これは竹を使った買い物籠ではない、好きな方にはとことん人気のある山葡萄手提げ籠バッグだ。自分が学生の頃には、一般にはほとんど知られてなくて、倉庫の片隅に積み上げられた籠が一山いくらで売買されていた。そんな夢のようなお話もあるけれど、その丈夫さ、経年変色の美しさが知られるようになると、海外で製造されるほど流通する自然素材の籠のひとつとなっている。
ただ、やはり国産で昔ながらのシンプルな網代編みのものに魅力を感じる。技巧が目立ち過ぎる編み込みは好みではない。長年使うものは、「好き」が一番大事なのだ。使えば使うほど風合いの良くなる山葡萄も、やはり底の四隅は傷みやすい。
実は、これだけ大きな穴が開いているので、職人によってはサジを投げられてしまっていた。だが、しかし、ここまで愛用してきた山葡萄だけに何とか修理してさしあげたい。
そんな一心が縁巻など細かい手直しにも活きている。
輸入の籠は手直しする所を探すのに苦労されていると聞く。国産はもちろんだが、たとえ海外の籠であってもお客様にとっては大事なパートナーのようにご愛用になっているのを見れば、何とか修理したいとお引き受けする事が多いのです。
竹林で見る竹は真っ直ぐに伸びて気持ちがいい、強い風にもしなって折れない強さにいつも憧れる。でも、その強靭さはどこから来るのか?といえば、決して目立つことのない地下茎にある。
竹根は地面の下で縦横無尽に伸びて、それぞれの竹と繋がっているが、この竹根がまた丈夫。
印鑑などに使われるのは、竹の地下茎の部分だ。
竹根を活かした香合は、使わずともインテリアにできるほどの存在感だ。
竹根は虫が喰く事が多く、管理が難しい。大きな竹根を数年乾燥させて削りだし漆で仕上げた茶碗は、それぞれ景色が違って本当に面白い。
赤染した虎竹の手提げ籠をリニューアルして、虎竹の色合いそのままでお楽しみいただく買い物籠を準備している。今までなら、当然のように籐の持ち手を取り付けるところなのだが、近年どうも籐の入荷が不安定になっている。持ち手にできる頃合いの籐が少ないため革持ち手に変更してみたら、なかなか雰囲気がよい。
竹籠だけなら数か月もかかったりする事はないけれど、今回は革素材、仕様の変更に時間がかかっている。それでも、ようやく来月には皆さまにご覧いただけると楽しみにしています。
海外で作られた竹ざるの修理依頼を頂いた。皆さまには馴染のある竹ざるなので、この竹細工が輸入だと聞いて驚く方もいるかと思う。もしかしたら、日本製でも海外の製造でも、まあり意識されてない事もあるかも知れないが、恐らくこの竹ざるは国産だと思って使われていたのではないかと思う。それくらい、近年では、海外のものだから品質が悪いとか、粗悪という事はなく、また価格的にも国産と同じくらいになっているので見分けがつきにくくなっているものがある。
けれど、この竹ざるに関していえば比較的に分かりやすく、竹ざるの縁巻が自然素材ではなくポリプロピレンという合成樹脂だ。画像左がPP(ポリプロピレン)だが、使い込んでかなり傷んでいる。左の天然籐と比べてみると違いが分かるけれど、単体で見たら微妙なシワや光沢が竹に馴染んでいて違和感がない。
竹ざるの本体部分は竹編みなので経年変色が美しくみられるのは国産竹ざると同じだ。
ところが、縁巻をポリプロピレンで巻き直すとなると当社などには素材がなく修理はできない。熱に強く、耐久性も高い素材なので大きな飲食店などでは重宝され、個人のお宅でも多用されている竹ざる、開発された竹職人さんは素晴らしいと思う。このような高品質な輸入の竹ざるに、伝統の国産竹細工も刺激を受けて進化せねばならない。
