佐賀県と言えば焼き物の名産地として有名だ、有田焼、伊万里焼、唐津焼などは一度は耳にした事があるのではないだろうか。しかし、実はもうひとつ佐賀鍋島藩が将軍や大名などお殿様だけが使うために築いた藩窯があり、それが鍋島焼なのだ。
昨年はじめて参加させてもらった日本工芸産地博覧会でお隣のブースとなり、何気に作品を拝見させて頂いて驚いた。まるで一閑張りのようなお皿があるではないか!淡い緑色とも青ともつかない美しい青磁が、もしも柿渋のような色合いだったとしたら竹ヒゴに和紙を貼り付けて製作する一閑張りと見間違えてしまうかも知れない。
元々一閑張りの技法というのは、壊れた竹籠に和紙を貼り付って補強した事から始まっている。つまり、古人の物を大切にする精神、今ならエコな生活から生み出されたものだ。和紙を貼り付けて柿渋や漆で仕上げる職人の減少もあるが、何より芯となる竹編みが出来る職人がいなくなり、今後は特に行李など大型製品の製作が難しくなりそうだ。
そんな中、一閑張り買い物籠をお使いされているお客様から修理のご依頼があった。和紙を貼った表面が擦れて下地の竹編みがのぞいている箇所もあるが、和紙を貼り直し手直しすれば新品同様になる。こうして、また新たに命が与えられ使い続けられるのだから素晴らしいと思う。
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