謎のレッドライン、篠竹ざる赤の正体は何なんだ?でもご紹介した事があるけれど、古い篠竹の籠には赤や黒の不思議なラインが入っていた。赤い竹ヒゴは、何かの植物の根を砕いて煮だしたものに浸けて染めていたと言う。どの植物を使っていたのかは、今の世代となっては古老でさえ分からない。
黒色の竹ヒゴは、松葉を燃やした煙で燻したり、時代が下るとカマドの煤をそいで濡れ雑巾に付けて染めていた事が分かっている。ところが、どうして染色したヒゴを使うのか?が分からない。編み込みの、どの部分に使うのかも明確には決まっていないし、誰に尋ねてみても、父も祖父も、その前もずっと同じように編んでいたから、と話されるだけらしい。
昔の竹細工では、染色したヒゴを入れて見栄えを良くする事は、真竹細工などでもあったけれど、篠竹の籠もそのような理由からだろうか?何かもっと深い意味合いがあるようにも思えてくる。
そこで、今回届けていただいた複数の篠竹ヒゴがヒントになるのかも知れない。篠竹の竹林で伐採もされる詳しい方によれば、竹籠の黒や赤のラインは篠竹の節に自然に黒く付いたものを、竹籠に再現したのではないかと言う。東北の山深い竹林で、早朝から暗くなるまで数百本の篠竹を伐採していると、届いたサンプルにも入っているような赤紫の色が付いた竹が日に一本くらいある。そして、その竹が職人さんからすると、まるで当たりクジを引いたような気持ちになるそうだ。
だから、そんな嬉しい気持ちを籠に込めて色付きの竹ヒゴを編み込んだのだろうか?本当の理由は何だろうか?年代物のハキゴ(魚籠)に聞いてみても、答えてくれない(笑)。
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