高さを少し低めにした別誂えのわらいずみが出来あがってきた。今となってはお鮨屋さん等で使われるだけになってしまった道具だが、かつては日本のどこのご家庭にもあったもので、自分も幼い頃に親戚の家で見た囲炉裏端に煤けた藁いずみがあった事をおぼろげに覚えている。
わらいずみは、飯櫃入れとも飯つぐらとも呼ばれたりするが、素材は見たの通り藁である。日本では藁を使った細工も多いけれど、稲作の中でそれだけ身近にあった素材だからだろう。
田んぼで収穫れさたお米は、竹で編まれた米研ぎザルて洗う。
炊きあがったご飯を入れる弁当箱も、竹、竹皮、曲げわっぱが一般的だったけれど、柳という秀逸な素材もあった。
残ったご飯は、竹編みの飯籠に入れて風通しのよい軒先に吊るしておく。
熱い鉄瓶は、丈夫な山葡萄の蔓で編んだ鍋敷きに置く。
食事の後片付けをして、洗った食器類は抜群の防水性のあるシダ編みの碗籠で水切りして乾かす。ちょっと台所周りを見ただけでも、先人の暮らしは自然素材を巧みに活かした合理的な生活だったのが良く分かる。
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