修理して使う素晴らしき竹細工

壊れた竹籠


お客様から壊れてしまった真竹手付き籠が送られてきた。何か重たい物を入れてお使いになられたのだろうか?本体の編み込みから口巻部分がスッポリと抜けてしまっている。持ち手の竹のあしらいなどを拝見すると、かなり腕の良い職人さんが編まれた籠だけれど、さすがにこうなっては修理する他ない。


壊れた竹籠


竹細工の素晴らしさは、まさに此処にある。プラスチック製品だったりすれば、ここまで壊れたら手の施しようがなくて廃棄されてしまうだろう。安さや効率ばかりを求める時代なら、それでも良かったのかも知れないが、これからは日本の伝統でもある「もったいない精神」を思い起こしてもらいたい。これだけ長く手元に置かれた愛着ある竹籠なら尚更の事だ。


修理竹籠、竹虎四代目(山岸義浩)


そこで、今回はお客様のご了承もいただいて虎竹で手直しする事にしたが、どうだろうか?この竹籠が編まれた当初は、きっと真竹の青々とした色合いだったろう、それがまるで白竹のように経年変色して良い風合いになっている。そこに、虎竹の全く異なる色合いが入って結構お洒落感のある竹籠に生まれ変わったのではないかと思っている。


修理した手付き籠


持ち手の付け根部分も二カ所に竹栓と籐巻でしっかりと仕上げられているので耐久性もバッチリだ。


手直しした竹籠


竹籠修理のお問い合わせが増えている。最近では山葡萄やクルミの手提げ籠なども多く、国産の籠ばかりではない。しかし、それでも長く使い込まれた籠にはそれぞれの方の思いがあるから自分達が出来る範囲で対応させてもらいたいと思っている。





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