竹細工の修理で良くお問い合わせを頂くのは、やはり持ち歩く機会の多い籠バッグだ。ただ、一口に手提げ籠と言っても真竹、淡竹などの一般的な竹材から、スズ竹や根曲竹、篠竹さらには高級素材の煤竹まで様々な種類があり、それらの竹を染めて編み込んでいる手提げ籠などもある。
竹材が異なり、さらに形や技法も様々な籠を修理するのは容易ではないが、それぞれに工夫する楽しみがあり、完成した籠は例外なく格好イイ。
高知県では、スズ竹のように寒い地方の竹は入手が難しいものの、同じ自然素材だから違う種類の竹材を組み合わせても実は全く問題ない。
そもそも使い込んだ竹細工に、真新しい竹ヒゴを合わせるので修理した部分は目立ってしまう。違う竹材なら尚更だけど、それがむしろ風合いとして、段々と馴染んでくる感じなどはたまらない。
ところが先日、お客様から気になる事を聞いた。どういう理由か製作いただいた会社に修理をお願いするとお断りされたとの事なのだ。「むむ...?」他所で製作した竹製品まで手直しする自分たちは異例としても(笑)、自社で製作したものは当然修理するのが当たり前だ。少なくとも自分の知る職人で、自分の作った籠の修理をしないという方はいない。
加工性が高く、修理して使えるのが竹細工の良い所だ。お客様がお断りされたという手提げバッグも、一体どこを手直ししたのか分からないくらい綺麗に修理できた。
何か特別な理由があったのかも知れないけれど、竹の良さを多くの方に伝える使命が竹を志す全ての人にあると思っている。修理すれば親から子の世代までも長く使える籠を含めた竹文化が見直される時代になった。
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