めは製法が違っていて色落ちが早く、本当にこれが泥染めだったのか?と言われるくらい白っぽい色になってしまった。




白っぽくなった作務衣も、また味があるのでOKだけれど、洗濯しすぎで生地が弱くなっている(笑)。その後、今では廃版になっている縞模様や、ピンチェックも着てきたが、最新の藍染作務衣を泥染めしたものが最高にイイ感じだ。ボクが30数年前に初めて買った、まさに江戸時代の藍を再現すべく作られた作務衣があるのだけど、少しそれに似ている。いや、まだ着こなしが足りないので、今後どう育つかは分からない。けれど、泥染めして蒸し加工を施した生地の色合い、色落ち、なかなか渋い。


まだ動画にできるほどでもないので、もう少し時間が経ってから撮るつもりなので、お好きな方だけにご覧いただきたいと思っています。



その竹林の先の未来へ、虎竹の里から

日本唯一の虎竹


高知県須崎市安和の虎竹の里では、新年の来月下旬にかけて、1年分の虎竹を伐採し、山から運び出す「山出し」が行われている。今年の虎の模様はどうだろうか?この作業は、熟練の職人たちが急勾配で足場の悪い竹林で一本一本丁寧に竹を伐り出すという、大変でありながらもやりがいのある仕事だ。


虎斑竹


それにしても、竹林に広がる凛とした空気を吸い込みながら作業をする時間は、心を落ち着かせてくれる。一本、また一本と美しい虎柄模様に出会うと苦労が報われたような感動すら覚える。


虎竹


そして何より、伐採した虎竹が、様々な製品に生まれ変わり、全国の多くの人々にお届けできる事を想像すると、自然と笑顔になってくる。この竹が、どこかで誰かのお役に立つ日を来ると思うと、竹林での汗も心地いいものだ。


虎竹


虎竹伐採は、単なる作業ではないと思っている。少なくとも江戸時代から続いてきた伝統を守りながら未来へつなぐ大切な営み。その中には、自然への感謝と敬意が込められており、ボクたちに自然と人とのつながりを改めて教えてくれる貴重な時間とも言える。


tiger bamboo


虎竹の竹林は、窒素、リン酸、カリウムをバランスよ含んだ粘土質の赤土土壌で、竹の根がはりやすく大きく育ちやすい。陽射しの差し込む竹林で伐り出した虎竹は、運搬機を使い、トラックに載せて選別場まで運ばれる。選別場では、太さや品質、用途に応じて一本ずつ手作業で選別され、適切な保管場所に収められるのだ。


tiger bamboo


虎竹伐採に携わる職人たち仕事が、虎竹製品の品質を支えている。もし、虎竹製品を手に取る事があれば、その背後にある自然との共生の物語に思いを馳せてみていただけると嬉しい。



一閑張り塵取りの魅力

一閑張り塵取り、竹虎四代目


黒竹柄の棕櫚箒や、虎竹柄の座敷箒があるので、一緒に使える塵取りを前々からずっと思い続けてきた。なかなか良いものが出来ずにいたのだが、ようやく軽量で扱いやすく、高い耐久性を誇る逸品ができあがった。竹や木などの素材に和紙を貼り重ね、その上から柿渋や漆を塗る日本の伝統技術である一閑張りの技法で作られた、楮(こうぞ)100%の和紙と、特産の虎竹を使用した塵取りだ。


一閑張り塵取り


大小と2つのサイズがあり、自然素材の美しさと使い勝手の良さを兼ね備えているので、竹と和紙の温かみを感じながら日常の掃除をちょっと特別な時間に変えてくれそうだと思う。


