先週閉幕した世界竹会議台湾は、日程により新竹の台湾新竹市の国立陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)の第一会場で開催したあと、南投県草屯の国立台湾工芸研究所( National Taiwan Craft Research Institute)の第二会場に場所を移した。台湾の竹産業は竹材の豊富な南投県に多いようで、竹職人さんもこの辺りで活動されている印象だ、10年前にお伺いした時にも南投県の青竹竹芸文化園に連泊して、各所を見学させて頂いた。
そこで感銘を受けたのが、今回の会場ともなった国立台湾工芸研究所でご案内いただいた竹ソファだったのだ。球形にした竹編みは、日本では照明などに使うのでたまに製作する事もあるが、繋げてこのような家具として創作するのなど思いもよらなかったので本当に驚いた。
そもそも台湾の竹工芸の先進性が何故なのか?知りたいと思って訪台していたので、まさにその神髄に迫っているような感慨に胸躍ったことを今でも覚えている。
さて、そこでどうしてもお話ししておかねばならない事がある。実は自分が以前に国立台湾工芸研究所を訪れたのは2014年、ちょうど10年前になる。その時には竹ソファは、このような色合いだった。
「磨き」と言って竹表皮を薄く剥いだ竹ヒゴを使う竹細工の技法で、青竹の表皮をそのまま活かした竹編みとは又風合いの異なる仕上がりで人気があるのだが、一番大きく異なるのは、その経年変色だ。
同じ籠でも、口巻に磨きの竹ヒゴ、本体編みに表皮の付いた竹ヒゴを使っていると、数十年経過した経年変色はご覧のように、これだけの違いがある。
竹は長く使えば使うほど色艶が深まり、手に馴染んで一生の友となる存在だ。このような美しさを、これからも伝えていきたいし、多くの方に知ってもらいたい。ここに鎮座している竹ソファは革新的な創りでありながら、この古から続く竹細工の変わる事のない価値を伝えてくれているという点でも素晴らしいものだ。
竹編みのボールといえば、思い出す竹照明を動画にしています。同じ竹を使った、同じような竹細工に、国や地域は異なってもボクと同じような懐かしさや嬉しさを想う竹人がきっといると思っています。
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