買い物に持ち歩く手提げ籠で一番傷みやすいのは、持ち手部分と底の四隅の角部分だ。このスズ竹市場籠のように、厚い黒革で角を補強しているものは近年では少なくなったが、衣装類や生活道具を入れて使われていたスズ竹行李などには同じように四隅の角を覆ったものを良く見かけていた。
竹細工の良さのひとつは、たとえ使っている中で傷んでしまっても、竹の加工性が高さで修理した事が見た目に分からないくらい、ほとんど同じように手直しできる事だ。
プラスチック製品には真似のでない自然素材ならではの利点を、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思って声を上げている。そうすると少しづつ全国の皆様から修理依頼を頂けるようになってきた。やはり一番多いのは、持ち歩いて重たい荷物を出し入れする事の多い竹手提げ籠である。
持ち手、底の四隅の次に傷むのは口部分。農家さんの納屋にあった、こちらの古い魚籠も口巻きが切れてしまったらしい。修理してお使い頂いていた様子が伺えるけど、残念なのはポリプロピレンのPPバンドを使っている事だ。
使い込んだスズ竹市場籠の底の四隅に、小さな穴が開いたので補修させてもらったが事がある。横からは分かりづらいが、その辺りをよくよく注視して頂くと、色目の異なる竹ヒゴが入っているのにお気づきではないだろうか?少し青く見えるのが新しく差し込んだスズ竹ヒゴだ。やはり、本物の竹籠には本物の素材で修理するのが一番、今は、このように若干の違和感がある竹籠が、数年経つとしっかり色合いも馴染んでくるから竹を好きにならずにいらいれない。
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