一閑張り塵取り


持ち手には、唯一無二の虎模様が特徴の虎竹を使っている。塵取りに自然の美をプラスし、手にしっくりなじむ心地よい質感を感じて頂ける。


一閑張り塵取り


塵取りに使われる和紙は、柿渋を塗り重ねて強度を高くしている。更にお使いいただいている内に、経年変色して深みのある色合いになってくるので堪らない。


一閑張りはりみ


伝統と実用性の融合させたようなシンプルなデザインは、現代の生活にマッチして実用的なだけでなく、美しい見た目がインテリアとしても存在感を放ちそうだ。身近に置いて毎日使うものだからこそ、好きで気に入ったものをご愛用いただければ、お掃除も楽しい時間になってくる。職人の技と、伝統的な日本の素材へのこだわりを活かし、見た目と使いやすさを両立させた逸品だ。





牡蠣と孟宗竹

孟宗竹の林


虎竹の里には極端に少ない日本最大級の孟宗竹も、日本中どこに行っても目につく山々には生えていて、強い生命力と驚異的な成長力で青々と繁っている。せっかくの継続利用可能な天然資源が、活用される事がなくもったいない、竹が泣いているとお話しさせてもらうけれど、ひとつ注目の竹利用の方法がある。前にもお話しさせてもらっているが、実は、それが牡蠣養殖に欠かせない養殖筏(いかだ)だ。


孟宗竹の伐採


竹伐り一筋40年のベテラン職人さんに孟宗竹の竹林で伺った話を思い出す。海に浮かべる養殖筏となれば、ある程度の強度が求められると思うが、中が空洞になっている竹の浮力と、身が厚く硬さをも併せ持つ孟宗竹なら理想的な素材なのだ。




伐採された孟宗竹


旬を迎えている牡蠣は、フライにしても鍋にしても本当に美味しい。海のミルクと聞いた事があると思う、病原体から体を守る免疫機能細胞は亜鉛が不足するとうまく働かないそうだが、亜鉛を豊富に含む牡蠣を食することで風邪などの感染症対策になると言うから、まさに今の食材。今夜の食卓に牡蠣がならぶ方がおられたら、是非、海から遠く離れた孟宗竹の竹林にも思いを馳せていただくと嬉しい。



皮付きの竹しゃもじ

孟宗竹材


この竹の肉厚をご覧いただきたい!孟宗竹は、さすが国内最大級の竹だけあって直径も大きいが、身も厚みもすごい。虎竹は、独特の虎模様が他の竹にない特徴だが、淡竹の仲間なので身が薄い。なので、このような竹材を見る度に、惚れ惚れしてしまう。身の厚みがあればこそ、握りの太い竹箸や耳かき等が自由に製造できるのだ。


竹しゃもじ


さて、こんな竹杓文字も大きな孟宗竹だからこそ作ることが出来る製品のひとつだ。竹節が、ちょうど首のあたりに入った皮付きは何とも格好がいい。もちろん、自然素材だから全ての杓文字のこの場所に節が入るとは限らない、この竹杓文字は器量良しなのだ(笑)。


孟宗竹炭化


ただ、身が厚い分、孟宗竹は虫が入りやすいという事もある。竹材管理が大変な竹材なのだが、それも高温と圧力で蒸し焼き状態にする炭化加工すれば随分と防虫効果が高くなる。


炭化竹


天然の煤竹のように、竹表皮が煤けた感じになった一枚の竹板。割幅は広くて、身も厚い、どんな製品に変えてみようか?ワクワクしてくるような竹素材だ。どんな素晴らしい技術があっても、元の竹があってこそだと、手にしながらつくづく思う。



竹トラッカー、キテレツ文化祭へ行く

坂本龍馬、中岡慎太郎、武知半平太


坂本龍馬、中岡慎太郎、武知半平太という土佐の偉人の像がたつのは高知駅前の、こうち旅広場。週末には楽しいイベントが開催されて旅行客の方にも好評の高知観光の玄関口だ。さて、ここで初めて開催されたテレビ高知の番組「キテレツが咲く」と高知青年会議所がコラボレーションしたキテレツ文化祭に竹虎も参加させてもらっていた。


竹トラッカー、虎竹兜


土曜日の早朝、寒空の下、誰もいない虎竹の里の工場からスタート。先の世界竹会議台湾での走行のために、バッテリーを積み替えたばかりとは言え、この気温の低さ(温度が低いとバッテリーの減りが早い)と久しぶりの長距離単独走に緊張していた。




