同じ頃合いの、細めの真竹ばかりを集めて一体何を作るのかお分かりだろうか?良くご覧いただくと全ての竹には節が入っているので、丸竹のまま使えばコップか何か容器のようなものも出来そうだ。
さて、この真竹を小さな釜の中で沸き立った熱湯に入れていく。小型ではあるものの、これが湯抜きと言って、竹材の余分な油分を除去していく加工だ。虎竹のように、ガスバーナーの炎でする油抜きが乾式と呼ばれるのに対して、熱湯は湿式と呼ばれるが同じ効果がある。
こうして湯抜きされた竹は色合いがこのように変化する。この後、乾燥によりさらに色合いは変わっていくが、竹には糖類やデンプンが多く含まれているので、これらを油抜きする事により除去して害虫やカビに対する耐久性を高めているのだ。
特に近年、頭を悩ませている竹の虫は、竹表皮ではなく竹の身部分を食害する。そこで、薄い竹ヒゴにする竹材は問題ないが、竹の身部分を厚く使う茶碗籠の足だけは念のため湯抜きしているのだ。青竹細工に使う竹材で湯抜き加工するなんて異例中の異例だが、最高の竹籠を編み上げている職人の自負とこだわりが垣間見える。
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