南国土佐と言われるのた伊達ではなく、高知の陽射しは本当に強い。日中に外で竹の積み下ろしをせねばならない時など、目が満足に明けられないくらいの時さえある。そんな環境だからこそ、麦わら帽のようにツバの広い網代笠やクバ笠などは、屋外の活動には必需品と言っても良い。
ただ、ツバの広い帽子は日陰が広く圧倒的に涼しい代わりに風には注意だ。頭にかぶっているたけでは飛ばされそうになり、仕事に集中できない事もあるから顎紐が大事になってくる。
最近、クバ笠の顎紐には、ワニグチモダマ(鰐口藻玉)と言う熱帯に育つ大きな蔓で育つ豆のタネを使っている。
クバ笠を改良して現代的なアレンジを加えたのが、クバ帽子だ。
ツバが広くて風を受けやすいクバ笠は畑用として、ツバの狭いものは風の強い海用として漁師さんに愛用されてきた。このクバ帽子は海用がモデルとなっている。そのせいたろうか?隅田川だったか、江戸川だったかで船頭をされているお客様にご愛用いただいているけれど、何とも渋い。東京も酷暑が続いているから、帽子は大活躍に違いない。
護岸用の蛇篭と呼ばれるものをご存知だろうか?河川を注意深く見ていると、鉄線で編まれたメッシュ状のケージに石を詰めて作られた蛇篭が設置されている場合がある。河川や海岸の土壌が、水流によって削られるのを防ぐために使用されるモノで、細長い形状から、その名前が付いている。形が色々とあるようで、近くの川底では敷きつめるように置かれた角型蛇篭(ふとん籠)を見た事もある。
ところが、今では強靭な鉄線で編まれた蛇篭も、その昔はすべて竹編みで製作されていた。鉄のような素材を自由に使えるようになるまでは、加工性が高く、強さをも併せ持つ竹ほどの適材は見当たらなかった事だろう。本当に竹は、日本の暮らしで人々をどれだけ助けて来た事かと、改めて思う。
竹編み蛇篭の名残は、花籠の虎竹蛇篭や竹炭籠に見られるけれど、護岸用に使われていた籠に比べれば別モノのように小さい。
しかし今回、竹虎の工場では新たに特大サイズの蛇篭が虎竹を使って編まれている。
今の時代に、一体に何のために?何に使おうと言うのだろうか?
まだ種明かしは出来ないものの、やはり大きな竹細工が出来あがるのはワクワクする(笑)。
そもそも、どうして「ワンジャリ」と言うのか?疑問に思う方もおられるかも知れない。実は、竹虎の竹炭は枕は国産竹炭粒100%!そば殻を混ぜていたり、合成樹脂で作られた竹炭入りパイプビーズでもなく、天然素材の竹炭だけを二重の不織布に詰めて謹製させていただいている。だから、就寝時にまくらに頭をのせると「ジャリ...」寝返りをうっても「ジャリ...」と音がするのだ。
音がすると聞くと「ええっ!?寝る時に音がするなんて気になって熟睡できない」。もちろん、そんな方がおられて当然だ。ところが、「ジャリ...」と音がした次の瞬間には眠ってしまい、気がつけば朝。そんな寝つきのよい寝心地感だと、嬉しい感想を沢山頂戴している竹炭まくらでもあるのだ。そこで、「ジャリ」ひとつで快眠という「ワンジャリ」と命名して今回リニューアルした竹炭まくら、その寝心地は一度お試しになられるのが一番。只今9/25日まで無料プレゼント企画を開催しています。抽選で7名様に当たるので、是非このチャンスにご応募お待ちしています!
