細い虎の丸竹に、割幅が広く存在感のあるゴマ竹が良く似合うと思っていた。別にもう少し幅の狭いゴマ竹の割竹もあったから、倉庫より引っ張り出して用意していた。ところが、予想はしていたものの本当に編みづらい(笑)、竹自体も少し古いものなので負荷のかかる箇所では折れてしまい、やはりどうにも量が足りそうにない事が分かってきた。
そこで、ゴマ竹は諦めて、昨年から再び伐採するようにしている真竹を使う。ゴマ竹は孟宗竹なので太くヒゴも大きく取れるのだけれども、真竹は孟宗に比べれば小振りで細目の竹ヒゴしか取る事ができない。それでも今年は、かなりの本数山出していたお陰で何とかなりそうだ。編みやすさは比較にならない程、扱いやすい竹質なのでヒゴは二枚を並べて六ツ目編みする事にした。
急ピッチで竹割が始まった、まず菊割という竹割の道具で一本の竹を均等な幅に割る作業からだ。今年の真竹には、素直に包丁の入らない、やけに粘りのある竹が多く苦労する。
さらに、竹を割っただけでは厚みがあって、いくら柔軟な竹でも自由に扱う事はできないから、厚みを薄く均等に剥いでいく。竹の仕事の難しいのはここだ、この竹ヒゴ作りで後の仕事と仕上がりが決まる。
二人がかりで竹編みして、四人が編まれた六ツ目編みを地方車本体に運んで立てかける。位置を決めたら、仮留めする。
そして、間髪いれずハリガネで、ジョイント部分を固定する。
そもそも、職人は新しい事に取り組むことは苦手で、最初はとても時間がかかる。けれど、一度やってしまえば、次第にスピード感が出てきて割合早く仕上がるものだ。
今まで何度も経験してきたけれど、今回は他人様からお預かりした車体を製作させてもらっているから、いつも以上にプレッシャーはかかっている。
また一枚、六ツ目編みが編みあがった、これは、運転席側に貼り付けて固定する。真竹も足りなくなって、今朝は15本ほど油抜きをしている。青々とした竹ヒゴと、茶色の竹ヒゴと色合いの異なる竹ヒゴはそのせいだ。
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