虎竹炭パウダーで日本唯一の竹林を守る

虎竹炭パウダー


竹炭の材料に使われる孟宗竹は、国内最大級の竹であり、現在ではあまり活用される事のなくなった竹でもある。生命力の強さから、増え過ぎて森林を侵食するとか、放置竹林として一部では問題視されている孟宗竹は、直径が大きくて身が厚い事から竹炭の原料として使われるようになった。国内で焼かれている竹炭窯で、孟宗竹以外の竹材を使っている所は聞いた事がないほどだ。


虎竹伐採


そんな中、竹虎で新しく発売を開始した虎竹炭は、日本唯一の虎竹を使うかなりレアな竹炭と言える。しかし、もちろん物珍しさから竹炭にしている訳ではない。まさに本日の1月31日が昔から虎竹伐採の期日として守られてきたけれど、いくら日本唯一の虎竹の竹林でも色づきの良い一級品の竹ばかりは生えていない。


虎竹選別


竹林に一歩足を踏み入れたら、無数に伸びているかの様に見える竹の中でも、製品に適した3~4年生の色づきが良い竹となると本当に極一部だ。虎模様には、この山々特有のバクテリアが影響しているとされるが、「霜が降りると虎の色が付く」と古くから伝えられるように気温も大きく関わっている。


虎竹伐採


実は、自分達は虎竹の色づきの変化から温暖化の影響を10数年前から感じていた。明らかに色づきが遅い、あるいは色が付かない竹が年々増加傾向にあった。虎竹は虎模様があるからこそ価値があり、全国の竹職人に認められてきたのだが、色が付いていないと普通の淡竹(はちく)と変わらない。


最高級飾り竹炭


昔なら、色づきの良くない虎竹も普通の竹材として何らかの竹製品や竹細工に加工して、どうにか活用する事ができた。ところが、現在ではそのような竹を必要とする工場も職人もいない。しかし、それでも虎竹の竹林を適正に管理し、良質な親竹を残しつつ、芳しくない色付きの竹を間引く仕事は絶対に必要となる。そこで、数年前から二級品の虎竹は、専用の土窯を使い高温で焼き上げてインテリアなどに使える飾り竹炭として商品化した。


虎竹炭パウダー


丸竹そのままに硬く焼き上げる竹炭は、それぞれ竹の個性があり、表情もあって面白い。けれど、年々二級品の竹は増えているから、せっかくの竹材を皆さまのお役に立てるような製品に進化させ、美しい虎竹の里と色づきのよい虎竹を守り続けていくために、今回登場させたのがこの虎竹炭パウダーなのだ。


中国で漢方として、竹を炙って取り出す竹瀝(ちくれき)や、竹稈の甘皮部分を使う竹茹(チクジョ)は虎竹と同じ淡竹が使われている。竹葉も利用されており、前々から淡竹には孟宗竹や真竹とは異なる特別な力があるのかも知れないと感じてきた。淡竹を竹炭パウダーにしたのは初めてだから、科学的に確かな事ではない。しかし、虎竹の里の景観と、江戸時代から続く持続可能な竹林を守る一助となる事は間違いない。





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