底の角部分が壊れて大きな穴の開いてしまった腰籠が届いた。持ち主の方は「もうダメだ!とても使えない!」きっと、そう思われて放置されてしまっていたのではないだろうか。竹虎では、竹細工の修理にも力を入れてはいるが、ここまで傷みの激しい籠はなかなか珍しい(笑)。
丸型が多い中で、カマボコ型で体に添いやすく使い勝手良さそうな形とサイズの腰籠だから、収穫籠などとして多用されたのだと思う。
しかし、壊れてしまった後は、もしかしたら倉庫の片隅で忘れられていたのかも知れない。スズ竹の竹ヒゴは長く使用した風合いではなく、表皮のツヤも失せて、ただ置いておいて古くなってしまった印象だった。
細いけれど、丈夫で実用的なハリガネが本体にしっかりと取付られているあたり、かなり熟練度の高い職人さんの手によるものだ。
口部分の藤巻きも随分と傷んでいたから、すべて取り除いた上で新しく巻き直すことにした。こうして出来あがりを手にすると本当に生まれ変わったみたいである。
高知県では寒い地方で成育するスズ竹が手に入りにくいため、晒した真竹をお預かりした竹のヒゴ幅と同じに細く割って手直してもらった。
ぽっかり空いていた大きな穴を綺麗に塞いだ後に、籐かがりをして頑丈に仕上げられている。ぜひ、農作業などにお役立ていただき、末永くご愛用いただければと思っている。
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