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昭和の日本なんて言うと古臭く思われるだろうか。当時は、竹籠バッグを持つ主婦の姿が本当に当たり前で、日常的な光景だった。自分も、母が竹籠バッグを提げて近所にあった万屋に買い物に行くのを良く覚えている。当時の主婦の方々にとっては、市場や商店で買い物をする際の必需品であり、生活の一部として親しまれていた竹籠バッグ。籐もあったけれど、多くは耐久性に優れ通気性が良く、軽量な竹籠だった。
冷蔵庫は、もちろんあったけれど毎日新鮮な食材を求めて市場等に出かける事が一般的だったのかも知れない。そのため、竹籠バッグは現在のようにエコフレンドリーだとか、ファッションではなく、実用的な道具として一家に数個あり、ライフスタイルに密接に結びついていたのだと思う。ビニール袋などの普及で、いつの間にか竹籠バッグは姿を消したが、竹虎では懐かしい定番の楕円形と丸型の二種類を虎竹手提げ籠として復刻して販売させてもらっている。
通気性が良く、生鮮野菜や果物の持ち運びに適しているのは今も同じで、ご愛用の皆さまからは嬉しいお声をいただく事がある。そんな中で、「良い竹籠を持たれていますね」とお声を掛けてもらうというお客様からのハガキを何度か拝見した。昭和の時代でも、商店街や市場での買い物は、単なる食材の調達だけでなかった。地域の人々と顔を合わせ、コミュニケーションを取る大切な時間でもあり、竹手提げ籠が地域社会とのつながりの象徴でもあったように思う。昭和の時代のノスタルジックな価値も併せ持つ竹籠が、新しい人と人との繋がりを大切にするアイテムとなり、多くの方に愛され続けるようにしたい。
そもそも竹ざるなんて、荒物を今の日本で編む職人がいなくなった。量販店に行けば、安価な海外製のものが沢山あるじゃないか。でもね、誰も作らないから、やるのです。自分たちの地域に根差した孟宗竹を使った、少し特別な伝統があるのなら尚更だ。それに、フードロスという言葉が広く知られるようになり、賢い生活者の方は取り入れている干し野菜。田舎の暮らしでは当たり前だったものが見直されているから、もしかしたお役に立てる事があるかも知れない。
それでは、その干し野菜だけれど、余った野菜を上手に活用して、一体どんな良い事があるかご存知だろうか?まず、長期保存ができて食費の節約になるのは、もちろんだが、その他にも野菜本来の旨味と栄養がアップして、美味しくなる!歯ごたえも良くなるという利点もある。また、調理時間が短くなり光熱費が少なくて済むなど嬉しいことばかり。
干し野菜作りは簡単なので、初めての方でも気軽に暮らしに取り入れられる。楽しい食卓にならぶ食材は、通気性抜群の四ツ目編み国産竹ざるで。昔ながらの伝統の製法を守り、普通はあまり使われてない丈夫な孟宗竹なども使い編み込んでいきます。
国産の山ぶどう手提げは長く使えば使う程、渋く黒光りしてまるで上質な独特の革のような質感となってくる。本物を持って街を歩く方には、嫌でも目が行ってしまうが、この籠もその手の逸品だ。ただ、いくら耐久性の高い山ぶどうと言っても、さすがに30年、40年とお使いいただく内にはヒゴに傷みがでてくる。お気に入りで頻繁にお使いになられるバックなら尚更だ。
自分が若い頃に母から譲られたセンカドバックもそうだし、100年選手の腰籠を手提げにして愛用する籠たちも、それぞれメンテナンスしながら使っている。こちらの小振りの手提げ籠も、この風合いからすると随分と使い込まれている幸せ者だ。
持ち手のジョイント部分や、縁巻に傷みがみられる。
やっかいなのは、一番傷みの出やすい底部分の四隅には大きな穴が開いてしまっている事だ。持ち手を付け替えるくらいなら仕事は早いが、ここまで傷んでしまうと竹のように籐でかがる事もできないし、少し手間がかかりそうだ。職人に苦労はかけるけれど、手直しが終われば、籠に新たな命が宿ると思っています。
自然素材の竹籠バッグをご愛用の方々の中には、同じ山の素材である山葡萄や、クルミ、アケビ、あるいはイタヤカエデなんて言うレアな手提げ籠をお使いの方もおられる。自分も、昔から素朴な味わいが大好きで母から譲られたセカンドバッグや、100年前の腰籠を手提げ仕様に作り直したものなど数点を使っている。竹籠もそうだが、これからの最大の魅力は経年変色であり、使うほどに深まる風合いは堪らない。
