台湾の南投県竹山鎮は古くから竹の産地として知られて、竹製品の製造加工の中心地だったそうだ。竹は南方系の植物でもあり、台湾では一年通して筍をたべる事ができるほど豊富に生えている。だから、竹文化は現代でも人々の暮らしに深く根ざして受け継がれているのだろうと勝手に期待していたが、実はそうでもないらしい。
地域活性化に取り組み続けてきた何培鈞さんが、使われなくなったバスターミナルの二階を借りてレストラン「竹青庭人文空間」を開く際に、地元の竹作家の方やデザイナーと力を合わせて、竹編みの内装を取り入れたのには、地域産業が衰退していくことへの思いがあったに違いない。
台湾の優れたデザインや、虎竹の里までやって来られる竹人ばかり見ていたから、勝手に想像していた台湾の竹は現実とは少し違っていた。青竹の筒で出していただいたアイスは甘く美味しいが、竹の世界は甘くない。
日本の課題と同じことが竹山鎮でも起こっていて、親近感がわいてきて更に台湾の竹に興味が出てきた。
柾割の竹ひとつとっても、国が違えば微妙に異なるけれど、それも面白いと思っている。竹に正解はないからだ。
かつては盛んだった竹山鎮では、虎竹の里がそうだったように多くの方が竹に関わり竹と共に生きてきた。ところが、今回お伺いして竹産業を継承されていく若い人材は本当に数名しかおられなかった。
竹の未来を模索しているのなら、国境を越えて協力しあえる事もあるのではないかと思っている。
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