「スピード=品質」入子の竹細工

無双籠


竹が身近に活躍していた頃は、お使いいただく皆様の使い勝手によって、同じ形でも様々な大きさの竹ざるや竹籠が編まれていた。竹細工は軽量だが、かさばるために輸送を考えても、サイズ違いで製作した方が効率よく運べて都合が良かったのだ。トラックの荷台や、あるいは小舟に山のように積み込まれた丸籠の白黒写真を見ると、すべて綺麗に積み重ねられて紐で縛られている。需要が少なくなった現在では、竹職人の数も減って生産性も残念ながら高くはないので、三個組など複数の入子の竹籠を何処かで見かける事があれば、ほぼ輸入品となっている。


竹ざる四個組


だから、昔を彷彿させてくれるような国産の美しい竹細工に出会う事かあると嬉しくなる。


水切りざる6個組


もう見られなくなったけれど、この水切りざるは何と6個組だ。




若い頃から、数を競い合って製作された職人さんだけあって、とにかく竹編みが速かった。動画をご覧になられたら、その無駄のない流れるような技に驚かれる方も多いと思う。「スピード=品質」なので、入子の竹籠は間違いなく素晴らしい出来栄えなのだ。


竹籠


近年は、海外製造の竹製品の質が高くなり、一般の方や若い皆様では見分けのつかないものが増えているから、良い面がある反面、国産の竹細工にとっては厳しい事もある。


籐巻六ツ目かご3個セット


この籐巻六ツ目かご3個セットのように何とか伝統を繋いできた竹細工も、次世代が夢をもって向き会える仕事にするには課題が少なくない。しかし、これらの入子がロウソクの最後の輝きでは少し寂しい、新しい日本の竹細工の道は、きっとある。





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