この日の走行動画がないので、何かないかとYouTube動画を探していたら、あった!チャレンジラン横浜で、1000キロの道のりを11日間かけて走った末にたどり着いた世田谷ベースでの所ジョージさんの激励動画。東京まで走った事を思えば、高知駅までなんて、どうという事はない(笑)。


竹トラッカー目盛り


ところが、やはり予想どおり満タンにしていた電気が高知市内に入ると心もとなくなってきた。そう言えば、いつだったか同じルートで走ってきて途中のジーパン屋さんで充電させてもらった事を思い出した。こうなれば、どこか途中で停まれば民家でも何でもお願いして少し電気をお借りしよう...。






電源など全く見当たらない箱根峠や高知から松山の間の三坂峠ではないのだ。自分に言い聞かせながら、ギリギリ最後の一目盛りになって、会場のこうち旅広場に到着!


キテレツ文化祭、こうち旅広場


初めての開催なので、どんな催しなのかと思っていたキテレツ文化祭は、FUJIWARAのお二人や、僕が見たかった青空の西森杏弥さんはじめ、デハラユキノリ、安藤桃子さん、柴田恵介さんら番組のレギュラーの方も参加されて大盛況。


キテレツ文化祭、テレビ高知


キテレツ文化祭


竹トラッカーも、お子様に気に入ってもらえたり、海外からの観光の方に写真に収めていただいたりと、ハラハラしながら乗って来たかいがある人気ぶりで安心した。


ブリッジ


さて、ところで今回の走行の途中で、ひとりの女性にお声をかけてもらった。


レストランブリッジ


仁淀川大橋のたもとにある老舗レストラン「ブリッジ」の方だった。実は、このレストランには、思い出がある。全寮制だった明徳中学生の時、事情があり母と二人で自宅まで帰った事があった。明徳には車がなければ、バスと小さな渡船を乗り継がねばならない、寒い日に母は一人で迎えに来てくれた。そして、同じように小舟とバスを乗り継いで帰るのだけれど、船着き場からのバスでは直接自宅には帰れない。いちど、土佐市で乗り換えるのだが、そのバス停前にブリッジはあった。


仁淀川にて竹トラッカー


待ち時間にエビフライ定食を食べた、打ちひしがれていたボクは、味も全く覚えていない。あれから一度も入った事のないブリッジは、残念ながら今年閉店されてしたまったそうだが、ご主人と二人三脚で接客されていた奥様と言葉を交す事ができて、あの夜の遅い夕食を昨日の事のように思い出した。50年近く前の事だから、人生の道中も面白い。


この日の様子は、テレビ高知「キテレツが咲く」本日12月18日(水)よる7時から放送予定です。





虎竹かんざし、髪飾り、ピアス

虎竹かんざし


虎竹のかんざしは、竹そのままを削って製作しているので派手さはないものの、自然素材の手触りの良さや落ち着いた雰囲気が好まれているようだ。お客様からは髪をゴムでとめず使っているとお声を頂戴したこともある。竹は成長が早く、継続利用可能な唯一の天然素材と言われている事は、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」では度々申し上げている。環境意識が高まるなか、エコフレンドリーな気持ちと共にご愛用いただきたいと思う。


竹ネックレス


竹のアクセサリーなど、あまり身近でない方が多いのではないだろうか。ところが、実は昭和の時代には、竹のネックレスやブローチなどが数え切れない程の種類が製作されていた時期がある。ボクの小さい頃、周りの大人たちは誰でも彼でも竹アクセを身にしていたのだ、もちろん虎竹の里だけだったかも知れないが(笑)。


竹レトロブローチ


軽くて、加工性が高く、様々なデザインが可能な竹は、アクセサリーのような小物にも向いている素材なのだ。カラフルな色に染めたものも多かったから、現在では竹と気づかない方もおられると思う。