ところが、近年海外生産の山葡萄やクルミの籠が増えてきて、それと同時に伝統的な良さが遠のき、技巧に走るきらいがあるので個人的には、興味が薄れている。輸入品が悪いと言う事ではないが、昔ならほとんどなかった山葡萄やクルミ手提げの修理が増えているのは、やはり耐久性に差があるからだろう。
これらの輸入の山葡萄の籠修理の場合、国内の職人さんは自分の山の素材に誇りを持っているし、実はあまりやりたがらない。しかし、お客様が数年かけて良い風合いになった籠は、手直ししないと使えない...もったいないし残念なので、何とか無理を言ってひとつひとつ修理していただくのだ。
クルミの手提げ籠バッグは、表皮がついていると少し重みが気になる。こうして見ると、一体どこが壊れているのか?とも思うけれど、実は持ち手が完全に取れてしまっている。
熟練の職人の凄さは、同じ素材を豊富にもっている事でもある。見た目に違和感がないように(違和感も良い場合が多々あるけれど)、しっかりと完璧に修理されている。
これなら、あと30年、40年と使い込んでもまず大丈夫だ(笑)。
表皮を剥いだクルミ買い物籠バッグも持ち手の取り換えが完了した。こうして新しい命が吹き込まれるのを見るのは、竹に限らず心躍るものがある。
さて、こちらは正真正銘の国産品、通常のアケビ細工ではなく、アケビのヒゴを煮たてて薄皮を剥いだ白アケビの籠だ。
この珍しい白アケビを修理できる職人は日本で一人しか知らない。この白い色が、表皮のついたアケビのような色合いになるのは何と200年先だと言う。日本の手仕事は本当に奥が深い。
竹虎は、お陰様で全国の沢山のお客様から心温まるメールやお葉書をいただく機会が多い。そして、さらに近年は画像を頂戴するようになったが、その中でもとびきり気に入って毎日ように眺めている一枚がこちらだ。ご愛用のお客様は、この根曲竹背負い籠で登山される方々のために荷物を運ばれているとの事だった。
それにしても、何と美しい景色の中で働く竹籠だろう。根曲竹は千島笹とかネマガリササという別名でも分かるように、笹の仲間だ。しかし、背丈も低く、細い代わりに非常に堅牢で粘りもあり、真竹や淡竹などより強い。昔は杖にも使われていたほどで、竹根の杖と比べると細身で頼りなくも見えるのだが、とてもとても。これぼとしなりがあり、耐久性のある竹材は他にない。
「真竹より篠竹、篠竹よりスズ竹、スズ竹より根曲竹」なんていう言葉もあるけれど、最高の素材が籠になって、最高の場所で活躍している。
まるで、戦に負けた武将のようだ(そんなに格好の良いものではないが)。
ちょうど一週間前の、よさこい祭りでのメイン会場である追手筋。踊り出す前にはこんなに元気だった。
踊り終えて、次の帯屋町商店街入口でも、まだまだ体力は余っていた(笑)。音楽担当のNEW CINEMA WEEKEND81さんと談笑している。
ところが、この帯屋町は距離も長いが、踊り子隊が詰まっていてなかなか前に進まない。「一体いつまで続けるのだろう?」そんな事を思いだしていた。
そして、商店街を出る頃には力尽きてこんな感じ。写真家ミナモトタダユキさんにもご迷惑をかけてしまった。別の意味でも忘れられない130周年記念となりました。
近年、宗教的な修行のようなものではなく、健康やダイエット目的に断食をされる方も少なくない。全国各地に断食を指導する道場のような施設があって、先日も断食を体験されたという方のお話しを聞いた。そしたら、何も食べないのかと思っていたら、実は梅干しを一日に1粒か2粒か口にするようだった。
アルカリ食品でもあり、抗菌作用があって、ビタミンやミネラルが豊富、そして腸内環境を整えるのだから、断食で弱った体には最適なのだろう。改めて、梅干しは日本古来のスーパーフードだと思う。なので、例年6月から7月あたりになると、ホームセンターでも梅仕事のための保存瓶が並んでいたりするし、竹虎でも土用干し竹ざるへのお問い合わせが多くなる。
昔から万能薬とも言われるほど、様々な栄養や効能がある梅干し作りには天日干しが欠かせない。今年は網代編みの竹ざるの他に、前々から製作したいと思っていた通気性の良い四ツ目編も沢山用意できた。
