竹に関わる人達ですら網代編みの竹笠を知らない事に危機感を覚えた事がある。そこで「国産の竹笠を復活させたい」と思って、自分が使っていた竹網代笠をモデルに運よく復刻させる事ができた。このような竹細工は、完成するまでに時間がかかってしまう分、出来あがったらある程度はどうしてもお客様にお求めいただきたい。
しかし、そんな心配は必要なかったようだ。やはり自分が日頃から思っていたように、日本の竹、日本の職人、日本の技に共感いただける方もいる。特に今回は予想以上に沢山の方に、この竹笠の良さが伝わっているようで嬉しく思っている。
やはり日本人は、竹を知らないのではなくて忘れているだけなのだろう。少し慣れてくると竹の良し悪しを見抜く感性があり、自分から選んで竹を使われている、そうだから竹に対して一番厳しい目を持っているのも日本人だ。
そう言えば、最近気候も温かくなってきたし、インバウンド効果もあるのだと思うけれど、海外からのお遍路さんを多く見かけるようになった。1200年続く信仰の道は、海外の皆様にとっても興味深いものに違いない。日本の方などよりも、しっかりと本格的に衣装を着込んだ方が今日も竹虎の前を歩いている。
もちろん、国産の竹網代笠など被っている人は誰一人いない。けれど、せっかくの伝統ある日本の文化に触れる旅なら、「竹の国・日本」の本物の竹笠にも関心を持って体感いただくのは悪くない。
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