虎竹髪飾り


古き良き頃の竹の技は、細々とではあるが今に続いており、虎竹を使った髪飾りなどもご紹介している。


虎竹イヤリング


虎竹イヤリングも、ウェブサイトから無くしてしまったら寂しいと思いながら新しく製作をお願いした。留め具は、虎模様と相性の良いねじバネ式の金古美(きんふるび)色の金具、ピアスはシルバーの開閉式のフレンチフックで仕上げられている。





なぜ持続可能?人と環境にやさしい?女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞

女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞


竹虎は「21世紀は竹の時代」だと言ってきた、1985年からなのでもう40年近く伝え続けて来たことになる。サステナブルという言葉を口にするようになり、持続可能な社会への取り組みを考える機会が増えているが、まさに、わずか3カ月で20数メートルに成長し、伐採しても地下茎が伸びて次々と筍が生えてくる竹は継続利用可能な唯一の天然資源なのだ。


竹炭の洗い水


加工性の高い竹は、昔から様々な製品に加工されてきたけれど、竹炭にすれば更に活用の幅は広がる。今回、女性のあした大賞「SDGs賞」を受賞させて頂いた100%天然成分の竹炭の洗い水は、敏感肌や手荒れに悩む女性に届けたい洗濯用洗剤だ。徐々に注目を集めてきているものの、実は全く新しい製品ではなく、元々は田舎のおばあちゃんがカマドの灰を持って来て、大きなタライの中の水に溶かして洗濯板でゴシゴシ洗っていた、お洗濯を現代風に使いやすく機能的にしたものなのだ。


女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞


今回の会場は、表参道というお洒落な場所柄で、日頃会う機会のない都会のインフルエンサーの方々とお話しできたのが本当に嬉しかった。


女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞


肌荒れや敏感肌、アトピーの方にオススメしたい、界面活性剤や香料、蛍光剤、柔軟剤などを含まない100%天然成分と言うのはご理解いただきやすいと感じた。


女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞


繊維に残る合成洗剤の界面活性剤の心配がないから、すすぎ1回で電気、水の節約になり環境負荷が少ないというのもお伝えしやすい。


女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞


ところが、竹がどうして環境と関係があるのか?本当の意味での「SDGs賞」が、もしかしたらお分かりいただけていないのかも知れない。


女性のあした大賞2024


日本人と竹は数千年の付き合いがあり、竹のない暮らしは考えられないほど密接に支えあっていた。他所の土地に移り住む時には、まず家の近くに竹根を植えたと言う話もある。


女性のあした大賞2024


だから、今では誰も住んでいない山深い場所に、ポツリと竹林が遺されていて古人の生活を偲ぶこともある。


孟宗竹


そんな竹が、わずか40年、50年の間にプラスチックに置き換わり、日本人に忘れられた。忘れられたと言っても、そう簡単に思い出せるものではない事が今回の交流で分かった。若い世代の皆様にとっては、全く未知の素材であり、遠く離れすぎて考えた事すらないモノ、それが竹だ。


2優秀賞


世界的には見直されていて欧米では人気も高い竹が、本家の日本で誰も知らないのはどうだろうか?ボクの周りには声が届いていたとしても、それは本当に小さな世界であり、井の中蛙だったと痛感している。「NO BAMBOO NO LIFE」、これから本気でやらねばと静かに燃えてきた。


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世界竹機構(World Bamboo Organization)から任命された、日本に二人しかいない世界竹大使としても、今は危機感しかない。



手荒れのお母さんを救う竹炭の洗い水、女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞

日野佳恵子、竹虎四代目(山岸義浩)


この度、女性のあしたが輝く社会に貢献していると考えられる商品・サービスが表彰される、女性のあした大賞「SDGs賞」優秀賞を受賞させていただいた。主催されているHERSTORY代表取締役の日野佳恵子さんとは、実は広島時代からの古いお知り会いで、久しぶりにお会いできる事を楽しみにしていた。


女性のあした大賞


会場がアニヴェルセル表参道という、ボクが日頃あまり行かないようなお洒落な場所でドキドキしたが、丁寧なご案内としっかりした室内の設えなどから授賞を心から盛り上げ、まさに「あした」に繋げたいという皆様の気持ちが伝わってきた。