はじめて梅を漬けられる方も増えているので、今後は大型の60センチよりも少し小振りで、ベランダ等で使いやすい40センチや、ハーフサイズのエビラ籠を多めに編んでいきたいと思っている。
いろいろとあるけれど、夏休みに海や山で出かける事も多いと思いので、虫除け用に使用する竹酢液の事はお話ししておかねばならない!実は先日、馬の虫除けに使われているお客様から動画に竹虎さんの名前を出して良いか?とお問い合わせいただいていた。もちろんOK!なんですが、その方のYouTube動画を拝見すると、やはりスゴイ効果を実感されていた。さらに、ご本人様は気管支喘息があるから市販の虫除けスプレーは使いたくないそうだ。喘息があって、そのような薬剤が苦手な自分と同じである。
お客様の動画では馬の毛艶が良くなると書かれていましたが、自分もゴールデンレトリバー飼っている時、竹酢液リンスすると毛並みがサラサラで黄金色に輝いていた覚えがある。夏の屋外へのお出かけには、ご家族とご家族同様のペットにも是非安心してお使い頂きたい。
お客様がご覧になられたと言う、竹酢液の防虫実験はこちらの動画だ。虎竹の里では、蚊が少なすぎて、別の放置された孟宗竹の竹林まで行って撮り直した(笑)。
よさこい祭りの地方車の多くはレンタカーだから、踊りが終わると当日の深夜か、あるいは翌日には綺麗サッパリと解体される。製作するのには時間がかかるが、こうして取り外していくと何とも呆気ないくらい早い。見る見るうちに単管パイプだけの元のトラックの姿になった。
今回は、真っ直ぐに矯め直している虎竹一本一本を、一人一人の踊り子に見立てていた。
500本を使用させてもらった竹を取り外すと、どこかの名庭にありそうな月見台のように美しい。
竹は全てビス留めしていたので全て取り外していく。
始りがあれば、必ず終わりがある。そして、また次の新しい始まりとなるのです。
速報の電話には本当に驚いた、何と虎竹で製作した地方車が地区競演場連合会地方車奨励賞を受賞したと言うのだ!地方車製作をする事が正式に決まってから、地方車にも表彰があるという事は聞いていたけれど、まさか自分達が選ばれるとは思ってもみなかった。
受賞式は後夜祭の開催されている真っ只中、賑やかな踊り子隊が帯屋町を通り過ぎて行くのが見えた。
高知の夏は、よさこい祭りと共に行く(笑)。
今回の受賞は、すさき~真実(まっこと)~さんで地方車を製作させて頂けたお陰で頂戴する事ができた。職人の励みにもなるし、虎竹を知ってもらえる機会にもなったと思う、すべての方に感謝である。
よさこいは炎天下の中、正午からスタートになる。複数の会場を力の限り踊っていくので、熱いハートや踊りの技も必要だが、なにより体力だ。しかし、今回は自分達にとっては130年に一度の事なので、虎竹の地方車に合わせて虎竹アーマーで地方車に乗り込ませていただいた。
地方車にはお立ち台が設えてあって、その上からボーカルの方が唄い、楽器の演奏があり、踊り子を煽るマイクパフォーマンスがある。
メイン会場である追手筋から参加させてもらう。
そこから帯屋町商店街、高知の中心の街を踊り抜けるが、ここが長い。
どんな感じだったのか?短いYouTube動画をご覧ください。
竹虎創業130周年記念で製作したいと思ってから、どのくらいの月日が流れたのか。早かったのか、遅かったのか、とにかく、よさこい地方車は完成した。
後は、「すさき~真実(まっこと)~」さんに、お渡しするだけになった。
そこで、最後に竹虎の職人には苦労した所やこだわりなどを話してもらう事にした。
直接関わっていない社員も、ずっと地方車の完成を見て来たのだが、改めて今日の姿をどう見ているのか聞いてみた。
どんな感想が聞けるのだろうか?是非、YouTube動画をご覧ください。
よさこい本番が、いよいよ迫ってきた。地方車はほぼ出来あがり、後は最終的な仕上げをするばかりだ。
地方車運転席の上部は、目立つ部分ではないものの、しっかり虎竹で飾りつけをする事になっている。
よさこいチーム「すさき~真実(まっこと)~」さんは、今年で参加9回目。今回初めて音楽から衣装、振り付けそして地方車まで地元で作り上げる事ができた。
今日何より嬉しかったのは、古い竹職人が虎竹で作る地方車と聞いて見に来てくれた事だ。ずっと竹と共に生きてきた先人たちには、どんな風に見えているのだろうか?
