クパという名前の帽子

クパ帽子、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


昔のテレビ番組などに出てくる探検家の方々は、このような形の帽子を被っていたように思う。この帽子でジャングルの奥深く足を踏み入れていったのだが、この帽子も石垣島の原生林の木々が生茂る中から生まれた品だ。八重山地方は、さすがに亜熱帯だけあって高知の森林などとは随分違う、職人さんに連れられて一度分け入った密林に逞しく生えていた蓬莱竹を思い出す。


クバの葉


この帽子はクパという名前で呼ばれている。もともとクバの葉を使った笠を作られている職人さんが、新しい試みで製作されたものだ。


クバ笠


強い日差しの中で生活される事が多いので、軽く丈夫なクバ笠は重宝されているそうだ。そして、クバ笠には直径を大きくして太陽の光をできるだけ遮るように作った畑用と、漁に出た時に舟の上で強い風に飛ばされないように直径を小さくした海用とがある。


クパの籐


このクパは、海用のデザインに近いようだけれど決定的に異なる所がある。クバ笠は、クバの葉の他に蓬莱竹を使うが、何とこのクパには籐が使われている。


国産籐とトウツルモドキ


八重山の民具に詳しい方なら、籐と聞いてトウツルモドキ(クージ)の籠を思われる方もいるかも知れない。クージは昔から使われてきた身近な素材だ、確かに似ているけれど見比べるとやはり違う。


竹虎四代目(山岸義浩)YOSHIHIRO YAMAGISHI


籐は古くは江戸時代からある日本人には馴染の素材で、籐籠や籐家具など誰でも知っている。なので、どこか日本に産地があるのか?と思われる方がいても不思議ではない。しかし、実は国産の籐は全くなくて、全てが輸入材なのだ。ところが、今回のクパには何と常識を覆す石垣産の籐が使われていると言う。そう言えば、こんな青々とした籐など初めて見た...本当に竹も籐も知らない事ばかりなので感動してしまった。





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