竹虎の竹炭製品


竹虎がSDGs賞の評価いただいたのは、自分達が1985年から21世紀は竹の時代だと言い続けてきた竹の持続可能性だ。わずか3カ月で20数メートルに成長し、様々な製品に加工されてきた竹が、こうして少しづつ見直されてきている事を感じて嬉しくなる。


女性のあした大賞「SDGs賞」スピーチ


特に今度の竹炭の洗い水については、7分間のスピーチをさせてもらえる時間があったので特徴をお伝えしやすく4つにしぼってみた。

1.お肌に優しい
界面活性剤や香料、蛍光剤、柔軟剤などを含まない100%天然成分ですので、敏感肌やアトピーの方、赤ちゃんの肌着洗いにも安心してご使用いただけます。
2.持続可能な竹が原料
成長が早く継続利用可能な唯一の天然資源と言われる竹が原料。
3.節電・節水
繊維に残る合成洗剤の界面活性剤の心配がなく、すすぎ1回でOKだから電気、水の節約になります。排水は竹炭のミネラル成分を多く含み環境を保全し、水中生物を元気に。
4.消臭効果
竹炭パワーで衣服や洗濯槽の汚れが付着して起こる悪臭を除去します。においの原因となる石鹸カスが残ることもありません。


女性のあした大賞


「図解!ダイバーシティの教科書」の著者でもあれらる、プレジデントウーマン編集長木下明子さんも来賓としてお越しになられていたけど、家事お洗濯は、まだまだ女性が中心ですることが多いと思う。手荒れに悩む方もいるし、育児や仕事で時間はいつもギリギリだ。そんな皆様に、お肌にやさしく、短時間のお洗濯で節電節水ができ消臭効果もある洗濯用洗剤は、毎日の手助けになると確信している。


山崎一史、竹虎四代目


石郷学、竹虎四代目


日野佳恵子、竹虎四代目(山岸義浩)


女性のあした大賞


更に授賞企業の皆様も、個人的価値、便宜的価値、基本的価値、情緒的価値、社会的価値、持続的価値の選考基準から選出された素晴らしい商品を世に送り出されている方ばかり。分野は異なっていても、学ぶ事の多い授賞式だった。



青い鳥はここにいた、トートーバッグと竹手提げ籠

山葡萄手提げ


品の良いトートーバッグを提げている知人がいる、さっそうと歩く姿も格好良いので、たまに街に出る事があるとスーツ姿やカジュアルな服装の男性が持つ鞄を注視していた。今はバックパックに人気があるようだけれど、男の持つトートバックは渋いなあ...元々革製品も大好きなのだ。


そこで、ある時期、片っ端からバッグ店に入りトートバッグを見て回った事がある。やはり国産だと思って、知り合いの社長さんがされている日本の職人にこだわった鞄屋からだ。実はこの店では今まで数種類の鞄を購入しており、この20数年でダレスバッグはひとつ使いつぶした事もある。年々進化されている鞄屋さんでもあるので、さすがに目移りするような素晴らしいトートが並んでいた。


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しかし、何かしっくりこない。白い手袋をして丁寧な接客をしていただく店員さんには悪いと思いながらも外に出た。それからだ、実はあまり好きではないけれど、海外ブランドの店も目につくたびに全て覗いてみた。ボクは田舎者なので驚いたが、なんと店に入るために並んで待つような人気店舗もある。入り口に立っているモデルのような男性に、「首のタオルを取ってください」と言われやしないかとヒヤヒヤして入店したけれど目当てのトートバッグはない。


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どれくらいかなあ...数か月か、いやもっとか忘れてしまったが、探しているうちに分からなくなってトートバッグではなくて、ボストンバッグを買ってしまった(笑)。


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何をやっているのか?これだけ見て回ってもないものだなあ、そう思ってふと我にかえりデスクの周りをみると、50個近い竹手提げ籠たちがいるではないか!近くにあり過ぎて見えなくなっていたようだ。なるほど、これなら世界中さがしてもボクのトートバックは見つからないはずだ。