ようやく虎竹地方車仕上げの段階まで何とかこぎ着けた。「こぎ着けた」と言う表現が本当にピッタリくる今回の製作だ、いくつもの案があったけれど、その都度に竹と相談しながらここまでやってきた。
竹と相談する等と言うと変に聞こえるかも知れないけれど、実際に現場では、あの竹や、この竹、倉庫の奥に仕舞われている竹を見ながら作業を進めていた。
方向が見えてきて、やり方さえ決まれば、後は早い。竹を割り、ヒゴを創り六ツ目に編んでいく。猛暑との闘い、そして時間との闘いだ。
いよいよ、ここによさこいチーム「すさき~真実(まっこと)~」さんの「すさき」の文字を入れて完成する。
職人全員参加でピッチを上げて進めてきた地方車製作。連日の猛暑だから、時間との闘いであると共に、暑さとの闘いでもある。
よさこい地方車の主な役割は、踊り子の先頭を走って大音響の音楽を鳴らす事だ。それと、もうひとつ、地方車の上からチームの煽り役が声掛けしたり、歌い手がマイクを握る事も多い。荷台後ろには大きなスピーカーが設置されていて出入りできないので、側面にはドアが必要だ。
そこで、助手席側には狭いながらも出入りできるドアを設置している。
大きなシート状にした六ツ目編みを、二枚繋いで側面を飾っていくのだが、ドアの部分は竹ヒゴを切断してズレないように製作している。
ドアを出来るだけ多く開けるために、この部分少し間隔をとる事にした。
炎天下の地方車作りは、もうすぐ終わる。
いよいよ今週の金曜日の前夜祭から土曜日、日曜日の本祭、そして後夜祭と続く南国土佐の夏の祭典4日間のよさこい祭りが始まる。今年は、コロナが明けて初めての本格的なお祭りであると同時に、カレンダーを改めて見ても本祭がちょうど週末に重なっていてる最高の日程だ。須崎市民で構成する地元チーム「すさき~真実(まっこと)」さんも、踊り子が昨年の倍近い100名との事だったけれど、この日程の良さも関係しているのかも知れない。
とにかく、久しぶりの全開のよさこいに、多くの県民や観光の方々も大きな期待を寄せて盛り上がっている。昔から厄除けや魔除けの意味あいでも多用されていた竹編みで、それら悪い物を吹き飛ばし、よさこいや高知の明るい「暁」にできればと思っている。
それにしても、どうだろうか?いつもは、それぞれが自分の仕事に向き合い、ともすればバラバラにいる職人たちが、地方車製作ではずっと一つの方向を見て力を寄せあっている。「これは、間に合わない!」なんて、弱音を何度か吐く事もあったけれど、ずっと聞き流してきた。
もう忘れているかも知れないが、ボクはハッキリ覚えている「ザ!鉄腕!DASH!!」 ~100人で押す竹の水鉄砲に挑戦~である。あの時も、日本中の竹屋が絶対に無理だと断った仕事を、自分たちが引き受けてやり抜いた。
まあ、何よりオモシロイではないか(笑)。笑うという文字は竹冠であるように、竹は人を楽しませる、喜ばせるものなのだ。この地方車だって、地味で目立つ事はなくとも、きっとご覧になる方々を楽しませる事は間違いない。
今日は、この編み込みのはみ出しもカットするけれど、車体の規制内なら竹編みを残しておいたほうが格好が良いだろうか。
細い虎の丸竹に、割幅が広く存在感のあるゴマ竹が良く似合うと思っていた。別にもう少し幅の狭いゴマ竹の割竹もあったから、倉庫より引っ張り出して用意していた。ところが、予想はしていたものの本当に編みづらい(笑)、竹自体も少し古いものなので負荷のかかる箇所では折れてしまい、やはりどうにも量が足りそうにない事が分かってきた。
そこで、ゴマ竹は諦めて、昨年から再び伐採するようにしている真竹を使う。ゴマ竹は孟宗竹なので太くヒゴも大きく取れるのだけれども、真竹は孟宗に比べれば小振りで細目の竹ヒゴしか取る事ができない。それでも今年は、かなりの本数山出していたお陰で何とかなりそうだ。編みやすさは比較にならない程、扱いやすい竹質なのでヒゴは二枚を並べて六ツ目編みする事にした。