青い鳥は、最初からここにいた。



山芋籠が復活しました

山芋籠


低山ハイキングと言うのだろうか?比較的簡単に登ることのできる山登りが人気のようだ。先日、まさにそんなお客様が来店もされていたが、中高年になっても日帰りで楽しめるからと魅力をお話しされていた。もちろん、山歩きも面白さがあるに違いないけれど、自分のように小さい頃から竹林で遊ぶ山育ちだと歩くだけではどうもモノ足りない(笑)。


前にも確かお話しした事があるように、秋の山々には格別な楽しみがあって、そのひとつが山芋だ。もう何年も掘った事もないが、今でも山道を通るたびに色づいた山芋の葉には目がとまる。地中深く細長く育つ山芋を、折らないように堀っていく妙味、掘り出した山芋の美味しさといったらたまらない。


背負い籠


自分で食するのならともかく、売ろうと思えば山芋は折れてしまうと値打ちが下がってしまうから、山から持ち帰るための山芋籠という長方形の籠がある。今回、復活したのは背負いタイプの山芋かご、普通の背負い籠では直径が大きすぎて、せっかく掘り出した山芋が安定しないから直径は約24センチと細身だ。




ところで、動画の中では籠の縁巻などを籐にしたと話しているのだが、籐は江戸時代から日本で使われて来た自然素材であるものの、国内には成育していないので全て海外産だ。それが、近年輸入されづらくなっていて不足しがちで竹籠や竹ざるでも少し困っている。そこで、現在制作の山芋籠の縁巻にはハリガネを使用している。何卒よろしくお願いいたします。



柳行李を衣装籠に

柳行李


ずっと衣装籠として使われていた美しい柳細工が出て来た。柳細工とは、一見草にも見えるようなコリヤナギという高さが1~3メートル程度の植物で、強さと粘り、柔らかさを兼ね備えていて昔から籠編み素材として使われきた。特に柳行李は、丈夫でしなり、通気性に優れた衣装ケースとして、その昔はどこのご家庭にも数個はあったように思う。


柳衣装籠


今回の柳衣装籠も、元々は本体と蓋がセットとなった行李ではなかっただろうか。どうも、この柳細工は行李の蓋部分のようである。


柳行李


縁には竹が使われ、籐でしっかりと留められていた。


柳細工


柳行李、白竹衣装籠


本来は衣装籠ではないにせよ、こちらも逸品である古い白竹の麻の葉脱衣籠と並べてみても全く見劣りしない風格だ。


柳弁当箱


ずっと前に岐阜で最後の柳行李職人さんにお会いしたことがある。同じ柳細工でも、素材によって編み込みの細かさが異なっていたのだが、より緻密に編み込まれた弁当箱などは声を失うような丹精さを感じる。





竹の虎柄模様は一本たりと同じものがない

虎竹箸


虎竹の表皮に現われる虎柄模様は、自然の意匠でそれぞれに色づきが異なり一本たりと同じものがない。特に近年、温暖化によると思われる色づきの変化があって、竹の個性が際立つものが多いように思っている。大きな竹細工の場合には、全体的な色目で何とか調和もとれるのだが、例えばこの竹箸のように細く短い竹製品の場合、素材選びがより大切になってくる。一本の竹でも、虎模様が美しく出てる箇所、色合いの薄い箇所、反対に濃ゆい箇所もあるため、慎重に見極めないと竹材が無駄になる事が多い。


虎竹山出し


ちょうど、虎竹の里では伐採のシーズンを迎えている。今年は、重機を使って新しい山道もつけたので、今まで出しづらかった竹林の竹も伐採する予定で作業が進んでいる。




伐採された多くの竹の中から、虎竹を選り出し、さらに油抜き加工して色合いを出したあとの竹材から素材を選別していく。山のように積まれた虎竹だけれど、凝るほどに自分好みの竹は見当たらない。


真竹


虎竹は色柄だけではない。淡竹の仲間であるため身が薄いので、大きめの男箸や耳かき等、持ち手に厚みが欲しい竹材が少なく製造したくとも出来ない事があるのだ。真竹を使った茶道具を製作されている職人さんの工場で、竹材の厚みを拝見して「うらやましい」とため息が出てしまう(笑)。



キテレツ文化祭

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さて、本日は高知の皆さんにお知らせしたい、とっておきのイベント情報だ。来る12月7日(土)、テレビ高知さんの人気番組「キテレツが咲く」のメンバーも参加する「キテレツ文化が、高知駅前のこうち旅広場で開催されるのだ。安藤桃子さん、デハラユキノリさん、柴田恵介さんなど、番組でおなじみのメンバーが勢揃いし、笑いあり、驚きありの楽しいパフォーマンスを繰り広げてもらえるそうだ。


デハラさんの、来場者みんなで創るペイントアートや、とらっくよさこいと、旭食品のよさこい演舞、もち投げは12時と15時50分の二回予定されている。そして、お笑いコンビ「FUJIWARA」のお二人、大注目のアイドルグループ「僕が見たかった青空」のメンバー、西森杏弥さんも特別ゲストとして参加されるとの事なので、会場はさらに盛り上がること間違いない。


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また当日は、メンバーによるスペシャルステージやトークショーを楽しめるだけでなく、高知の特産品や美味しい地元グルメが並ぶ物産ブースなども用意されているので、番組ファンにも初めての方にも楽しめる内容が盛りだくさんだ。


「キテレツが咲く」スピンオフ番組なのだろうか?「キテレツが咲く」の公開収録も行われる予定。小さなお子様からお年寄りまで、ご家族やお友達と一緒に楽しむのにぴったりなイベントになっている。開催時間は朝10時から午後4時までで、アクセスも便利な高知駅前のこうち旅広場。年末に向けての楽しいひと時を「キテレツ祭」で過ごしてみませんか!?


竹製EV竹トラッカー


そうそう、竹虎からは今年も世界竹会議台湾の会場で大いに走らせてもらった、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を展示させてもらう。





日本の伝統の技、本物の一閑張り手提げ籠の魅力

一閑張り一本持ち手角手提げ籠


新しく作った一閑張り手提げ籠の良さは一言「本物」という事だ。おっとその前に、そもそも一閑張り(いっかんばり)の技法の説明をせねばならないかも知れない。一閑張りは、竹編みの素地に和紙を貼り、その上に柿渋をかけて仕上げる技法の細工だ。一貫張りとも呼ばれる事があるが、和紙と柿渋の耐久性で一貫目(3.75キロ)の荷物も入れられるほど強くなるという機能性からと言われている。


一閑張り一本持ち手角手提げ籠


竹籠や竹ざるが一般のご家庭で多用されていた時代は、自分の使う道具は自分たちで編むのが当たり前でもあった。加工性の高い竹だが、毎日の使用でどうして傷んでしまう。そんな時に和紙を貼り、柿渋や漆などを塗布して硬く補強したのが一閑張りの起源だ。


一閑張り一本持ち手角手提げ籠


土佐和紙、阿波和紙、大洲和紙など四国には良質の和紙が多かったからだろうか?一閑張りの技法が栄えた地域だと思うけれど、近年では竹職人が少なくなり、和紙の下地に使われる竹編みが作れなくなっていた。一閑張りは竹に和紙を貼り付けて完成させるので、隠れてしまう竹編みなど編む職人がいないのだ。


一閑張り一本持ち手角手提げ籠


ところが、隠れてしまうと言っても楮100%の和紙の下からは、クッキリと四ツ目編が模様のように浮かび上がる。


一閑張り一本持ち手角手提げ籠


竹の編み目といい、持ち手の中央に浮かぶ竹節の模様といい、この自然の意匠がカッコイイのだ。


一閑張り一本持ち手角手提げ籠


竹、和紙、そして柿渋など日本伝統の素材を使った籠、どうしても和紙貼りが目立つのかも知れないけれど、一閑張りの魅力は、何といっても竹編みだ。実は縁の下の力持ちの竹こそが主役なのだ。