急ピッチで竹割が始まった、まず菊割という竹割の道具で一本の竹を均等な幅に割る作業からだ。今年の真竹には、素直に包丁の入らない、やけに粘りのある竹が多く苦労する。
さらに、竹を割っただけでは厚みがあって、いくら柔軟な竹でも自由に扱う事はできないから、厚みを薄く均等に剥いでいく。竹の仕事の難しいのはここだ、この竹ヒゴ作りで後の仕事と仕上がりが決まる。
二人がかりで竹編みして、四人が編まれた六ツ目編みを地方車本体に運んで立てかける。位置を決めたら、仮留めする。
そして、間髪いれずハリガネで、ジョイント部分を固定する。
そもそも、職人は新しい事に取り組むことは苦手で、最初はとても時間がかかる。けれど、一度やってしまえば、次第にスピード感が出てきて割合早く仕上がるものだ。
今まで何度も経験してきたけれど、今回は他人様からお預かりした車体を製作させてもらっているから、いつも以上にプレッシャーはかかっている。
また一枚、六ツ目編みが編みあがった、これは、運転席側に貼り付けて固定する。真竹も足りなくなって、今朝は15本ほど油抜きをしている。青々とした竹ヒゴと、茶色の竹ヒゴと色合いの異なる竹ヒゴはそのせいだ。
猛暑の中、よさこい地方車製作が続く。色々な案があったが、最終的には4メートル切り1寸竹を丸竹のまま並べて清水垣のような形にする事になった。これだけの高さで、真っ直ぐな美しい虎竹が並ぶと壮観だ。十分見応えがあるし、むしろ、自分はこのままで良いと思ってもいるけれど、そうもいかない。
今年のチームすさき真実さんのテーマはーマは「暁(あかつき)」。太平洋に面して海の幸に恵まれた高知県にあって、旨い魚が自慢の須崎なら、暁といえば水平線からやってくる、明るい未来への気持ちを込めたものにしなければならない。
丸竹の製作を終えるまで、いつくかの案を試してみたが思うような見栄えにはならない。「竹と話しながら決めていく」と言えば格好が良いが、創業130年という歴史があり、様々な竹材が豊富な自分たちにしか出来ない方法での創作を考えていたので、まさに竹と相談しながら考えていた。
竹虎には、本当に面白い素材がある。前々から、地方車用にと取っておいた一つが、ゴマ竹の割竹だ。ゴマ竹は、竹林の職人の熟練の技で生み出される京都の銘竹、希少な竹でもあり、元々が孟宗竹という扱いづらい竹材で編組細工等は皆無に近いのだが、六ツ目編みしてみた。
実はテーマの「暁」には、コロナが明けて新たな出発をしようという想いも込められていると聞いていた。コロナ後の初めての本格的なよさこい祭りの開催なら、六ツ目編みを何処かに使う事は決めていたのだ。
細かい竹編みには古くから厄除けという意味合いがあり、今でもある地方に行けば、庭先に高く吊るした六ツ目編みの竹籠を見る事ができる。新しい夜明けに、災難や災害を避けて、悪いものを寄せ付けず、よさこい祭り、高知県、そして須崎市の発展の祈念するには欠かせない竹編みだと思っていた。
皆様、ご無沙汰いたしております!早くも今日から8月!高知は気温が38度という信じられないような、連日の猛暑だが、いよいよ夏本番!そんな中、何と自分でも何をしていたのか?と思ってしまうけれど、先月の23日からブログを書いていなかった。30年間、毎日書き続けるという事なのに...それくらい、現場が困窮している(?)という事だろうか(笑)。
でも、それくらい確かに今回のよさこい地方車製作は大変だ。実は複数のデザイン案があったけれど、やはりどうしても細い虎竹を使いたかった。
細い竹を並べる技法は、竹垣にもあって清水垣などと呼ばれる。本来、真っ直ぐではない竹を一本、一本、職人の手によって矯め直しされているからこそ、美しく立ち並べて使う事ができる。
周りを高い竹材で囲ってしまうので、出入り口が必要だ。助手席側の一か所には蝶番を取り付けた扉になっている。
両サイドから虎竹を貼り進めてきている、運転席上部も同じように竹を並べていく。
よさこい祭りには、南国高知らしく派手な色合いの地方車が多かったように思う。そんな中、シックな雰囲気で行く虎竹地方車はどんなだろうか?当日、観れば分かります(笑)。